【働く世代へ】睡眠改善でパフォーマンス向上②
はじめに
前回の記事では働く世代の3~4割が睡眠に満足していないという調査結果について触れてきました。
☞【働く世代へ】睡眠改善でパフォーマンス向上①
睡眠不足はパフォーマンスの低下につながりやすいです。
満足のいく睡眠は”量”よりも”質”を上げることです。
睡眠の質を上げるには睡眠前の行動が大事になります。
睡眠を改善するとパフォーマンスが向上する
睡眠を改善するとどのような影響があるでしょうか。
今回は睡眠科学のメッカであるスタンフォード大学のメソッドを参考にさせて頂きます。
本大学の教授である西野精治先生によると、睡眠行動の改善によるパフォーマンスの向上を報告されています。
睡眠を改善することによってタップテスト(モニター上にランダムで数字が出てくる箇所にタップする)の成績向上、バスケットボール選手のシュート成功率向上などの成果が見られました。
睡眠を改善する「黄金の90分」と睡眠前の行動
良質な睡眠が日中のパフォーマンス向上につながることは前述の通りです。
いかに睡眠が大事なのかはご理解頂けると思います。
では、睡眠の中で最も重要な時間はいつでしょうか?
もちろんどの時間も重要かもしれませんが、寝始めて最初の90分が一番重要です。
西野先生はこの90分を「黄金の90分」と定義しています。
睡眠時は眠りの浅いレム睡眠と眠りの深いノンレム睡眠を繰り返します。
「黄金の90分」では最も深いレム睡眠が訪れます。
その後、朝に向かって段階的に振れ幅は小さくなっていきます。
この「黄金の90分」は脳内の情報を整理し、成長ホルモンなどが分泌されることで脳や体の回復をしてくれる時間です。
そのためこの寝始めの時間をより良い質で迎えるためには睡眠前の行動がカギとなります。
良い睡眠を迎える睡眠前の行動
良い睡眠を迎える具体的な睡眠前の行動とは「就寝90分前にお風呂に入って湯船につかる」です。
時間のない方は「就寝30分前にシャワーを浴びる」でも良いです。
何故このような行動を取るかということを理解して頂くには、深部体温と表皮温度について理解頂かなければなりません。
深部体温:筋肉や臓器など体の奥深くの温度のこと
皮膚温度:皮膚表面の温度のこと
眠りのスイッチを入れるには、まずこの深部体温を上げることが大事です。
人間にはホメオスタシスという大きな変化があると元に戻そうとする力があり、上がった深部体温を下げようとする力が働きます。
この深部体温が下がった時に眠気を感じ、深い眠りに入ることができます。
湯船につかって上がった深部体温が下がるのに90分かかるので、就寝90分前にお風呂に入ると良いです。
深部体温を下げるには表皮温度を上げて熱を逃がす、”熱放散"をする必要があります。
手や足には毛細血管や汗腺が多く、熱を効率よく逃がしてくれます。
眠くなると手足が温かくなることはありませんでしょうか?
冷え性の方で靴下を履いて寝ることもありますが、足が温まったら脱いでしまったほうが良いです。
足からの熱放散ができなくなり、眠りの質を落としてしまいます。
頭からも熱放散しますので、「蕎麦殻やそれに近いビーズ素材などの枕を利用する」と熱も逃げて質の良い眠りにつながります。
睡眠を妨げる要因
ダイエットなどによって夕食を抜く方がたまにいます。
それはダイエットの観点からも、睡眠の観点からも止めた方が良いです。
夕食を抜くとオレキシンというホルモンが分泌されます。
オレキシンは覚醒を促すホルモンであると同時に、食欲を促すホルモンでもあります。
就寝前にオレキシンが多くなると眠れないばかりか夜食を食べてしまいたくなります。
どちらにもマイナスなので夕食を抜くことはおすすめしません。
その他、睡眠時無呼吸症候群やむずむず足病(レストレス・レッグス症候群)などは良質な睡眠の妨げになります。
これらの疾患がある場合は専門医に相談して治療すると、睡眠に対する悩みも改善する可能性があります。
睡眠を改善する具体的な方法まとめ
最低6時間以上の睡眠が日中パフォーマンスを向上させると前述しました。
ただ、実際のところ4割程度の方が6時間も睡眠が取れていません。
しかし「黄金の90分」の質を良くすることで睡眠全体の満足度も向上することがわかっています。
どんなに睡眠が短くても「黄金の90分」さえ良くしておけば、日中のパフォーマンスはいくらか向上します。
ちなみにショートスリーパーという、「ちょっと寝れば大丈夫!」という方がたまにいます。
ナポレオンもその一人だったようです。
ですが、ショートスリーパーというのは先天的なものなので真似しないほうが得策です。
睡眠の質を改善させるには
「就寝90分前にお風呂に入って湯船につかる」
もしくは「就寝30分前にシャワーを浴びる」
「蕎麦殻やそれに近いビーズ素材などの枕を利用する」
といった行動を起こしてみてはいかがでしょうか。
1人でも多くの方の睡眠の質が改善してパフォーマンス向上につながれば幸いです。
それではまた!
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