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公民館関係者研修会【講演】

この研修では鹿児島県内の公民館主事や館長が活用方法などを学ぶ年に一度開催される機会です。
初めての試みとしてYouTube配信がされたようです。会場に足を運ぶのはこれが最後になるかもしれません。YouTube参加を含めて175名、会場で122名が参加しました。

最初に各種表彰式の後、講師は鹿児島大学文学部法経経営社会学科金子満准教授です。高校生で町内会長になった息子さんがおられるそうです。パワポを使った分かりやすい解説は大学の講義を受けているかのようです。

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『公民館における原稿と今日的な役割』
鹿児島大学文学部法経経営社会学科金子満准教授
・現在の社会状況の把握
・現在の社会状況を踏まえた、公民館活動の意味や意義の再確認
・「底が抜けない地域社会」生活基盤としての地域の再生および創造
これからの公民館活動の在り方

というのがメニューです。
少子高齢化社会における人口問題(実際に講演に使われたのは国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年度推計)を利用されました。
年功序列、年金制度をはじめとする「人口が増えると所得が増える」高度成長期に作り上げた、仕組みとそれを元にした教育システムは社会的役割が変わりました。
生産年齢人口(15歳~65歳)が老年人口(65歳~90歳)を支える社会モデルは終焉を迎え、既に機能不全を起こしています。

平成28年版厚生労働白書

(平成28年版厚生労働白書図表1-1-3 人口ピラミッドの比較)

戦後の経済成長が社会的目的であった時代、1人前にできる均一化された人を育て、強固な社会・産業システムを形成し、成功を収めました。しかし、コロナ社会の到来によって社会的分断が頻躇にみられるようになりました。

個人の短所や非効率性を補うのにはお互いに補うようなコミュニティ協議会などの自治組織が重要になってきます。

現在、この転換期において、社会モデルを転換する絶好のチャンスが到来していると言えます。まずは様々なシステムの意義は価値を問い直し、新たに組み替えて、次世代に継承する作業が必要です。積み上げた歴史や伝統・文化を一新するのではなく、人口減少社会において組み替えて、次世代につなげる「タスキ」が望ましいのです。

公民館図説「公民館構想」

公民館の目的と役割をまとめたもの、それが公民館構想です。
1945年、公民館を規定した社会教育法が制定され法的整備が図られました。その第5章「公民館」に多くの条文をついやして公民館の目的、設置者、事業、運営方針、基準、職員、公民館運営審議会など詳細に明示されています。特に第20条には、公民館の目的として「公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」とうたっています。

戦後復興のために、公民館の設置を推奨する通達には公民館を各団体が総提携して町村復興の底力を生み出す場とし、さらに、上からの命令で設置されるものではない、としています。町村民の自主的な要望と努力によって設置され、創意と財力によって維持されていくことを理想としていました。

1954年、公民館の設置を説明する解説書といわれる「公民館図説」が、当時の文部省公民教育課長・寺中作雄氏らが作成した構想案を連合国総司令部(GHQ)成人教育担当官・ネルソン氏らがまとめました。
・公民館は民主的社会教育機関です。
・公民館は村の茶の間です。
・公民館は親睦交友を深める施設です。
・公民館は産業振興の原動力です。
・公民館は民主主義の訓練場です。
・公民館は文化交流の場です。
・公民館は郷土振興の機関です。

現代社会において、何が重要なのかを見極め、何をどう引き継ぐのかを見極める時です。

公民館の役割はこれまで重視してきた「学習権の保証」「文化及び住民交流の場」「産業や福祉も含めた住民自治の基礎形成」を担う公民館。「誰も取り残さない、そこが抜けない地域」が求められています。

その為に生活者として住民一人一人が自らの存在を確認しながら「自ら生活する地域社会」を「他の住民」と共に「つながり合いながら」再構築・再創造していく必要があります。あらゆる団体や組織が響き合う「響同(きょうどう)」の指揮者が公民館なのです。


昼休憩を挟み、次の講演です。

『公民館における消費者教育』
鹿児島県消費生活センター松清雅行専門員
・消費生活センターの役割
・地域での消費者教育が必要な理由
・公民館と消費生活センターの連携
・消費生活講座の例

マイライフかごしま(くらしの情報)2021.7

高齢者の消費者トラブル見守りガイドブック

鹿児島県消費者行政推進室運営の公式Twitterをフォローしませんか?

鹿児島県消費生活センター

上記資料の読み合わせでしたので、内容を割愛します。


『災害時における公民館お役割と課題~避難生活を支える視点から~』
鹿児島県専門防災アドバイザー/鹿児島大学共通教育センター岩船昌起教授
・災害時の公民館の役割
・避難生活を具体的に知る
・分散避難の中で避難所運営
・避難所定員の設定~避難所運営の本質的課題~
・その他 周知、他地域2週間など
・公民館が地域の避難生活の拠点

災害時の公民館の役割
避難所‥住環境の被災により衣・食・住、生活のリズムを維持できない。

避難生活を具体的に知る
東日本大震災岩手県山田町(参考:岩手県山田町HP
被災時には記録(必要物資、ボランティアのシフト、支援物資の配分、震災時の組織)が重要。

口永伊良部島噴火災害(参考:内閣府資料HP
避難所のプライバシースペースの確保
マスコミ各社へ取材自粛要請(定例会見の実施、電話取材の自粛、避難所での取材制限)
長期対応、集落毎の入居(若い人を混ぜる)、傾斜・勾配に配慮

避難所定員の設定(参考:新型コロナウイルス感染症対策を考慮した避難所定員(収容可能人数)の算出方法
避難所での個人占有区画:4㎡:2mx2m、定員目安:広さx1/10、大便器:10~20人/1基


『愛言葉は「だーい好き!』~めざせ!公民館関係者「プロジェクトX」~
鹿児島市中央公民館常深透館長
・第1の視点 キラリ①「Momのこころ」みんな違ってみんないい
 M:見つめる o:思いをめぐらす m:向き合う
・第2の視点 キラリ②「WTGのこころ」真の仲間(ワンチーム)づくり
 W:わからない時に分からないと言える T:つらいときにつらいと言える G:頑張った時に頑張りを認めてもらえる
・第3の視点 キラリ③「めざせプロジェクトX」自分らしさの追求
 愛ての存在感を見出し(ヘッドライト)、よさを発掘し(テールライト)、その「よさ」を承認・支援していく

参考資料「じんけんハンドブック」鹿児島県人権同和対策課