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江島神力という島の在来小麦

小麦の畑がぽつりぽつりとこの島にはある。
曇天の下、北からの寒風に揺られ春を待つ。

伊江島では琉球王朝時代に盛んに小麦が栽培されていたそうですが、今なお少ないながら栽培が続いている。
その中には栽培100年といわれる在来品種もある。
"江島神力"という名の小麦だ。

伊江島の"江島"、そして"神の力" なんてすごい名前なのだと勝手に想像していたのだが、全く違うところに名前の由来があった。
実はこの小麦、大正時代に福岡農試で品種改良が行われたもので交配親にその名の由来を持つ。その両親品種は江島、神力という2つ、そのかけ合わせで"江島神力"というのだ。この"江島神力"は昭和初期 北部九州の基幹品種であったとあるが今でも栽培は続いているのだろうか。

ここ伊江島ではほそぼそと栽培が続いていたものの衰退の一途、そこで島の有志が集まり「島人の食を支え続けた伊江島の小麦を守りたい」と栽培を続け今では島を代表する在来品種として様々な加工品も生まれ脚光を浴びている。
戦争中には防空壕に小麦の種を隠し持って守り育ててきたという先人たちの想いが詰っている。

"江島神力"(えじまじんりき)
なんとも良い名の小麦だ。
少し北の島に買って帰ろうと思う。

島のシンボル タッチュー(城山)を背にして

播種日と"神力"とだけ書かれていた。

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