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暮らしの薬学【介護用品編】~①介護用品、福祉用具とは?

ミズホ「一人暮らしのおばあちゃんが、家の中で転んじゃって。足を骨折して入院したの。動けるようにリハビリしてから退院するんだけど、大丈夫かな・・・。入院して初めてシニア用おむつを使うようになったけど、おむつもいろいろあるのね。」
薬剤師ナナコ「一人でなんでもできるおばあちゃんも、今回はちょっとびっくりしたよね。今後転ばないように、滑らないように家の中をもう一度見直した方がいいかもね。廊下やお風呂場、トイレなど、手すりを付けると安心ですね。」


介護用品?福祉用具とはどう違うの?

「介護用品」と「福祉用具」は、同じような使い方をする製品が多いものの、その使用目的に違いがあります。
介護用品は生活の支援を目的とした福祉機器や製品を表します。要介護者の自立を支え、生活の質を高めるためと同時に介護者の負担を軽減することを考えて設計されています。つまり「介護者」が「要介護者」のために使用するケースが多く、身体の不自由さを補助するためのベッド、車椅子、歩行器などがあります。また、食事や入浴、トイレなどの日常活動をより簡単かつ安全に行えるようにするため、紙おむつやおしりふきといった日用消耗品も含まれるのがポイントです。
福祉用具は、介護や機能訓練(リハビリ)を目的とした介護機器です。日々の生活で直面する小さな困難を解決し、自助努力によって、健常者に近い日常生活を送るための「補助器具」のような立ち位置であることが多いです。そのため、福祉用具は、介護者の使用を考慮していないことも多く、介護向きではないとも言えます。
 さらに「福祉機器」というのがありますが、これはリフトなどの機械を含むより広い範囲の商品を指すときに使います。

【福祉用具例】
〇移動支援を目的とする用具:車いす、歩行器、杖など、移動を支援するもの。
〇生活支援用品:手すり、介護用ベッド、椅子、座椅子、入浴介助用品(浴槽の手すりやシャワーチェアなど)など、日常生活の動作をサポートするもの。
〇健康管理用品:血圧計、体温計、体重計、パルオキシメーターなど、健康状態をモニタリングするための機器。
〇介護衣類等:着脱が容易な衣類、おむつなど、介護が必要な人の衛生管理や快適性を高めるもの。
〇食事支援用品:すべりにくい食器やカトラリー、箸、ストロー、食事用エプロンなど、食事をしやすくするためのアイテム。

Q.骨折して入院したおばあちゃん、退院したら介護用ベッドが必要になるけどどこで買えばいいの?

介護用品ショップ、通販などにいろいろな商品が販売されているので直接購入することもできます。しかし、40歳以上が加入している介護保険制度を利用することで、購入やレンタル費用の一部が免除になるサービスがあります。ただ、その介護保険を利用するためには、申請が必要です。自分で行うこともできますが、自治体に申請して認定調査、認定審査会、認定といった手続きを行うのは大変です。まずは住所地を管轄する地域包括支援センターに相談し、ケアマネジャー(介護支援専門員)の紹介をしてもらい、介護用ベッドはどんなものが良いのか、他にどのようなサービスを受けられるのか、自分たちが必要とするサービスは何かなどケアマネジャーさんからのアドバイスを受け、申請代行をお願いするとよいでしょう

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書

●福祉用具とはどんなもの?介護保険でのレンタルや補助制度について(ライフル介護)
https://kaigo.homes.co.jp/manual/homecare/basic/fukushiyogu/
●福祉用具・住宅改修(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html

<参考図書>
『介護なんでも110番』(株式会社主婦の友社2000)

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<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。