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放送とインターネット

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放送局に勤めていたので、たまに放送のことも書いていました。ま、内輪向きの文章が多いので、ここにはたまにしか載せませんでしたが。いずれにしても定年退職しちゃったので、今後はこのテー…
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記事一覧

クソリプは“痛快”なのか?

このごろ“痛快”って何だろう?とよく考えます。 きっかけは、X(旧twitter)などでクソリプを送ってくる人たちのことを考えていて、彼らがそんなことをするのはひとえにそんな自分の行動を彼らが痛快だと思っているからではないかと思い始めたからです。 宇野常寛さんは彼らのそんな行動を“承認欲求”によるものだと分析していて、特定の誰かを信奉している人が「あなたの敵の宇野常寛をこてんぱんにやっつけておきましたよ」と報告することによって、その誰か(及びその取り巻きたち)の承認と、承

近年、プロ野球が俄然面白くなってきた

僕らのようなオールド・ファンからすると、近年プロ野球が俄然面白くなってきたと思う。それは昔に比べて選手の流動性が遥かに高まってきたからだ。 僕らの小さい頃は、子どもたちの好きなものとして「巨人、大鵬、卵焼き」という表現があったように、子どもたちはみんな読売ジャイアンツが大好きだった。 僕が生まれ育ったのは大阪だったので、当然阪神ファンも多かったが、しかし、小学生がフランチャイズ制に乗っかって阪神ファンになるのはもう少し成長してからで、子どもたちの大半はまだ巨人ファンだった

荒れるソーシャル・メディア、栄枯盛衰と失望

ここのところ全世界的に X(旧twitter)から Bluesky へのユーザ流出が夥しいと聞く。また、国内では先日オープンした mixi2 が滑り出し好調で(登録者数がもう 120万人を超えたと聞く)、僕の周りにも早速登録して却々心地が良いと言っている人が結構いる。 僕自身はあまり手を広げたくないので mixi2 には手を出していないが、Bluesky については「いつかこちらに完全に乗り換える日が来るかもしれない」という明確な思いの下、割合早い段階でアカウントを作って細

「タレントを干す」という行為について

タレントさんが干されることってあるじゃないですか。刑事事件起こしたりするとテレビや映画に出してもらえなくなったり、下手すると過去作品の配信や DVD販売まで打ち切りになったりしてしまうやつ。 僕はあれ、どうもしっくり来ないんですよね。 一応テレビ局に勤めていたので、会社が決めたことには従っていましたが、個人的にはずっとなんか割り切れない気持ちでいました。 僕は、凶悪犯罪を犯した俳優であっても、反社会的な行動で世間を騒がせた芸能人であっても、彼/彼女の個人生活と彼/彼女の

どうする Facebook? どうしよう Facebook?

Facebook の高年齢化先日どこかで読んだのですが、若い人に Facebook のアカウントを持っているかと尋ねたところ、 と答えたとのこと。 そして、どうやらこれは同世代の若者たちに結構共通する感覚みたいなんですよね。 確かに X(twitter)があって、Instagram があって、TikTok があって、他にもどんなものがあるのか僕は詳しくないですが、彼らはそこら辺で充分満足で、わざわざ Facebook に手を出す意味はどこにもないのでしょうね。 かくし

人を動かすのが人の仕事

聞いて、考えて、語り継ぐ会社の後輩が修士論文を送ってきました。前にここに書いた H君です。 僕に相談に来たときには、彼の関心事は ということでした。そこから少し変わってきた部分もあるのですが、彼は社員に対するさまざまなインタビューを実行し、そこで得たさまざまな発言について分析を重ねて、「新しいアイデアが実行に移されて、仕事として立ち上がってくるのはどういう状況であって、その障害となるのはどういうものか」ということを、まことに学術論文らしい筆致でまとめ上げてありました。

続々・気になる放送のことば

この間「ことばの変化に対してはすべからく寛容であるべきだと思っています」と書いたばかりですが、 とは言いながら、ことテレビとかラジオとか新聞とかに関して言えば、時々「その表現はおかしくないか?」と言いたくなることがあります。 それで、note にもこんなことを書きました: 一般人の話し言葉ならともかく、やっぱり公共のメディアには正確で理解しやすい表現を使ってほしいし、そのためには規範性の高い、つまり辞書に載っている意味から外れないことばを使ってほしいと思うのです。 そ

著作権法をめぐるすっきりしない思い

この記事は「自分のブログに映画の場面写真を勝手に貼るのは著作権法違反だからやめましょう」という記事ではありません。「なんか、もっと明確な新しいルールを策定できないものか」という嘆きです。 映画の鑑賞記事の横にその映画の一場面の写真が添えてあるというのは我々がしょっちゅう目にする光景です。 でも、映画会社の許諾を得てやっているのでない限り(あるいは権利者が権利フリーを謳っているのでない限り)、それは明らかに著作権法違反です。違反だと知らずにやっている人もいるでしょうし、知り

「板に焼く」文化の終焉──ソニーグループの光ディスク生産終了に思う

ソニーグループがブルーレイディスクなどの光ディスクの生産を段階的に縮小させ、終了させるとの報道にいささかショックを受けています。 そうか、ブルーレイディスクが売れない時代になったのか、"板に焼く"文化の終焉なんだな、と思いました。 なにしろ僕らは中学生時代にカセットテープにテレビの生音をマイクで(つまり、コードに接続せず、っちゅうか接続端子もなかったし)録音するところから音楽体験をスタートした世代ですからね。 当然周囲の音も拾ってしまうので、「ちょっと、お母ちゃん、暫く

「いいね!」などのリアクション・マーク、どんな風に使ってますか?

ソーシャル・メディアの”リアクション・マーク”ってあるじゃないですか。そう、facebook の「いいね!」がその代表的なやつ。 「いいね!」は実は facebook が始めたんじゃなくて、VIMEO が先にやっていたのを真似したという説もあるみたいですが、真相はどうなのか知りません。 ただ、僕はこれを facebook で初めて知り、なんか、とても良い機能だなと感心した覚えがあります。その後、twitter もこれを真似して、でも丸ごとパクるのも気が引けたのか、「!」の

閲覧数 4000 を超えて、クチコミについて考えてみた

僕がとある店について書いた Google Maps のクチコミの閲覧数が 4月30日に 1000 を突破した。 ご存じない方も多いと思うが、あそこに何かを書いてその閲覧数が一定数を超えるとメールで知らせてくれるのである。 実は 1000 を突破できたのは、僕なりの書き方のコツみたいなものもあってのことだと思っている。そのことについて、少し書いてみようと思う。 Google Maps のクチコミと言えば、悪意のある事実無根の書き込みをされたとして、先日医療関係者が集団訴訟

荒れるソーシャル・メディアを考える──あなたはそこに行ったことがあるか?

僕は2009年に twitter を始めましたが、そのころの、言わば日本における黎明期の twitter は、嫌なことをつぶやく人がほとんどいない、とても快適な空間でした。 たまに嫌なこと、攻撃的なことを書く人が現れても、皆でそれをガードしようという雰囲気さえありました。 例えば、あれはアカウントを作って2年目ぐらいだったかな、僕に対して所謂クソリプをぶつけてきた人がいて、僕が「けったくそ悪いツイートを読みたくないので、そのツイートが早くタイムラインの下のほうまで行って視

どうやれば今の若手社員を動かせるか?──H君との長話

ルーティンに追われ新しいことを始めない若手社員たち僕は大阪の放送局MBSを退職して2年近くなりますが、先日、久しぶりに昔の部下であるH君が会いに来ました。 正確には、上京する彼に合わせて僕が東京支社にのこのこ出かけて行ったわけですが。 H君は昨年から仕事の傍ら大学院に入って勉強しており、そもそもはその修士論文を書くために少し昔の話を聞かせてほしいとのことだったのですが、会って話をしてみるとそんな単純なことではなく、もっと根の深い話でした。 彼はそもそも最近の若手社員た

何が TV4.0 をもたらすか

facebook には「思い出」という機能がありますよね。そう、何年か前の同じ日の投稿を表示して、「あなたは◯年前にこんなこと書いていました」って知らせてくるやつです。 そこに 2019/1/19 に自分が書いた記事が出てきまして、そのちょうど5年後に読み返したのですが、僕はこんなこと↓ を書いていました: さて、5年後の今はどうでしょう? あの頃は僕はまだ毎日放送の社員でした。退職したためもう会社や業界の情報や動向は一切掴んでいないので、専門的なことは書けませんが、一