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公共不動産の「売却」を捉え直そう|Additional#02
今回の記事はこちら。
「公共不動産を『売る』ことも公民連携による不動産活用」という、一般にはあまり聞かない捉え方をした記事を書きました。
民間不動産も日々取引にさまざまな工夫をしているとなりで、公共不動産が手続きを形式的に進めても売れるわけもなく、各地の自治体担当者は試行錯誤されていると思います。
どうしたら売れるのよ!その即効薬・特効薬はないのですが、今回の記事ではまず「買い手に選ばれやすくするいくつかの方法」について整理してみました。取り組みのヒントや考え方の整理につながればと思います。そして「公共不動産データベース」の活用は、明日からでも取り組める対応策です。こちらもぜひぜひ。
でも今回の記事全体では、悩ましさを増してしまうかもしれません。というのは、話が公共不動産を「売る」以外のところまで広がるからです。不動産マーケットで売ることに執着せず、他にも選択肢はあります、なんならいっそ暫定活用を積極的に誘導してはどうか、とまで言いはじめます。
「いやいやあなたね、私たちの部署の仕事は、公共サービスを提供する役目を終えて遊休化した公共不動産を『売る』ことなんですよ。どうして『売る』以外の方法にまで話を広げるんですか!」というのが率直な反応だろうと思います。
ただ、控えめに言っても、単なる財政健全化の目線だけで売却を捉えるのではなく、エリア価値動向に変化を与える政策的アプローチとして考えて欲しいな、という思いがありまして。どうしても書きたくて書いてしまいました。それが「公共不動産を『売る』ことも公民連携による不動産活用」ということに結びついていきます。
下図〈公共不動産の有効活用と公民連携〉は、公民連携による公共不動産活用のバリエーションをイメージとして整理したものです。ここでは、指定管理やPFI事業などの狭義の官民連携だけでなく、遊休化した公共不動産の民間活用(譲渡も含めて)もその範疇に入るものとしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1737860786-Ix0vy4sRcXVfr9FmbE1JKGWi.jpg?width=1200)
東洋大学で規制誘導も公民連携の一分類であると教わった者としては、これらが並ぶことに違和感はないのですが、知らない方には少し飛躍した考えに聞こえてしまうようです。この図でポイントになるのは「政策目的に応じて」「政策目的に沿う形で」という文言です。
行政はその土地の所有権を手放すことはできても、その地域経営やエリア価値保全への政策的な責任まで手放すことはできません。
公共不動産を「売る」とは、公共不動産の所有権を民間に譲り渡すだけでなく、活用の主導権を渡すことだと考えています。重要なことは、地域経営やエリア価値保全に影響をもたらす不動産活用の主導権を誰に譲り渡すかです。それは、公共不動産を活用した公民連携プロジェクトの事業パートナーを選ぶ観点と、本質的には同じはずなのです。
行政も民間も地域もリソースは貴重な状況ですよね。政策目的の実現に向けて、その貴重なリソースをいかに効果的に投入するか。余力のない地域ほど、単なる財政健全化の目線だけで売却を捉えるのではなく、一手一手がエリア価値動向に変化を与える政策的アプローチにならないか、考えて欲しいのです。
記事をアップした翌日、ある自治体の財産マネジメントに携わる方から参考になったとメッセージを頂きました。ありがとうございます!
現場の試行錯誤からまたヒントを得て、次の取り組みにフィードバックしていきたいです。
そしてこう考えると、行政組織のあり方や権限の持たせ方は、やはり大いに気になります。組織-チーム-個人のレイヤーそれぞれでできることはあれど、組織のデザインによってはどうしても動きやすさ/動きにくさの違いは生じてきます。この辺りのテーマもいずれ取り扱って行ければと思います。
民間提案などの〈対話〉的なプロセスの可能性を探り広げたいと思っていつつ、公共不動産の売却プロセスにも公民連携の「パートナーシップ」の本質に関わる大切なテーマがあったので、書き上げました。こんな感じで回り道もあるかもしれませんが、少しずつ探求を続けていきます。
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