薬の正しい使い方②~副作用が出ても薬を飲み続ける?~
どうも薬剤師の川島敦です。
今日は薬の正しい使い方②『副作用が出ても、薬を指示通り飲んだ方が良い場合』について書いていきます。
前回は『薬を指示通りに飲む理由』について書きました。
簡単に言うと
・薬は指示通り飲むことで効果がしっかり出る
・薬は飲みすぎると副作用が出やすくなる
・薬を飲まない(少ない)と効果が出ない(治らない)
なので、薬は指示通りに飲んでね。
というお話でした。
副作用が出たら薬は止めるんでしょ?
薬をきちんと飲むのが大切なのはわかったけど、もし副作用が出た場合は薬を中止した方が良いんでしょ?
と思われる方が多いと思います。
僕もそう思っていました。薬剤師として薬と患者さんに向き合うまでは。
今は?
といいますと「ケースバイケース」
いや、ちょっと待て。
今回もそれか?
『ケースバイケース』で押し切ろうと思ってるのか!?
と思われた方。
そうなんです。やはり薬の使い方は最終的に「ケースバイケース」にいきつくのです。人の体はそれぞれ違うから・・・。
ただ、今回もこれで終わらないので安心してください。
ここからが本題です。
その「ケースバイケース」をどう見極めるか?
今から書いていくことを読んでもらうと「副作用(らしき症状)が出ても薬を続けて飲んだ方が良いケース」を理解してもらえると思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
『副作用は3つある』
そもそも薬の副作用とは何でしょうか?
一言で言うと「薬を指示通り飲んだのに出てしまう、体にとって害のある作用」です。(言葉の定義はおいておきます。)
ここでのキーワードは二つ
① 『指示通り飲んだのに』⇒これは前回でも書きましたが、薬を指示通り飲まない(多い量を飲む)と、副作用が数倍も出やすくなる場合もあります。
なので、やはり薬は『指示通り飲む』のが大切です。
(指示通り飲んでないと、万一の時に副作用救済制度の対象にならない場合があります。)
② 『体にとって害のある作用』
ここを深堀していくと、副作用が出ても継続した方が良いケースと、副作用が出たら中止した方が良いケースを見極められます。
それでは深堀していきます。
『3つの副作用』
・薬理作用
・薬物毒性
・薬物過敏症
専門用語が出てきましたが、もう少し頑張ってください。
かみ砕いて説明していきます。
(1つの項目で1記事かけてしまうので、ここでは簡単に説明していきますね。)
・薬理作用:薬の働きの延長で出てくる副作用
例えば、肩こり(筋肉をほぐす)薬を飲んだとします。
効果が出て筋肉がほぐれるのは良いのですが、効果が出すぎると筋肉がほぐれすぎて力が抜ける(眠気として感じる)、というようなケースです。
このタイプの副作用が出た場合は「効果」と「副作用」のバランスで薬を続けるかどうかを考えます。
今回の例ですと、筋肉がほぐれて痛みがラクになってきたし、眠気は多少感じるが生活には支障がないので薬は継続する、といった感じです。
・薬物毒性:薬が蓄積されて負担がかかる
薬を続けて飲むことで少しずつ内臓に負担をかけて起こる副作用です。
薬は主に肝臓もしくは腎臓で代謝(分解)されるものが多く、薬を続けてのむと、それらの内臓に負担がかかります。
継続して通院していると定期的に採血をすると思います。
その結果「腎臓(肝臓)の数値が悪くなっているので、一旦薬を減らし(止め)ましょう」というのがこのケースです。
薬を中止するか、減らして様子を見るか、そのままの量で様子を見るかは、効果と副作用(採血結果)とのバランスで考えることになります。
・薬物過敏症:アレルギー反応
特定の薬に対してのアレルギー反応です。
薬疹(薬剤性の湿疹)などがこれにあたります。この副作用が出た場合は、すぐに薬を中止します。症状によっては受診が必要になります。
また、一度アレルギー反応を起こした薬は、2回目も起こすことがありますし、同じ系統の薬でもアレルギー反応を起こすことがあるので、必ずお薬手帳に記載するなど把握できるようにしておきましょう。
ちょっと専門的な言葉が出てきましたが、副作用が出た時にどうするかまとめます。
副作用が出た時のまとめ
・薬理作用:薬の働きの延長で現れる副作用
⇒効果が出すぎて副作用が出てしまう(筋肉をほぐしすぎて、眠くなる)ようなケース。
効果と副作用の兼ね合いで継続か中止か判断。(ケースバイケース)
・薬物毒性:続けて飲んで蓄積されて内臓に負担がかかる
⇒腎臓(肝臓)に負担がかかってしまうケース。
効果と副作用の兼ね合いで継続か中止か判断。(ケースバイケース)
・過敏症:アレルギー反応
⇒薬疹など。即中止!
なんとなくイメージは湧きましたでしょうか?
薬を飲んで『副作用が出ても薬を続けて大丈夫』なケースがあることは、わかってもらえたと思います。
※万一、副作用かも?と思った時は「かかりつけ薬剤師」に相談してくださいね!
(今回のお話~副作用機序別分類~は薬学部・薬剤師の専門領域です。)
今回の話は参考になりましたか?
次回は
薬の正しい使い方③~薬を指示通り飲まないと損するよ~
を書こうと思います。
良かったらまた見に来てください。
薬剤師の川島敦でした。
※この文章は、薬に対しての概念・イメージをもっていただくためのものです。
※例えで出した事例と個々の医薬品の特徴とは異なる場合がございます。
※処方された薬は医師・薬剤師の指示通り、市販薬(OTC)の説明書通りに飲んでいただくことが大原則です。
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