江戸時代から続く薬草店を引き継ぐことになりました。
始まりは去年の七月。
前々から気になっていた、店の入り口にサルやヘビが飾られ、とても古くて雰囲気のある薬草の店を、思い切って訪れました。
お店の中は、天井から紙袋に入った薬草が吊るしてあり、壁には日本の薬草の名前が書いてある古めかしい箱がずらりと並び、軒下には大きな古い薬の看板、店の奥にはひと際目をひく薬味箪笥が鎮座。
初めてご主人にお会いした日は、当たり障りのないことをお話ししてお店をあとにしたような気がします。
そしてその後、私がいつか漢方薬局を開きたいと考えていることがご主人に伝わり、「このお店を来年(2021年12月までに)たたむので、あなたが漢方のお店を開きたいなら、私のところのお客様を引き受けてくれないでしょうか?」との申し出がありました。
開業を思い切ることができない時だったので、その言葉が嬉しくて、即答、やります!と言っていました。
それからは以前noteで書いていたように、自分の名付けた薬局で、新規に開業するつもりで準備していたのですが、京都府よろづ支援拠点の方に、事業承継補助金というものがあるので、応募してみては?との助言をいただき、その時初めて事業承継という道があることを知りました。
そして薬草店のご主人と話す中で、正式に私が薬草店の9代目として事業を受け継ぐ、事業承継という形でやりましょう、ということになりました。
そこで、補助金申請のことで商工会議所に相談に行ったところ、補助金申請よりも、まずは正式に事業を譲渡するという書類を作って、第三者に何も言われないようにしたほうが良いです、その支援を行っている機関(京都府事業承継・引継ぎ支援センター)があるとのことで、紹介してくださいました。
そしてその方のコーディネートのおかげで、事業譲渡する条件等が決められ、譲渡書類を作成し、正式に私が引き継ぐことになりました。
(結局補助金は私の例では当てはまらないとのことで、申請は見送りました。)
私が引き継ぐお店は、1701年(元禄14年)創業の平井常榮堂薬房(ひらいじょうえいどうやくぼう)といいます。代々血縁で受け継がれてきたお店。でもとある事情で一旦は閉業を決意されました。
今営業されている江戸時代からの建物で、そのまま引き継げたらよかったのですが、諸般の事情で叶いません。
大学生の時に民間薬にとても詳しい先生に出会ってこの道に進んだ私が、多くの薬草、民間薬を扱うお店を引き継ぐことになり、とてもご縁を感じています。
平井常榮堂の伝統と、私のこれまで生きてきたいろんな要素をミックスして、皆様に薬草を身近に感じていただけるお店にしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。