協同労働という働き方|主体的に働く仲間同士がお互いの良さや個性を認めあう職場(労働者組合法)
” みんなで経営の方針を話し合って決めている。どんな事業にするのか、
自分たちの給料をいくらにするのか、決めるのは働く私たち ”
新型コロナウイルス感染症の影響により解雇や雇止めにあった労働者は、10万人を超えており深刻な雇用状況が続いています。そして都市における孤立、地方の過疎や人手不足という課題が強く強調されてきました。コロナ禍の今、会社員や公務員の働き方とは大きく異なる働き方として注目されているのが協同労働です。SDGsの目標の一つにも掲げられている「ディーセントワーク(働きがいのある 人間らしい仕事)」と同様の意味で使われています。
これまで働いて楽しいと思ったことがない労働者が、協同労働で自分に合った仕事に出会い、楽しいと実感できたと労働意欲や将来への希望を手に入れています。
グローバル経済が進み格差が広がり、更にコロナ禍で社会が閉塞した中で一片の課題解決になるのか、この状況を変える期待がされています。
コロナ禍でこれまで見えなかった問題が可視化されました。非正規労働やフリーランスの働き方が女性や若者、高齢者へ広がりました。それらの働く環境は、労働者法や社会保障の整備が遅れていたこともあり世代を越えた社会問題になっています。また一方では、分業化が進み自分がやっている仕事がどこで役に立っているかを実感できず、働く意味を見出しにくくなっています。
このような状況の中で、みんなが出資し話し合い経営に主体的に関わる協同労働が、社会に役立つ良い仕事がしたいと思っている人たちの関心を引いています。
働き続けるためには
目的や意義を感じられないまま働き続けることができません。その仕事が自分にとって満足感があり、社会的にも認知されるものでなければ続かないと思います。そして一人ひとりが主体性のある働き方をすることです。
主体的な働き方というのは、働く仲間同士がお互いの良さや個性を認め、見いだし合う働く中で育つと思います。
労働と生活は切り離せない、自分と他者の関係も切り離せない、自分の生活はあらゆる他者の営みによって成り立っています。働く意義を感じて、人間らしく働くことができる社会が望まれていると思います。
協同労働の仕組み
一般的な株式会社では、株主(出資者)が出資をして、経営者が経営方針を決めて、雇われた労働者が労働する仕組みである
これに対して協同労働は、労働者一人一人が出資して、経営方針も話し合い、みんなの意見を反映させて働いている。みんなが対等な関係になっている。出資の額は、数万円から始まる。
日本で行われている共同労働の業種
事業規模約1000億円 就業者約10万人の市場規模
子育て介護、運輸輸送、ヘルパー派遣
清掃、農業
協同労働の特徴と課題
協同労働はみんなで出資しますが、出資したお金の多い少ないで権限が違うことがなく、一人一票で誰もが対等なのが最大の特徴です。故に物事を決めるのに時間がかかりますが、多数の意見と少数の意見を区別なく扱いそれら意見を尊重し理解し合いながら議論を重ねていくのが協同労働です。
特徴
1.働く人たちが経営方針を話し合い意見を反映させられること
2.みんなで相談して、みんなで協力して実行すること
3.現場で掴んだお客様のニーズをいち早く事業化できること
4.埋もれたニーズに応えたことで事業収益の増加、給与アップが期待できること
5.利益を最大化するためではなく、仲間たちの生計を成り立たせるために結びついています
6.スタッフの離職率や欠勤率が低い
7.仕事への姿勢が変わります
8.仲間たちと仕事を生み出せたことが遣り甲斐に繋がる
9.一人では何もできないけれども、仲間と一緒だったら何とでもなるという気持ちになり何事も前向きになる
課題
経営基盤の安定
事業の中心がエッセンシャルワーカの領域が多いため収益率が低い
コロナ禍で仕事を失うことが多い中、仕事を作り出せるのか
地域課題を解決しながら移住者の増加へ繋がる
地域に住んでいる住民が、地域の問題や課題に対して協同労働を使って解決していく自発的な取り組みが行われています。必要な仕事を自らの手で生み出す、それは地域の中で経済が循環していくことであり、経済的にも暮らしも支えられる「持続可能な地域社会」へ繋がっています。
地域課題の解決
①移住してきた人たちへの仕事づくり
1つの農業栽培では特定の雇用しか生まれず、しかも農閑期に仕事がなくなります。年間を通して収穫できる複数の栽培や加工品の開発を行うことで、多くの雇用を生み、年間を通して安定な収入の確保に繋がっています。
②安心して仕事を続けるための生活面の課題への取り組み
老人ホームやデイサービスの事業を立ち上げたり、短時間勤務や子連れ勤務を可能としたり、働きやすい環境を整備しています。また将来事業への投資を行い中長期的な収益の確保と経営事業基盤の強化に取り組んでいます。
労働者協同組合法 2022年までに施行
労働者協同組合とは
労働者協同組合とは、労働者協同組合法(令和2年法律第78号)に基づいて設立された法人で、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織です。
さまざまな事業が可能に(人材派遣業を除く)
健康保険、労働保険が適用に(代表者の労働保険は除く)
法律の施行後は、労働者派遣事業を除くさまざまな事業を行えます。働く組合員は労働契約を交わすことが義務付けられ、労働保険・健康保険などの社会保障の対象になります。
従来は、こうした事業を非営利団体(NPO、企業組合)などで行おうとすると、扱える事業に制限があり、更に都道府県の認可が必要で、手間と時間がかかっていました。新法では、法律に定めてある条件が定款でクリアされてると、届け出をすれば設立できます。株式会社と同じくらい作りやすくなっています。
参考にした文献
矢印株式会社は好きなことを仕事にしています。企業紹介や事業内容、そして経営指標、統計オープンデータ、メンタルヘルス、マーケティングなどの経験も記事にしています。
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