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断琴の日まで

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久しく会っていなかった人とお話してきました。

彼は器用で努力家で、不恰好に暖かい人です。

こちらが勝手思っているだけかもしれないですが、断琴の交わりを続けてきた親友と呼べる人です。


地元を離れた時、多分私は何処かで、

此奴には頼ってはいけないなと、セーブをかけていたのかと思います。

少し先をいく彼は、それでも私を待って、横に置いてくれる人ですので。

待ってもらわなくても、一緒に並んで行けるくらいにならなければと、考えていたのかもしれません。


再会の数日前電話越しに聴いた声は、何処か違う人のように思えたのです。

大人びた柔い声に、変わったんだと思いました。


然し当日、いざ再会となった時、

目標としていた場所から勝手にお互いの方面へ向かった為に知らずのうちにすれ違っていたり

やっとの思いで再会したりしてみると

案外変わっていなくて、変わらず甘党で、変わらず根っこは真面目で、

訳もなく泣きそうになりました。


良い意味でも変わっていない彼と

悪い意味でも変わっていない私と

雨露に濡れながら一つの傘で並んだ先は

然し進むべき道は明日しかないのだと

明けゆく陽は追慕の暇も寄越してくれないのだと

今だけは、悔恨を赦して欲しいところです。



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