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備忘録#006|生産性分析で活用できる指標

備忘録|興味があればお読みください

 備忘録#001|企業概況モニタリングで活用できる指標
 備忘録#002|収益性分析で活用できる指標
 備忘録#003|効率性分析で活用できる指標
 備忘録#004|採算性分析で活用できる指標
 備忘録#005|安全性分析で活用できる指標
 備忘録#006|生産性分析で活用できる指標
 備忘録#007|成長性分析で活用できる指標
 備忘録#008|損益分岐点分析で活用できる指標
 備忘録#009|債務償還分析で活用できる指標
 備忘録#010|目標利益や予算の立て方
 備忘録#011|中小企業庁統計による経営指標

矢印株式会社とは

皆さま、初めまして。矢印株式会社の馬上朋広と申します。
2018年5月に創業したモノを販売しないことで客観性を担保した会社です。91年に商社マンから始まり、日系ICT企業、北米、英国、ベトナム企業でICT事業に従事しておりました。
事業の中心は、ICTセカンドオピニオン と 経営情報可視化ダッシュボード というサービスを提供しております。

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生産性分析とは・・・人的生産性

生産性分析とは
売上高の投入高に対する割合をいい、企業の経営分析体系の中で、収益性分析を補足するものです。その特色は、収益性分析においては投入高を「資本」としたのに対して、生産性分析ではこれを「人」又は「物」としている点にあります。経営資源(ヒト・モノ・カネ)をいかに効率的に使用して付加価値を生み出したか、従業員や設備などをいかに効率的に運用できているか、を見る分析です。

生産性向上があれば、人件費や諸経費の増加を吸収することができます。

投入量に対して産出量の割合が大きいほど生産性が高いということになります。投入するものには、労働、資本、土地、原料、燃料、機械設備などがあります。産出量には、生産量、生産額、売上高、付加価値、GDP などがあります。

生産性を高めるポイント
  人員配置が適正かどうか
  賃金単価が適正かどうか
  部門別収益計画が適正かどうか

*付加価値が係わる指標にはすべて同じ内容の文章があります。
企業の決算書に「付加価値」という項目はありません。「付加価値」とは、その会社が“生み出した新しい価値”のことを指します。

企業の付加価値率とは
付加価値率(売上高付加価値率)とは、売上高に占める付加価値の割合を示す指標であり、自社の加工度の高さ/低さを表しています。ここで言う「加工」とは、原材料から製品への加工だけでなく、サービスの付加なども含みます。平均付加価値率は、業種によって大きく異なり、付加価値率は必ずしも企業の収益性と比例しませんが、付加価値率を高めることは収益性を向上させる方法の一つになります。

付加価値の計算方法
便宜的な方法
付加価値 = 売上総利益 = 売上高 ー 売上原価

控除法
付加価値 = 売上高 - 外部購入価値(材料費、購入部品費、運送費、外注加工費)

加算法
付加価値 = 営業利益 + 人件費 + 支払利息等 + 動産不動産賃借料 + 租税公課

2017年度中小企業庁実態基本調査で用いられている科目です。
労務費 + 売上原価の減価償却費 + 人件費 + 地代家賃 + 販売費及び一般管理費の減価償却費 + 従業員教育費 + 租税公課 + 支払利息・割引料+経常利益
2020年度中小企業庁実態基本調査で用いられている科目です。
(売上原価のうち労務費、減価償却費)
+(販売費及び一般管理費のうち人件費,地代家賃,減価償却費,租税公課)
+(営業外費用のうち支払利息・割引料)
+ 経常利益+能力開発費(従業員教育費)

他の加算例もあるようです。
営業利益 + 人件費 + 減価償却費
営業利益 + 人件費 + 賃借料 + 租税公課 + 減価償却費 + 知財特許料
経常利益 + 人件費 + 賃借料 + 租税公課 + 減価償却費 + 金融損益
経常利益 + 人件費 + 賃借料 + 租税公課 + 減価償却費 + 金融費用

粗付加価値と純付加価値
加算法で付加価値を計算するにあたり、減価償却費を含む場合を「粗付加価値」、含まない場合を「純付加価値」と呼びます。減価償却費は、他社から購入した固定資産を償却した費用であるため、本来は付加価値には含めないべき、という考え方があります。実務的には、粗付加価値が用いられることが多いようです。

付加価値とは、企業が付加した、付加できた価値、ということになります。その大きさは企業の存在価値の大きさともいえます。

人の動きについては、労働生産性や労働分配率をチェックします。

1.一人当り付加価値(月)

一人当り付加価値(月)=(付加価値 ÷ 12) ÷ 従業員数

一人当たり付加価値は、生産性の中では最も重要な指標です。

この指標は従業員一人当たりの稼ぐ力であり、誰にも大変わかりやすいことから、一人当たり付加価値を必達目標として経営している中小企業は多いと思います。

収益性の指標の一つに付加価値比率があり、比率の高い会社は一般的に優良企業ですが、たとえ付加価値比率が低くても、一人当たり付加価値が高ければその会社は生産性が優れていることで優良企業と言えます。他社がまねのできない省力化された効率性の高い製造、販売、サービス提供システムを考案し、一人当たり生産性を高めた企業は優良企業です。

2.一人当り人件費(月)

一人当り人件費(月)=(人件費 ÷ 12) ÷ 従業員数

人件費には、賃金、給与、賞与以外に退職金、法定福利費、厚生費などの総人件費が含まれます。

一人当たり人件費は、高ければ高いほど従業員にとっては望ましいことになりますが、高い人件費を支払うことのできる源泉は付加価値にあります。
付加価値とのバランスを欠いた高い人件費は利益を圧迫することになります。

3.労働分配率(付加価値分配率)

労働分配率(%)= 人件費 ÷ 付加価値 × 100

人件費 = 労務費・人件費 = 労務費 + 人件費

労働分配率とは、付加価値に対する人件費の割合を示す指標です。

企業が新たに生み出した価値のうちどれだけが人件費分配されたかを示し、財務分析の5大指標の一つとされます。

人件費は、給与のほか、社会保険料や雇用保険料といった法定福利費や厚生費を加えた額です。この比率を知ることで人件費に問題がないかどうかが分かります。

労働分配率の目安
  おおよそ40%~60% 労働効率が良い

労働分配率が低いほど労働力を効率的に活用しています。業種や企業規模などによって異なります。

この式の意味は、売上高に占める人件費の割合を減らすか、売上高に占める付加価値の割合を増やせば、労働分配率が小さくなることを表しています。

日本の企業の労働分配率は、全業種平均で50%強となっています。製造業平均で60%です。この比率は高ければ高いほど「ヒト」による仕事が多いこと、もしくは1人当たり人件費が多額であることを示します。
これだけ情報技術や生産技術が進んでいる今日、「ヒト」の力で仕事をする部分が他社に比べて大きい場合、たいていは生産性があまり良くないという評価になります。

労働分配率が60%を超えると、家賃や減価償却費、支払利息などの支払いのための元手が足りなくなってきます。そうなると、借入金の多い企業は利息が払えず、広告費などの必要経費も使えなくなってきます。そのため、労働分配率によって、人件費の総額を決めていくという考え方が大切です。給与や賞与が定期的に上昇し、付加価値とは関係なく決まる年功型給与・賞与は、企業の成長に大きな障害となっています。このような給与体系は見直しが必要になってくるでしょう。企業としては給与水準を抑えて、労働生産性を上げれば、労働分配率が下がり、企業の生産性が向上することが分かります。

4.人材生産性-倍

人材生産性 = 付加価値 ÷ 人件費

付加価値分配率(人件費 ÷ 付加価値 × 100)の逆数(付加価値 ÷ 人件費)を「人材生産性」と言います。従業員一人一人が自分の人件費の何倍の付加価値を稼いでいるかを表す指標と言えます。

会社を長期にわたって繁栄成長させる原動力となる人こそ最高の経営資源です。

人材生産性の目安
  2倍以上 :優良企業
  1倍   :人件費分しか稼いでいない状態

5.労働生産性(円)

労働生産性(円)= 付加価値 ÷ 従業員数

労働生産性は、従業員1人当たりの付加価値額(=売上総利益と同じ場合あり)です。

この数値が高いほど、効率よく利益を生み出していることになります。同業他社や自社の過去実績と比べて自社の適正値を把握し、それよりも数値が低ければ、商品力はもちろん、従業員の意欲・モチベーション、生産設備、販売システムなどを見直すことも必要です。

6.資本生産性

投下した資本が生み出す付加価値額をみる指標。 通常、固定資産(生産設備など)への投資額と生産量の割合をみる。 資本生産性を上げるためには、設備の利用度や労働能率を上げるほか、原材料費削減、外注加工費の効率化、高付加価値商品の開発などによって付加価値そのものを上げる、といった方策が考えられる。

資本生産性とは資本の投下、つまり有形固定資産の投入に対して、どれだけ付加価値を産みだすことができたかという指標です。資本の投下とはすなわち設備投資のことです。
いかに資本を遊ばせないで効率よく投資を行い付加価値を上げることができたのかというのを分析することができます。例えば、最新鋭設備の導入により省力化を図った場合、従業員数が減った分だけ労働生産性が上がります。しかし、最新鋭設備を導入した分だけ固定資産が増えるので、資本生産性は下がります。

資本生産性(円)= 付加価値 ÷ 総資産 × 100

総資産 = 総資本 = 全ての資産
    = 自己資本 + 他人資本
    = 純資産 + 負債(流動負債 + 固定負債)
    = 貸借対照表の(資産合計=負債純資産合計)

純資産 = 純資本 = 自分の資産
    = 総資本-負債(他人の資産)
    = 貸借対照表の純資産合計(資産合計 - 負債合計)

自己資本 = 純資産
     = 株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金 他)
     = 株主資本 + 評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)

7.機械投資効率

機械投資効率 = 付加価値額 ÷ 設備資産

設備資産 = 有形固定資産

付加価値額には「粗付加価値」の額を用いられることが多い。粗付加価値とは、純付加価値から減価償却費を減じた額です。

投下した資本が生み出す付加価値額をみる指標です。 通常、固定資産(=有形固定資産)への投資額と生産量の割合をみます。 生産設備がどのくらいの付加価値を生産しているかを評価するための指数です。

保有している機械や設備、土地等の資本がどれだけ効率的に成果を生み出したかを定量的に数値化したものであり、設備の利用頻度や稼働率向上、効率改善に向けた努力等によって向上します。

機械投資効率と有形固定資産回転率との違い
機械投資効率 = 付加価値の生産高を表す指数
  有形固定資産回転率が高く売上をあげても利益を出していなければ意味がない

有形固定資産回転率 = 有形固定資産に対する売上比率
  設備がどれくらい稼働しているのか
  指数が高ければ高いほど当該設備の稼働率は高い

また、投資・融資・M&Aなどを検討する際などに用いられる指標でもあり、生産設備がどのくらいの付加価値を生産しているかを評価するための指数でもあります。一般に、設備投資効率が高いほど資産生産率が高いと考えることができる。

8.限界利益率

限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高 × 100
      =(売上高 - 変動費)÷ 売上高 × 100
      =1- 変動費率


限界利益 = 売上高 - 変動費(= 販売費になることもある)
     = 利益(売上高に比例して増減する利益) + 固定費

変動費 = 売上に連動して増減する費用で仕入高や外注費
    = 材料費、人件費
    = 販売費(簡易的に)

固定費 = 売上高や販売数量の増減に左右されないで一定に発生する費用
    = 人件費や地代家賃、広告宣伝費、交際費、リース料、減価償却費

売上高に対する原価効率をみています。
商品・サービスの収益性を見る基本的な数字です。

限界利益は、売上高から変動費(材料費、人件費など)を控除したもの。売上高が1単位増えるごとの増加利益を表し、売上高に対する限界利益の割合を限界利益率といい財務分析に使われる指標です。

また、限界利益は、逆の視点から見れば、利益と固定費の合計額になり、損益分岐点売上高では、限界利益が固定費と同額となります。

限界利益率の目安
  固定費を限界利益が上回ると固定費を回収し利益が出ている状態

限界利益は、企業の内部分析でも使われ、例えば、部門毎や商品毎、地域毎など、それぞれに限界利益率を求めることで簡単に利益分析(収益性の明確化)をすることができ、改善すべき点を洗い出すのに便利です。

貢献利益とは
固定費には管理可能費と管理不能費がありますが、管理可能費を部門ごとにみたものを「管理可能部門固定費」といいます。管理可能部門固定費には、広告宣伝費、接待交際費、交通費、通信費、パート・アルバイト代、残業料などが含まれます。限界利益からこの「管理可能部門固定費」を引いたもので、部門ごとの成果をみるのによく使われる数字です。

貢献利益 = 限界利益 - 管理可能部門固定費
固定費と変動費の仕分け例
【製造業】
固定費

直接労務費、間接労務費、福利厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕料、水道光熱費、旅費、交通費、その他製造経費、販売員給料手当、通信費、支払運賃、荷造費、消耗品費、広告費、宣伝費、交際・接待費、その他販売費、役員給料手当、事務員(管理部門)・販売員給料手当、支払利息、割引料、従業員教育費、租税公課、研究開発費、その他管理費
変動費
直接材料費、買入部品費、外注費、間接材料費、その他直接経費、重油等燃料費、当期製品知仕入原価、当期製品棚卸高―期末製品棚卸高、酒税

【卸・小売業】
固定費

販売員給料手当、車両燃料費(卸売業の場合50%)、車両修理費(卸売業の場合50%)販売員旅費、交通費、通信費、広告宣伝費、その他販売費、役員(店主)給料手当、事務員(管理部門)給料手当、福利厚生費、減価償却費、交際・接待費、土地建物賃借料、保険料(卸売業の場合50%)、修繕費、光熱水道料、支払利息、割引料、租税公課、従業員教育費、その他管理費
変動費
売上原価、支払運賃、支払荷造費、支払保管料、車両燃料費(卸売業の場合のみ50%)、保険料(卸売業の場合のみ50%)、注:小売業の車両燃料費、車両修理費、保険料は全て固定費

【建設業】
固定費

労務管理費、租税公課、地代家賃、保険料、現場従業員給料手当、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、交際費、補償費、その他経費、役員給料手当、退職金、修繕維持費、広告宣伝費、支払利息、割引料、減価償却費、通信交通費、動力・用水・光熱費(一般管理費のみ)、従業員教育費、その他管理費
変動費
材料費、労務費、外注費、仮設経費、動力・用水・光熱費(完成工事原価のみ)運搬費、機械等経費、設計費

9.一人当り売上高

一人当り売上高 = 売上高 ÷ 従業員数

従業員一人当りの生産性を知ることができます。

10.一人当り限界利益

1人当り限界利益 = 限界利益 ÷ 従業員数

限界利益 = 売上高 - 変動費(= 販売費になることもある)
     = 利益(売上高に比例して増減する利益) + 固定費

変動費 = 売上に連動して増減する費用で仕入高や外注費
    = 材料費、人件費
    = 販売費(簡易的に)

固定費 = 売上高や販売数量の増減に左右されないで一定に発生する費用
    = 人件費や地代家賃、広告宣伝費、交際費、リース料、減価償却費

従業員1人当りの生産効率を知りことができます。

固定費と変動費の仕分け例
【製造業】
固定費

直接労務費、間接労務費、福利厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕料、水道光熱費、旅費、交通費、その他製造経費、販売員給料手当、通信費、支払運賃、荷造費、消耗品費、広告費、宣伝費、交際・接待費、その他販売費、役員給料手当、事務員(管理部門)・販売員給料手当、支払利息、割引料、従業員教育費、租税公課、研究開発費、その他管理費
変動費
直接材料費、買入部品費、外注費、間接材料費、その他直接経費、重油等燃料費、当期製品知仕入原価、当期製品棚卸高―期末製品棚卸高、酒税

【卸・小売業】
固定費

販売員給料手当、車両燃料費(卸売業の場合50%)、車両修理費(卸売業の場合50%)販売員旅費、交通費、通信費、広告宣伝費、その他販売費、役員(店主)給料手当、事務員(管理部門)給料手当、福利厚生費、減価償却費、交際・接待費、土地建物賃借料、保険料(卸売業の場合50%)、修繕費、光熱水道料、支払利息、割引料、租税公課、従業員教育費、その他管理費
変動費
売上原価、支払運賃、支払荷造費、支払保管料、車両燃料費(卸売業の場合のみ50%)、保険料(卸売業の場合のみ50%)、注:小売業の車両燃料費、車両修理費、保険料は全て固定費

【建設業】
固定費

労務管理費、租税公課、地代家賃、保険料、現場従業員給料手当、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、交際費、補償費、その他経費、役員給料手当、退職金、修繕維持費、広告宣伝費、支払利息、割引料、減価償却費、通信交通費、動力・用水・光熱費(一般管理費のみ)、従業員教育費、その他管理費
変動費
材料費、労務費、外注費、仮設経費、動力・用水・光熱費(完成工事原価のみ)運搬費、機械等経費、設計費

謝辞|深く感謝いたします

できることならゲーム感覚で経営を楽しみたい。そんな時、何を基に、何を頼りに、経営したらいいのか分からなくなりました。そこでややっこしいことは承知の上で、財務会計の本をとったのですが、言葉が揺れていたり表現がしっくりこなかったりして理解できませんでした。そこで、一念発起して自分用のテキストを作ろうと考え、それがこの内容になります。
私が理解できるネット上の情報を収集し、引用し、加筆修正を加えてまとめました。大変難しく不正確な点もあると思います。しかし本一冊の表現では理解が及ばないことが、様々な表現で記述された情報で学ぶことができました。まだまだ未完成ですが、備忘録として公開したいと思います。皆様の一助になれば幸いです。最後に、引用元の皆様には深く感謝申し上げます。

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 〇政府統計からオープンデータまで活用した経営判断指標の可視化
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