「配属希望」をめぐる思い出 ~約40年前の新人研修で思ったこと、思い直したこと・その4
大昔の某在阪放送局での新人研修時代の話、4つめ。
前3回は研修での座学について書きましたが、今回は少し趣向を変えて社報について書きます。
入社する4月を目前に社報の記事執筆の依頼がありました。毎年恒例の新入社員紹介記事です。人事部からいくつかの質問が提示され、それに回答する形で記事が完結する形になっています。
最初の質問は出身校とか専攻とか所属サークルとか自己アピールとかだったと思うのですが、最後に「希望する配属先」というのがありました。
僕はこれを読んでカチン!と来ました。入社前の説明会で会社の偉い人(多分取締役だったと思う)から「どこに配属するかについては君らの希望とは関係なくこちらで決めるから」と言われていたからです。
それで僕はその自己紹介記事に「配属先は皆の希望とは関係なくこちらで決めると居丈高に宣言しておきながら、ここで希望を訊くのはおかしい」と書きました。
会社のいろんな部や偉い人が言うことは、時としてこんな風に整合性が取れないものです。僕はそのことを、図らずも入社前に知ったのでした。
社報では毎年新人の配属希望を訊いていることはこの取締役も知っているはずなので、言い方としては「皆さんの希望は一応聞くが、必ずしもその通りには行かない」ぐらいにしておくべきだったのです。
あるいはその取締役が何が何でもそんな手ぬるい言い方をしたくないというのであれば、社報の担当者にそういう質問をするのをやめさせるべきだったのです。
でも、少なくともこういう齟齬が社員のやる気を削いだり不満を煽ったりするのだということは知っておくべきだったんじゃないかなと、端的にそう思います。
さて、前回の原稿にも書きましたが、新人研修が終了し、僕は一番行きたくなかった営業セクションに配属になりました。
「社報にあんなことを書いたからだ」と言う人がいましたが、それはどうかなと思います。
ま、仮にそうだったとしても、「会社に楯突くような奴は希望していない部署に飛ばしてやる」ということだったのか、「なかなか頼もしい見どころのある奴だ。営業局で鍛えてやろう」ということだったのか、あるいはそのどちらでもなく単なる偶然だったのか、僕には知る術がありません。
また、単に出身学部で配属を決めたのではないかという説もありました。新入社員のうちの4名が本社/東京支社、テレビ/ラジオの営業セクションに配属されたのですが、まず経済学部卒の3名が選ばれ、ひとり足りなかったので社会学部卒の奴も選ばれたのだ、と。
いずれにしても、そんなことを詮索しても始まりません。
そう、会社生活には、悔しいけれど詮索しても何も始まらないこともたくさんあります。会社の決めることは時として行きあたりばったりで整合性に欠けることも少なくないのです。
ただ、ひとつだけ言えるのは、僕は社報の新人紹介記事で会社のおかしなところを指摘して良かったと、それは今でも思っています。会社は往々にして変なことをしてしまうのです。それを正してあげるのも社員の仕事だと思っています。
会社の誤りを正してあげようとしたことが仇となって、自分がひどい目に遭ってしまうことはたまにあります。その良し悪しは別として、世の中はそういうものです。
新人のときは残念ながら僕はその覚悟もないまま社報に書いてしまいました。でも、それ以後は常に覚悟を持って物を言うようにしています。
どっちにしても物は言わないとね☺
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