暮らしの薬学【スキンケア・フェイシャル編】~③ クレンジング、洗顔、そしてスキンケア
洗顔だけで落ちない油分のよごれはクレンジングで・・
お化粧をしていたり、日焼け止めを塗っていたり、顔には洗顔フォームだけでは落としづらい油分の汚れ、そして皮脂汚れがあります。まず、この油分たっぷりの汚れを落とす必要があり、これをクレンジングと呼んでいます。
クレンジング剤にはいろいろな種類があり、油剤、水分、界面活性剤の配分比率の違いにより、クレンジングオイル、クレンジングリキッド、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングミルクなどの種類があります。落としたい化粧成分(マスカラ、口紅、ファンデーションなど)や肌の状態に合わせて選びます。
次に洗顔です。洗顔のポイントは、洗顔フォームをしっかり泡立ててからその泡を顔になじませて汚れを包み込んで洗い流すということ、そして洗顔後、顔についた水分をやさしくタオルで吸い取るようにするということでしたね(暮らしの薬学【からだ洗剤・洗浄編】~④<正しい洗顔方法>、(暮らしの薬学【からだ用洗剤・ケア編】~②洗浄後のケア)。
そして、洗顔後にはフェイシャルスキンケア
顔を洗うと、洗浄剤で肌の㏗がアルカリ性に傾いたり、必要以上に皮脂が洗い流されたり、とどめに洗顔後にタオルでごしごし拭いたりすることによる摩擦で「バリア機能」がそこなわれてしまいます。バリア機能が低下すると肌は乾燥するため、保湿ケアが大事です。化粧水で肌表面の保湿をする、乳液やクリームなどで蓋をして揮発するのを防ぎます。乳液はみずみずしく皮膚になじみやすいですが、クリームは油分が多いためうるおいを保つ効果(エモリエント効果)が高いと言われています。化粧水・乳液を使い、正しくスキンケアをする方法を説明します。
◇化粧水・乳液の使い方
① 手のひらに化粧水を適量とります。
② 顔をやさしく手のひらで押さえるように化粧水を染み込ませます。(乾燥している部分は重ね付けし、皮脂の多い部分は少なめにします。ぱんぱんと叩き込む必要はありません。)
③ 乳液を手のひらに適量取り、顔をやさしく押さえるように染み込ませます。 “肌にすりこむ”ようにすると逆に、摩擦が肌への刺激になるためあくまでも、肌の上にのせるようにひろげます。
Q. 化粧品に配合されている「グリセリン」は「グリセリン浣腸」のグリセリンと同じですか?
同じ成分です。
グリセリンは無色透明の粘り気のある液体で、高い吸湿効果を持つことから、化粧品や軟膏などの保湿成分として使用されています。また、甘味があり水に溶けやすいことから、食品添加物として甘味料や保存料、保湿剤、増粘安定剤などにも使用されています。
日本薬局方グリセリン(第2類医薬品)は、2倍に薄め調整した(グリセリン50%配合の)医薬品です。直腸内への注入によって腸管壁の水分を吸収することに伴う刺激作用により腸管の蠕動を亢進させ、また、浸透作用により糞便を軟化、膨潤化させることにより糞便を排泄させると考えられています。
グリセリンはその原料によって「植物性グリセリン」と「合成グリセリン」に大別されます。化粧品に配合されているものは、ヤシ油やパーム油などの植物油を分解・精製した植物性グリセリンです。「合成グリセリン」は名前の通り、合成により精製されたもので純度が安定し、劣化の心配が少ないため、医薬品分野で使用されます。
もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書
●暮らしの薬学【からだ用洗剤・洗浄編】~②成分と働き
●暮らしの薬学【からだ洗剤・洗浄編】~④洗顔、ボディソープ、ハンドソープの選び方と使い方
●暮らしの薬学【からだ用洗剤・ケア編】~②洗浄後のケア
●暮らしの薬学【局方品①掃除編】~①局方品とは?
<参考図書>
『グリセリン浣腸液50%「ムネ」添付文書』
『賢い化粧品の選び方 ―スキンケアの正解は成分で分かる―』河出書房新社