暮らしの薬学【家庭用洗剤・除菌/漂白編】~④家庭内の感染対策
漂白剤にも除菌効果があるっていうけど、消毒用アルコールとかそれに洗剤とかどう使い分ければいいのかなぁ?
家庭で使っている漂白剤の除菌効果について説明したところで、アルコール消毒はどうなの?って疑問がわいてきますね。
家庭内の感染対策
家庭用漂白剤以外で身近な消毒剤と言えば、アルコールでしょう。一口にアルコールと言ってもいろいろな種類があります。飲料として飲むお酒(ビール、日本酒、ワインなど)や手指の消毒ができる医薬部外品のアルコール製剤(消毒用エタノール)、調理器具用などの消毒をする食品添加物のアルコール製剤です。
手指の消毒については、暮らしの薬学【身体用・ケア編】で詳しく説明しますが、消毒用エタノール以外には、逆性石鹸(塩化ベンザルコニウムなど)も手指の消毒効果があります。
アルコール消毒剤は、すでに調整されているポンプタイプが多く、スプレーで吹きかけてすぐに乾燥するので使いやすいでのですが、水で薄まると効果が激減します。ですから濡れた手や汚れた食器に吹きかけても効果は期待できません。必ず水気や汚れを除去してから使用しましょう。次亜塩素酸ナトリウムは、漂白と除菌ができますが、用途によって濃度の調整を行う(④漂白剤を使った消毒方法について教えてくださいQ&A参照)など手間がかかったり、酸性タイプ洗浄剤と同時使用を避けるなど注意が必要になります。
それぞれの商品の使用上の注意をよく確認してから使うようにしましょう。
Q. 塩素系漂白剤を使った消毒方法について教えてください
塩素系漂白剤は薄めて作ります。原液の濃度が5~6%のものでは、ペットボトルのキャップ1杯をきれいに洗った 500mlのペットボトルの半分まで水を入れて、そこに塩素系漂白剤を入れた後、水をいっぱいまで加えると 0.05%の消毒液となります。使用方法は、手荒れの原因となるためビニール手袋等を着用し、消毒液を布に浸してふき掃除をします。使用部分は、ドアノブ、窓の取手、照明のスイッチ、ソファー、テーブル、椅子、電話機、パソコンのキーボードとマウス、小児の玩具、床、壁、水道の蛇口、洗面器、排水溝、トイレの便器・ふた・流水レバーなど家族がよく使うところを拭いてください。食器の殺菌、拭き掃除に使い、手指などの消毒には使わないようにしてください。
もっと勉強したい人に~参考リンク・参考図書
●細菌による食中毒に気をつけよう(日本石鹸洗剤工業会)
●食器、調理器具等の消毒方法(株式会社東洋微生物病研究所)
●キッチンハイターで ウイルス除去※!(花王)
●漂白剤を使った消毒液の作り方(登別市)
<参考図書>
『子どものための感染症予防BOOKパンデミックを生きぬくための101の知識』
『洗浄と殺菌のはなし 最新版』
<関連記事>
暮らしの薬学【家庭用洗剤・除菌/漂白編】
① 除菌・漂白とは
② 除菌/漂白成分の種類と性質
③ 漂白剤の選び方と注意事項
④ 家庭内の感染対策
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<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。