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写真のたのしみ方とスタイルの拡げ方

 一つ前の記事 写真と歩んできた14年 に僕の履歴書みたいな来歴が書いてありますのでそちらもお読みください。読むのが面倒な人向けにざっくり説明すると、僕は大学で4年間写真の勉強をし、卒業後9年間写真業界で働いている人間です。

 いつの間にかガッチガチに自分のスタイルが固まってきてしまっていることに危機感を抱いた僕がどのように自分を見つめ直し、新しい視点を得るまでに至ったのかを書きおこしておきたいと思います。この記事が、自分の写真を変えたいけれどどこを変えたらいいのかわからない。という人に届きますように。

写真は撮ったら終わりなのか

 世の中には、写真を撮ったらそこでおしまいという人が多数います。シャッターを押して、カメラのバックモニターで確認して、家に帰ったらバックアップをとっておしまい。シャッターを切ることに快感を感じるタイプの人です。僕もちょっとそういうところがあるので人のことは言えませんが、実は撮影のその先にもっと楽しいことが転がっています。

 また、僕自身が「できなかったことができるようになる」ことに喜びを感じる人間なので、今回は #カメラのたのしみ方 に合わせて「できることを増やす」をテーマに書き進めていきたいと思います。

写真をちゃんと現像しよう

 RAW+JPGで撮ったのに、SNSにアップしたのはjpegのみ。しかもスマホアプリのフィルターで色味をいじっただけで満足していませんか?

 RAWデータが残っているならちゃんとそちらの現像もやりましょう。全然違います。LightRoomやPhotoshopが使えるならなおさらです。全然仕上がりが違います。むしろ現像が本番だっていうくらいの気持ちでいいです。(ついつい時間を忘れて作業に没頭してしまうので注意)

写真をプリントしてみよう

 撮影に行ったあと、写真がハードディスクのなかで眠りっぱなしになっていませんか?SNSにアップして満足していませんか?

 現像した写真をDPEショップに持って行ってプリントしてもらいましょう。時間がなくても店の入り口にある機械式プリンターでプリントしないでください。ちゃんとお店のプリンターでプリントしましょう。

 プリントした写真は壁に張ってよし。一冊のアルバムを買ってきて、日付ごとやテーマごとに収納するのもよし。被写体にあげるのもよしです。

 特にLサイズの写真なんかは小さなアルバムにまとめておくと話の種になったりもします。綺麗な海の写真とか、いつか見た夕日とか、親しい友人の横顔なんかもいいですね。その写真をとっかかりに思い出の共有ができるのです。

写真 2012-05-26 19 33 40

テーマ別で写真を並べてみよう

 これは一つ上のセクションからの続きでもあるのですが、プリントした写真を机や床の上に並べます。今回プリントするのは「自分が上手く撮れたと思う写真」「いい感じなんだけど納得いかない写真」「上手、下手に関わらず好きな写真」の3種類をそれぞれ10枚ずつぐらい用意しましょう。

 写真を並べる目的は「自分の癖の把握」と「弱点のあぶり出し」です。

 まず、写真の裏に先述のカテゴリーごとのマーク(◎・△・×のような)を書いておきます。これでどのカテゴリーなのかをあとで確認できます。

 1回目は自分の好きな構図をあぶり出すために、写真をシャッフルしてから被写体の配置の傾向ごとに写真を並べてみましょう。

 メインの被写体が右寄り、中央寄り、左寄り。 みたいなざっくりしたものでいいです。中央寄りが多ければ日の丸構図を多用していることが予想されますし、左右にバランスよく分布しているのであれば三分割構図や黄金比を利用しているのではないかと考えることができます。(構図についてはネットに資料がたくさん転がっているのでご自身で調べてみてください)

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写真 2012-05-29 21 31 30

写真 2013-02-03 3 25 27

 たとえば↑のように3枚の写真を並べると「僕は被写体を左に寄せる癖があるんだな」ということがわかります。また、どちらかというとハイキー気味の写真の方が好きなこともわかります。

 そのほかにも、メインのテーマは何か(被写体の傾向)、画面の明るさ(ハイキー・ローキー)、縦横写真の比率、ポートレートの場合は被写体は右向きと左向きのどちらが多いのか。などなど、考えはじめればいくらでも出てきてしまいます。

 これを繰り返すことにより、現在の自分の写真のクセを見つけましょう。今やっていることを深めたいのであれば傾向の多かったものをさらに磨きます。逆に、今までと違うことをやって表現の幅を拡げたいというのであれば不足しているものや、やったことのない表現を考えてみれば良いと思います。「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」などという言葉があるくらいですから、自分の傾向を掴んでおくことは悪いことではないでしょう。

 また、この作業によって自分に必要なレンズの長さもわかってくるので、次に買うレンズの設定がしやすくなります。スケールのある風景が撮りたければ広角レンズを探せば良いですし、対象にフォーカスしたクラシックなポートレートを目指すなら中望遠レンズを...というふうになります。(本当はどんなレンズでも欲しいんですけどね(笑)

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もう一度撮影に出かけよう

 傾向が出れば、そこに対策を打ってサイド撮影です。前にできなかったことを新たにできるようにしたり、伸ばしたい表現方法に磨きをかける。また、その両方であってもかまいません。大事なのは意識を持って写真を撮ることです。感覚で撮るだけで上手な人もいますが、全ての人がそうだとは限りませんし、無意識で撮影できる人が頭も使って写真を撮り始めたとしたらすごいことになると思うので、どんな人にも実践してもらいたいと考えています。

人と写真を見せあおう

 できればプリントでお互いの写真を手に取り合いながら見せ合ってもらいたいですが、それができない場合はネット上でサークルを作って仲間内で見せ合ってみるといいと思います。

 その際、どの写真がいいとか、好きという話になると思いますが、議論を行う際に気をつけて欲しいことがあります。

 ・相手を貶さないこと

 ・機材でマウントを取らないこと

 ・良いものや、気に入った写真にはポジティブな声をかけること

 ・否定的な言葉を使うのではなく、前向きなアドバイスを付け足すこと

 以上の4点は前向きな議論やアドバイスを行う上で非常に重要ですし、サークルを長く持続させる上で必要なことだと思います。お互いに気持ちよく活動できるようにしたいですね。

課題を設定しよう

 先述の「もう一度撮影に行こう」と内容は似ていますが、「どのような写真を撮りたいか」という課題を設定することは重要なことです。

 また、仲間内で月ごとの課題を設定するのも、上達への近道になります。「あじさい」「雨」などの具体的な事象から「喜び」「悲しみ」のような抽象的な課題設定でも大丈夫です。事象を3語、抽象を3語設定して組み合わせるのも面白いかと思います。

 SNS上にアップする際や、仲間と集まった時に軽いプレゼンテーションができるととても良いです。思考を文字にしたり言葉にすることで、自分の中によりよい栄養素として再吸収されます。

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最終的に目指すもの

 これを繰り返すことによって、「意識して行うこと」と、「意識せずに行っている部分」の境界線がわかってきます。最終的には、意識下で行なっていることを無意識に。逆に、無意識下で行なっていたことを意識的に操作していけるようになるといいなと僕は考えています。

 つまり、自らの意思でどちらにも行き来できるようにしたいということなのです。そうすれば、自分の癖をうまく抑えたり、逆に癖を活かした素晴らしいものが生まれたりします。そうすれば一回の撮影で得られる「使えるカット」の割合が増えて、より撮影が楽しくなっていきますよね。

 毎回新たな発見があって、カメラっていうのは本当に面白いなぁと思います。みなさんもそれぞれの楽しみ方を見つけて、毎日がより良いものになりますように!

#カメラのたのしみ方


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