将棋自戦記#14~第6期指す将順位戦第2局~vsネブラスカさん
みなさんこんにちは、やきそばです。空前の自戦記ブームに勝手に喜びを感じている今日この頃、私も再び対局の出番が回ってきました。対局があればその振り返りがあり、そして振り返りをした先に待っているのが自戦記の執筆ですね!前期・今期はそのために指す順に参加していると言っても過言ではありませんからね!(※個人の感想です)
そんなこんなで、早くも2回戦を終えた世界線から私やきそばが自戦記をお届けして参ります。つくづく思うのがこの時間経過の速さ。なんてったってもう2回戦を指し終えてしまいましたからね。この調子でいけばあっという間に終わっちゃう気がします。長いようで短いこの半年、うっかりしていればすぐに閉幕しちゃいますから、気を抜くことなく戦い続けたいものです。ではではひとまず本編へ~。
局前の準備~ネブラスカさん編~
2回戦の対局相手はネブラスカさん。前回のデメテルさんに続いて、第5期からの昇級組との対局になりました。昇級組といっても、これまで長らくB級3組で戦ってきた方。前期こそB級4組に参加されていましたが、1期抜けという形で堂々のB3復帰を果しています。第1期から指す順に参加されているベテランでもあります。
そんなネブラスカさんの棋譜を拝見したところ、どうやらオールラウンダーのようでした。ざっと見ただけでも「角換わり」「相掛かり」「対四間急戦」「四間飛車穴熊」「石田流」「相振り飛車」などなど・・。採用している戦型は本当に様々で、その幅広さからもネブラスカさんの器用さを窺い知ることができます。私も多少は相手によって戦型の出し入れができるように、角換わりも指す振り飛車党なんかを自称してきましたが、ここにきて本当のオールラウンダーとの対決です。特定の戦型に誘導するのは難しいので、せめて序盤数手に応じた戦型選択だけは考えるようにしました。
vsネブラスカさん先手番
▲7六歩△8四歩▲5六歩:先手中飛車
▲7六歩△3四歩▲7五歩:石田流or相振り飛車
▲7六歩△5四歩▲7八飛:相振り飛車(三vs中)
vsネブラスカさん後手番
▲2六歩△3四歩▲7六歩△5四歩:ゴキゲン中飛車
▲7六歩△8四歩▲2六歩△5四歩:ゴキゲン中飛車
▲7六歩△3四歩▲6六歩△8四歩:対振り、elmo急戦志向
▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩:対石田、elmo急戦志向
これまで採用してきた戦型から選んでいるので、特に新しいところはありません。ですが、分岐点で迷いが出ないようにある程度絞るということを意識しています。例えば、先手番で▲7六歩△8四歩なら▲2六歩以下の角換わり志向も選択肢に入りますが、ここでは▲5六歩に決め打ちしています。基本的には「対抗形になりそうなら対抗形にする」というのを軸に選別しました。ネブラスカさんの棋譜に「相手が振ってから自分も振る」棋譜が少なかったというのがその理由。対抗形党が相手なら探り合いの序盤になるパターンですが、オールラウンダーのネブラスカさんなら態度を決めてくれるだろうと信じていました。
2度の想定外
第6期指す将順位戦B級3組2回戦
令和3年6月16日21時於・将棋倶楽部24 大阪道場「レーティング対局室」
▲ネブラスカ △やきそば(持ち時間各15分、秒読み60秒)
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩
▲2五歩 △5二飛 ▲4八銀 △5五歩
▲6八玉 △3三角 ▲3六歩 △4二銀(途中1図)
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀
▲7八玉 △6二玉 ▲5八金右△7二玉
▲7七角 △8二玉 ▲8八玉 △9二香
▲9八香 △9一玉 ▲9九玉 △8二銀
▲8八銀 △7一金 (第1図)
21時にいざ対局開始。前局とワクワク感とはまた違った、独特の浮ついた感覚に襲われながら対局に臨みました。本局はそれなりに絞ったのにもかかわらず、序盤早々から私は当初の予想に裏切られてしまいます!後手番になった私はゴキゲン中飛車志向で△5四歩。対する裏切りの第一歩が超速模様の立ち上がり(途中1図)でした。ネブラスカさんが超速というのは、そこまで指しているイメージが無く、超速でない形の急戦形の可能性を考えていたので意表といえば意表でした。ですが超速なら私も受けて立つところ。得意形ではないにしろ嫌ほど遭遇している相手です。二枚銀の急戦なら全力で迎え撃ってやるぜ!と意気揚々と銀対抗に組んだところで▲7七角とネブラスカさんは構えます。▲7七角・・・?
持久戦やんけ!!!
そう、2局連続で中飛車vs超速穴熊の組み合わせになったのです。先後は違うとはいえこれは一本取られた形です。感想戦では「ほぼ初めて指した」とのお言葉を頂きましたが、一方の私は「前局を見られて決め打ちされたか・・・?やばいよやばいよ・・・!」と心の出川を抑えられずにいられません。しかし、今期はあくまで地力を信じて迎え撃つ方針。動揺している自分を受け入れて、それでも立ち向かうべく穴熊を選びます。美濃囲いもちらつきましたが、さすがにそれで勝てる気はしなかった!
駆け引きは成功?
第1図以下の指し手
▲7九金 △7四歩 ▲3七桂 △4二角
▲6八金寄△3二金 ▲1六歩 △7五歩
▲同 歩 △同 角 ▲7六歩 △8四角(途中2図)
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩
▲2五飛 △3三桂 ▲2九飛 △5六歩
▲同 歩 △4八角成(第2図)
中飛車穴熊は迷いと選択の連続です。△3二金と上がること1つを取っても勇気が必要ですね。駒組みが一通り終わって、難しい中盤戦に突入していきます。前回の自戦記にも書いた通り、いかに右辺の膠着状態を保ちつつポイントをあげるか・・・というのがこの戦型における私の持論。今回は7筋の歩交換のあと△8四角(途中2図)と構えたのが趣向で、若干バランスの悪い居飛車の飛車回りを遠く睨み、△5六歩を効果的に突けるようにしています。この歩突きから△5七歩成を決めることができれば、かなりのびのびと指せるのではないかという読みです。
ネブラスカさんは2筋の歩交換の後▲2五歩。これには手順に△3三桂と跳ねられて満足だと言いたいのですが、4五やら3三やら2四辺りに争点を作ってしまったようにも思えます。手順に桂を跳ねて悪いわけはない!と信じたいなぁ。
本譜は△5六歩▲同歩△4八角成(第2図)とあっさり馬作りが実現。さすがに馬を作ったら後手良しだと思う自分と、ここまで神経を使う展開に明らかに良さを感じない自分の不一致に不安を覚える展開。実際ソフトに聞いてみると互角の数値を示すので、あながち自分の判断は間違っていなかったのでしょう。居飛車穴熊と振り飛車穴熊では神経の使い方が違う気がして、なんだか理不尽です!
痛打に冷静さを欠く
第2図以下の指し手
▲4五桂(途中3図A)△4七馬 ▲4九飛 △5六馬
▲5三歩 △7二飛 ▲3三桂成△同 銀
▲7五桂(途中3図B)△6二金 ▲3五歩 △7四歩
▲8三桂成△同 銀(第3図)
ネブラスカさんは桂を跳ねて反撃。△5一飛が間に合ってない恰好の後手は△4五同桂と指しづらいと思っていましたがそれが判断ミス!△4五同桂▲同銀△同銀▲1一角成△4七馬など、一通りのやり取りを終えてから飛車を追う方が分かりやすかったようです。本譜は直接△4七馬と引きますが、やはり▲4九飛がぴったりでうまく行った感じはしません。それなら駒をさばくべきでしたが、馬作りのアドバンテージを活かさなければと躍起になっていたのが良くなかったですね。
さらに△5六馬と歩を取ってしまったのが運の尽き▲5三歩と叩かれた瞬間はなんでもないと錯覚していた私は、▲7五桂と打たれて頭が真っ白になりました!△6二飛では▲5二歩成があまりにもぴったり・・・。ここに至ってようやく己の劣勢を意識します。桂成の受け方に苦心した私は△6二金とひねり出しますが、これも△7四馬の方が分かりやすく勝っていたように思えます。全体を通して、馬の使い方に課題を感じる将棋になったのではないでしょうか!歩を使って桂を取りに行く展開には▲8三桂成と手順に乱されてしまい、むしろ相手の思うつぼだったかもしれません。
追撃、追撃、追撃。
第3図以下の指し手
▲3四歩 △4四銀 ▲4五歩 △6五桂(途中4図)
▲6六角 △5四桂 ▲4四歩 △6六桂
▲同 歩 △同 馬 ▲4三歩成△同 金
▲5二歩成△7三金 ▲6一銀 △8二飛
▲6七歩 △4四馬 ▲5五銀 △3四馬
▲6六歩(第4図)
一方的にやられるわけには行きません。左銀を責められたところで△6五角(途中4図)~△5四桂と必死に手を作ります。しかしこの辺りでは△6四桂と露骨に7六の地点を狙う方が勝っていたようです。後手陣はさすがに攻めを引き付けすぎで、以下も角こそ取れど火の手があがるばかり。角を取った局面まで進めても有効な継続手が無いのに対し、先手は▲4三歩成~▲5二歩成~▲6一銀と次々に迫ってくるではありませんか!こうなればネブラスカさんは緩みませんね。
▲5五銀~▲6六歩と桂馬まで取りに来られた第4図では脳裏に負けという言葉がちらつきます。▲5五銀はもう少し前から覚悟していた手ですが、2枚目の桂取りをセットに繰り出すのはさすがの手順ですね。駒を取ることに重きを置いたネブラスカさんの指し回しに翻弄されました。自分の将棋じゃなかったら惚れ惚れしていることでしょう!!
ンッギィィィイイ!!(ハンカチを噛みながら)
反撃の機は訪れず
第4図以下の指し手
△8六歩 ▲6五歩 △3八角
▲3九飛 △5六角成▲3四飛 △同 馬(途中5図)
▲7一角 △5九飛 ▲8二角成△同 玉
▲6二飛 △7二銀 (第5図)
△8六歩から穴熊に嫌味をつけにいきますが間に合いません。「負けてやらんぞ・・・絶対に負けてやらんからな・・・」とうわごとを呟いていた記憶が強く残っています。反撃を模索するもなかなか一貫性を持った指し手が選べず、飛車切りに対する△3四同馬(途中5図)が最後の敗着となったようでした。代えて△3四同金と馬を銀取りに残しておくところを、金が前に出る形を嫌ってしまったのが悪い判断。どちらにせよ金は遊んでいるのですから、やはり馬で穴熊を睨む方が良かった。△8七歩成が入らなかったも悔しいところ。最後は飛車を取られて▲6二飛。持たないはずの自玉に幻影を見た私は△7二銀(第5図)としますが・・・。
今期の初黒星を喫す
第5図以下の指し手
▲7二同銀成△同 金▲8三銀 △同 玉
▲9五桂 △7三玉 ▲8五桂 △8四玉
▲7二飛成△9四角 ▲8三金 △8五玉
▲8六歩 △7六玉 ▲7四龍(終局図)
まで、115手でネブラスカさんの勝ち
(消費時間=▲15分、△14分)
▲8三銀と脳天からズシリと攻撃を喰らってゲームオーバー。即詰みの局面で△9四角と放ち、視線を逸らすことで上部脱出を図るなど最後まであきらめない精神で挑みましたが、終局図の▲7四龍で上下左右から包囲された自玉に逃げ場はありません。悔しい、とても悔しい投了となりました。ネブラスカさん対局ありがとうございました!!
改めて反省と、次局に向けて
本局は全体を通じて自分の力が出せない展開にしてしまいました。もっと熱戦にできたところがあったように思えますが、対局中は視野が狭まっていたのでしょう。四隅の香車を見よ、というのはまさしく私に向けた戒めであります。また本局は指定局面レベルまで準備せず、大まかに用意するというスタイル。デメテルさんとの対局と似たような状況で臨んでいました。戦型も非常に似通っていて、これは第1局で迎えていたかもしれない結末を引き寄せてしまったのではないかとも思います。「自分にとって力が出せるか否か」という視点を新たに持って、もっと自信を持って、しかも驕らず・・・。メンタルとロジックの両輪でバランスを取るのは難しいことですが、自分なりに工夫を重ねていくしかありませんね。とはいえ、今期は全体の方針を大まかに決めてあります。1局1局の結果に一喜一憂しすぎて、ちぐはぐにはしたくありません。予定通りに作戦を立てられるよう、軸をぶらさずに戦いたいですね。
3回戦、次のお相手はぞのみPさん。最近はラジオに動画制作に、多方面で活躍されている方です。前期ではVS相手として大変お世話になりました。その指し手は迫力満点で、非常に鋭い攻め将棋。相手の強さを知っているからこそ、それに飲み込まれてしまうことが多い指す将順位戦。雰囲気に呑まれては簡単に負けてしまいますから、絶対に勝つという強い信念を持って指す所存です。頑張ります!!!
ではでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!