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個人や組織に変化を起こそうと思った人が最初に気にすべきこと

私は、自分の仕事である人材育成や組織開発というものを、個人や組織に大小さまざまな変化を誘引するための取り組み、と捉えている。「変化させる」という使役的、操作主義ではなく、あくまでも変化を「誘引する」という距離感。

もし仮に、「変化させる」という意識が残っていると、そこには、〈変えようとする側〉と〈変えられる側〉という線が引かれる。

変えようとする過程において、〈変えようとする側〉は、意識的か無意識的か、ついつい線の両岸を〈こちら〉と〈あちら〉と呼び分けてしまいがちになる。

「こっちの言うことが全然伝わらない」
「あの人たちは、そこに問題意識を持ってないからダメなんだ」

でも本来的には、〈こちら〉と〈あちら〉を足しあわせたものが、これから良くしたいと思っているところの〈組織〉であるはず。

〈こちら〉と〈あちら〉と口にした時点で、橋がかかることはなくなってしまう。さらに突き詰めれば、そもそも両者は川の両岸として、分かたれた(≒わざわざ橋をかける必要のある)存在なのか?という問いを、〈変えようとする側〉がどれだけ自問できてるか。

〈こちら〉と〈あちら〉という分断の文脈ではなく、〈私たち〉という包摂のそれによって、見たり聞いたり話したりできるといいなと思う。

曰く、変革への抵抗には下記の5つのポジティブなエフェクトが存在します。

1.変革への抵抗によって、変革の目的が問い直されて、よりクリアになる
2.変革への抵抗は、組織内の会話を活性化し、変化に対する方向性を「Active」な状況にする
3.変革の抵抗があることによって、組織変革のレベルがあがり、施策の実装のクオリティがあがる
4.変革の抵抗によって、組織メンバーが「本音で何を思っているのか」が顕在化される
5.変革の抵抗を乗り越えることで、「新たな強固な組織へのコミットメント」がつくりだされる

組織変革のときに必ず生まれる「抵抗勢力」は「根回し」か「排除」か「ごちそう」か?』より

自らの視座を上げさえすれば、変革への「抵抗」ですら、変革を後押しするエンジンになりうる。変革に潜むこういうメカニズムに自覚的になると、《あくまでも変化を「誘引する」》というほどよい《距離感》が見えてくる。そのほどよい距離感が、〈私たち〉という包摂につながっていく。

《変化を「誘引する」》ときにまず最初に必要なのは、〈変えようとする側〉こそが、自らの視座を上げて、自ら変わろうとすることなのかもしれない。

2019年10月にFacebookへ投稿した文章を加筆修正のうえ転載したものです。

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