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暮らしの薬学【からだ用洗剤・ケア編】~③手洗い

手を洗う、手指を消毒するということ

ご飯を食べる前の手洗いは、手に目に見えない細菌やウイルスがついたまま食事をすることで食中毒の原因となることを防止するため、大事な習慣です。コロナが流行してからは、手洗いだけでなく、手指の消毒をする習慣が定着したのですが、洗剤や石鹸、そして消毒剤はコロナ流行以前とかわっているのでしょうか。次に手洗いに使う石鹸や消毒剤について説明しましょう。
手の細菌やウイルスは、まずは正しく手を洗うことで手から離れていきます。その時に使用する石けんや洗剤はこれまで紹介してきた界面活性剤で十分です。
しかし、コロナが流行してからは、殺菌・消毒する成分を配合した薬用ハンドソープがたくさん登場しました(参考:【からだ用洗剤・洗浄編】~①体を洗う洗剤について)。
手洗いのあとはペーパータオルで十分に水気をとってから消毒するのが手指消毒においてもっともいい方法ですね。
その手指消毒ですが、建物に入るときはアルコール、次亜塩素酸水で手指の消毒をしていますね。さらに、塩化ベンザルコニウム、日局エタノールなどの医薬品成分が入ったハンドタイプの消毒剤(指定医薬部外品)が発売されるようになり、家庭でも手を洗うだけでなく手指の消毒も日常的になりました。

Q. 殺菌効果がある「逆性石鹸」ってなんですか?

逆性石鹸は、「石鹸」という名前にも関わらず、洗浄効果はほとんどなく、その代わりに殺菌・殺カビ効果があります。普通に使っている石鹸や洗剤は「陰イオン界面活性剤」と呼ばれ、水に溶けるとマイナスの電気を帯びる性質を持っています。
一方、逆性石鹸は、水に溶けるとプラスの電気を帯びる「陽イオン界面活性剤」なのです。普通の石けんと逆の性質を示すので「逆性石鹸」と呼ばれています。
この逆性石鹸は、医療現場の器具消毒(塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウム)やトローチやうがい薬(塩化セチルピリジニウム)に使われています。しかしながら、インフルエンザウイルスやロタウイルス、ノロウイルスなどに対して殺菌・消毒効果を持たないので使用する際はご注意くだ
さい。

もっと勉強したい人に~参考リンク・参考図書


逆性石鹸と普通の石鹸の違いは?使い方のポイントは?

新型コロナウイルスに有効な界面活性剤及び次亜塩素酸水を公表します(最終回)(経済産業省)

どうして手を洗うの?(農林水産省)

<参考図書>
子どものための感染症予防BOOK パンデミックを生き抜くための101の知恵
菌・カビを知る・防ぐ60の知識 ― プロ直伝!防菌・防カビの新常識

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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。