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脳の特定の神経細胞の働きを高めることで、老化が制御できる⁉
1月15日の朝日新聞デジタルに、「抗老化、脂肪と脳が重要 米グループがマウスで解明」という記事が出ています。
米ワシントン大学の今井眞一郎卓越教授らの研究チームが、脳の特定の神経細胞が抗老化に関わっており、その働きを高める実験では寿命が約7%延長したと、”DMHPpp1r17 neurons regulate aging and lifespan in mice through hypothalamic-adipose inter-tissue communication"というタイトルで、Cell Metabolismというアメリカの雑誌に掲載されています。
ポイントは以下の4点です。
•DMH Ppp1r17ニューロンは WAT 機能、eNAMPT 分泌、および身体活動を制御する。
•Ppp1r17は加齢とともにPKGによって細胞質に局在化し、シナプス機能不全を引き起こす。
•DMH 特異的なPrkg1ノックダウンは老化を阻止し、寿命を延長する。
•DMH Ppp1r17ニューロンの化学遺伝学的活性化は老化を遅らせ、寿命を延長する。
これはつまり、老化と寿命の制御における視床下部とWATの間の組織間コミュニケーションの重要性を示していて、将来、人の抗老化療法に道を開く可能性があるということですね。
ただでさえ、今の高校生あたりは「人生100歳」になりそうだと言われているのに、このような成果が明らかになり、研究が進むことで、人の寿命はもっと延びるんでしょうか。
ただし、寿命が延びると長い人生をどう生きるかというような、また別の問題が起こるわけですが、まずは抗老化療法の進歩に期待したいですね。