備忘録#010|目標利益や予算の立て方
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備忘録#010|目標利益や予算の立て方
備忘録#011|中小企業庁統計による経営指標
矢印株式会社とは
皆さま、初めまして。矢印株式会社の馬上朋広と申します。
2018年5月に創業したモノを販売しないことで客観性を担保した会社です。91年に商社マンから始まり、日系ICT企業、北米、英国、ベトナム企業でICT事業に従事しておりました。
事業の中心は、ICTセカンドオピニオン と 経営情報可視化ダッシュボード というサービスを提供しております。
「Executive Dashboard|企業概況」構築サービス について
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1.目標利益の算出方法
借入金の返済原資から算出する方法
借入金の返済のためには最低これだけの資金は必要になる、という考えから目標利益を計算する方法です。
目標利益 = (借入金返済年間予定額 - 減価償却費) ÷ (1 - 税率)
総資本営業利益率(ROA)から算出する方法
長期的に見た会社の効率性は「投下された総資本」の生産性であり、中小企業においては総資本営業利益率を指標とするのがベストです。総資本営業利益率=営業利益÷総資本ですので、目標とする総資本営業利益率から目標利益を逆算する方法です。(総資本営業利益率は最低で5%は目標としたいところです。)
目標利益 = 総資本 × 目標総資本営業利益率(ROA)
総資産 = 総資本 = 全ての資産
= 自己資本 + 他人資本
= 純資産 + 負債(流動負債 + 固定負債)
= 貸借対照表の(資産合計=負債純資産合計)
利益処分から算出する方法
企業が稼ぎ出した利益は、4つに利益処分されます。この4つの視点から目標とする利益を計算する方法です。
従業員への成果配分賞与
配当
役員賞与
内部留保(含む利益準備金繰入額)
目標利益 = 成果配分賞与 +
(配当+役員賞与 + 内部留保) ÷ (1 - 税率)
※成果配分賞与は損金となり法人税は課税されないため上記数式となります。
※配当に伴う利益準備金の繰入れは内部留保に含みます。
一人当たり付加価値(または人件費)から算出する方法
一人当たり付加価値は、人的生産性を測定する指標で、会社の目標数値として社員に理解が得られやすいと思われます。
目標付加価値 = 一人当り目標人件費 ÷ 目標付加価値分配率 × 社員数
= 一人当り目標付加価値 × 社員数
目標利益 = 目標付加価値 × 付加価値営業利益率
2.利益予算の決め方
予算管理は「目標利益」を獲得するためなので「変動損益計算書」を作成する要領で、「利益」から逆算して予算を作成するのが効果的です。
1.目標営業利益を決める
2.固定費を決める
許容できる固定費 = 限界利益 - 目標の営業利益
固定費 = 売上高や販売数量の増減に左右されないで一定に発生する費用
= 人件費や地代家賃、広告宣伝費、交際費、リース料、減価償却費
3.限界利益を決める
限界利益 = 売上高 - 変動費(= 販売費になることもある)
= 利益(売上高に比例して増減する利益) + 固定費
4.変動費(率)を決める
変動費率 = (変動費 ÷ 売上高)× 100
変動費 = 売上に連動して増減する費用で仕入高や外注費
= 材料費、人件費
= 販売費(簡易的に)
5.売上高を決める
限界利益 ÷ (1 - 変動費率)
検証を行う
「5.売上高」を検証
市場の環境、得意先の状況、新製品販売の可能性、新規顧客開拓の可能性など、売上を成長させるあらゆる方法を考えて、30%アップは無理としても目標とすべき年間可能売上はいくらなのかを考えます。顧客の視点で自社の製品・サービスを見直すこと、顧客の潜在ニーズを考え抜くことが重要です。こうして「目標とすべき年間可能売上」はいくらなのかを考えた上で、再度、次の「4.変動費(率)」と「2.固定費」を検証します。
「4.変動費(率)」を検証
「5.売上高=限界利益÷(1-変動費率)」ですから、分母(1-変動費率)を大きくすれば必要売上高も下がりますので、変動費率を下げる検討を行います。
具体的には、「4.変動費率 = 売上原価率 + 販売変動費率」ですので、広告宣伝費、運送費といった販売変動費のコストダウンあるいは商品仕入、材料費・外注費・製造消耗品といった売上原価、製造費用のコストダウンについて検討を行い、極カ利益が多く獲得できる方策を考えます。
「2.固定費」を検証
そして最後に、「3.限界利益 = 目標営業利益 + 固定費」ですので、限界利益 - 目標営業利益 = 許容固定費 という考えで、固定費を圧縮する方法を考えます。
3.固定費を圧縮するには
固定費を上手に圧縮するためには、に分けて圧縮方法を検討します。
戦略経費
人件費
節約可能固定費
戦略経費
戦略経費は、明日の経営を考えて、今日の利益を犠牲にして戦略的に先行投資をする費用のことです。会社が長期的に成長発展するためには、この戦略経費を欠かすことはできません。研究開発予算、人材育成・教育予算、広告宣伝費等の市場開拓予算、新規設備投資、あるいは、新規事業立ち上げ後の一定期間の赤字予算、などが戦略経費に該当します。戦略経費は付加価値の一定割合を予算化することが望ましいと言えます。
人件費
人件費は、固定費の中で大半を占めている上、売上がダウンする環境でも基本的に年々増え続けます。企業が業績悪化に苦しんでいる大きな要因の一つと言えます。
人件費についても戦略経費と同様、付加価値の一定割合(付加価値分配率)を予算化することが健全経営と言えます。製造業、卸売業、小売業、サービス業といった業種で差があるものの、最大で付加価値分配率は60%以内が望ましいでしょう。人件費を付加価値の一定割合に抑える方法は、一人当たり人件費を下げるか、人員を削減するか、のいずれかです。
会社に所属する人材は、20%の組織に積極的に貢献する人財(財産となる人材)と、60%の上司の指示で仕事をする普通の人材と、20%の組織に貢献せず自分の人件費分も稼ぐことができない人在(いなくても困らない人)に分類されます。
このことを一般に2-6-2の原則と言います。一人当たり人件費を一律に下げることは、組織に積極的に貢献する20%の人財のモチベーションを下げることになり、得策ではありません。したがって、業績連動型の賃金制度を導入する、あるいは人事考課で評価に差をつけて、人件費を許容範囲内の付加価値分配率に抑え込むことになります。
最後は余剰人員対策を行い、許容人件費(付加価値 × 許容付加価値分配率)内の人員で経営が行えるよう人員の定員管理(許容人件費 ÷ 一人当たり人件費)をせざるを得ません。会社は社員一人当りの生産性を高める方策を考え、実行することが固定費の圧縮にも貢献すると考えます。
節約可能固定費
節約可能費は、戦略経費、人件費以外の固定費です。固定費は節約可能であると原則考えることが重要で、徹底して無駄を省き、ローコスト経営に徹します。利用しない福利厚生施設の廃止、事務所スペースの削減あるいは安い賃料のところへの移転、交際費の削減など、あの手この手で固定費圧縮をすることです。
謝辞|深く感謝いたします
できることならゲーム感覚で経営を楽しみたい。そんな時、何を基に、何を頼りに、経営したらいいのか分からなくなりました。そこでややっこしいことは承知の上で、財務会計の本をとったのですが、言葉が揺れていたり表現がしっくりこなかったりして理解できませんでした。そこで、一念発起して自分用のテキストを作ろうと考え、それがこの内容になります。
私が理解できるネット上の情報を収集し、引用し、加筆修正を加えてまとめました。大変難しく不正確な点もあると思います。しかし本一冊の表現では理解が及ばないことが、様々な表現で記述された情報で学ぶことができました。まだまだ未完成ですが、備忘録として公開したいと思います。皆様の一助になれば幸いです。最後に、引用元の皆様には深く感謝申し上げます。
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