見えない色は何色なのか?
田中親美(シンビ)サンの「平家納経」の模本の展覧会図録を参考に、ノロノロと私は模写を進めていた。
ノロノロにも一応理由があって、単に真似するのだから簡単そうに見えるけれど、そもそも色がついていない、何色かわからないところがあるのだ。
これは現状模写なのか。
実は模写には「現状模写」と「復元模写」がある。
「現状模写」は今ある状態をそのまま模写するとさこと、「復元模写」は制作された当時を再現する模写のことだ。
「平家納経 模本の世界」図録によると、田中親美さんは厳島神社に奉納した後、厳島神社からシケ(シミ)直してほしいと連絡がをもらった。
シンビさんは一部の巻数はシケ(シミ)があったので、忠実に現状模写した計画的なシケだと答えたが、厳島神社側でも確認してみると、まさにシンビさんの指摘した巻数のみシケがあり、原本通りだったというエピソードが載っている。
となると、やっぱり現状模写かな。
色がわからない箇所。
例えば右上の女房サンの表着の内側は端の部分だけすこーし緑色になってるけど、白からのグラデだから薄いの?それとも絵の具が取れてしまったということ?
この部分の塗り方については実は親美サンも、益田本(かなり緑部分少ない)、厳島神社奉納版(結構緑)、大倉本(かなり緑)などバージョンによって変えていると後で知った。親美サン迷ったのかな?(そんなはずないじゃん!)
比較はこちらをご覧ください↓
他にも右下の女房サンの唐衣、青い木瓜紋が袖口など不明な部分は多く、シンビさんの美的センスで決めたのか、クライアントの好みを入れたのか、そもそも何色なのか、色無しなのか、謎は尽きない。
もう、想像で決めるしかない!と右上の女房サンの表着を緑にがっつり塗ったら、先生からダメ出しが!
これは銀がベースで袖口が緑、唐衣も木瓜紋の上にうすーく銀をかけるとのこと。
あああ…直すことになりました。