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模倣から始めてみる経営|売上が低迷した時こそ経営指標を算出し他社と対比させ売り物の改善とお客様を知る好機

青は藍より出でて藍より青し

学問は中途でやめてはいけない。青という色は藍(あい)という草から取るが、その色は元になっている藍よりもいっそう鮮やかな青色になる。氷は水が元になってできるが、いったん氷になると、水よりももっと冷たい。

荀子(じゅんし)・勧学(かんがく)

不透明な時代だからこそ、経営者には慎重な判断が求められる。そして会社経営においてこそ、「感情」ではなく「勘定」で判断を下す。そして、経営者は感情論で経営を語るのではなく、明確な数字を社員や取引先に示すことと考えます。

数字は嘘をつきません。その基準となる数字をどこから持ってくるのかが、経営者の腕の見せ所と言っても過言ではありません。逆境の時こそ、腰を据えて本業をしっかりと行い、事業に集中する。焦っていろいろ手を出すことが決して得策ではないこともあるのです。


経営分析に必要な各種指標を記事にしております。併せてお読みください。


売上が低迷した時の経営者の思考

「新製品」「新サービス」「新分野」への拘り

売上が低迷した時の打開策として経営者が取る最初の発想は、「新製品の開発」や「新サービス」の開発、「新分野」への参入ではないでしょうか。

実直な経営者ほど、マーケティング、顧客志向、カスタマーサクセス、3C、SWOT、4Pなどを学び、既存の売上へ別の新たな売上を積み上げようと反射的に行動する方が多いでしょう。しかし、それが簡単にできれば誰も苦労はしません。簡単につくり出せないからこそ、つくり出せた会社はうまくいく。だから頑張り続けてしまう。多くの人が、そう信じています。皆様は如何でしょうか。

売り上げ低迷時に経営者が考える3つの思考

頑張り続ける原因|オリジナリティをどこまで追い求めるのか

筆者は、業績が思わしくない時に、新製品や新サービスの開発、新分野への参入を検討している経営者へ接する時は、「他から学ぶ」ことできませんか、理想の会社や参考にしたいビジネスをしている会社はありませんか、と尋ねます。

例えば、今まで誰も気づいていないモノを開発しようとした場合、ダビンチの風景画を描くくらいのクリエイティブな作業が必要かもしれません。その様な労力まで掛けて独自の新製品や新分野を追い求める必要はあるのでしょうか。業績が好調で経営にも余裕がある時ならいいですが、売上が低迷している緊急事態下で真っ先に取るべき行動ではない気がします。
それよりも自他の既存品やサービスを研究して、顧客が不便や不満と感じている点を解消させ、より洗練された製品やサービスへ成長させることを優先させた方が「売上の積み上げ」に繋がると考えてます。

業績低迷時の経営者の行動
全く新しいモノを追い求めるのか、それとも今あるモノを改善するのか

周りを見回すと、Google検索も90年代前後の企業を幾つか経て、情報収集と検索結果精度の向上に努めた結果、世界中の人々に受けいられるようになりました。日本だと松下電器です。「マネシタ」と言われていたのは有名な話ですが、白物家電など先行している海外製品を研究して徹底的に利便性とコストダウンを追求した結果、世界一の松下電工(海外ブランド名パナソニック)になりました。一方私たちの生活圏で例えると、日本料理や日本蕎麦屋、ラーメン店などの「のれん分け」がそれに当たります。このように実は、既製品や既サービスを洗練させている企業が多いことが分かります。

先行利益者から真摯に学ぶことで、既存品への不便や不満を解消させた結果、新製品や新サービス、新分野への参入に繋がりオリジナルを越えてしまうことはこれら事例からも理解できます。

既存品への不便や不満を解消させた結果、
新製品や新サービス、新分野への参入に繋がりオリジナルを越えてしまう



真似る(模倣)経営

数字が低迷しているならば、その原因を探るのは当然です。そして、うまくいっている事例を研究し、場合によっては模倣する。これを否定してしまっては、会社経営は成り立たないといっても過言ではないと考えています。
しかし真似るといってもどうしたらいいのか。税理士に聞いても中小企業診断士に聞いても答えを得るのは難しいかもしれません。多くの士業は、過去の数字やビジネスを評論することには優れた仕事をしてくれますが、顧客の感情分析やマーケット分析、協力会社や仕入先とのアライアンスの組み方など、それら経験が乏しく重要な施策は経営者任せになってしまうことが多いと聞きます。では真似る経営したい時にはどうすればいいのだろうか。ただ単に外から見える範囲で根拠もなく真似ても役に立たないのは分かると思います。

先ず最初に、真似てみたい企業(目標としたい企業)の数字を真似ることをお勧めいたします。
例えば、経営情報と経営指標を使い自社数字と比較して違いを見つけ出します。そして次に真似たい数字を特定することです。経営情報だけでも41情報、経営指標となると56指標、併せて100近い対比項目がありますので経営者一人で作業するのは効率が悪いので、会計士や税理士とディスカッションしながら進めると、良い点と悪い点を浮き彫りにすることができます。
ではそもそも、その経営情報や経営指標はどのデータから作り出せるかというと、皆様が年に一度作成されている財務三票から算出することができるのです。

真似たい企業の数字は財務三票から作り出せる

経営指標|利益率や前年比等
幾つかの数字を計算式に入れて新たな数字(指標)を示したもの

経営情報|一般的な科目等
売上や利益などデータとグラフが1対1、もしくは一般的な指標(利益率など簡単な計算式)。財務三票にある数字のこと

経営指標と経営情報の違い

その財務三票を使って自社分析(セルフチェック)をしてみてもいいですし、政府系統計経営指標で産業別や従業員別で比較するなど自己診断するのもいいと思います。更に目標とする企業を見つけその企業の財務三票を入手できれば経営状態の違いを知ることができ、経営数字を目標とする 真似る経営 を始めることができます。これら取り組みは、経営者や士業の方々から経営の参考になると好評を頂いております。

このように財務三票を用いた経営情報と経営指標を目標にする 真似る経営 良いところは、過去の成功経験や先入観を排除して客観的な数字で比較して判断できる点です。良い点はさらに強化し、悪い点は低減させる判断が遠慮なしにできるようになります。

過去の成功体験や先入観を排除した財務三票の比較

経営指標で違いを知り、売り物を再考しお客様をしる好機です

ここまでの説明だけだと真似る経営とは、「内部的な経営改善」と理解されそうですが、自社の経営状態と、目標とする企業(真似たい企業)との違いを知るということは最終的には、自社の売り物を再考し届けたいお客様をより深く分析することに繋がるのです。闇雲に新分野や新製品開発しようとしても、自社の実力やリソースを無視した経営判断は決して良い結果を生むことはないのです。

真似たい企業との違いを知ることで売り物やお客様をより深く分析することに繋がる



経営情報と経営指標一覧例

■ 経営情報 (財務三票)|41情報 ■
経営概況
財務三票に記載されている基本的な経営概況の指標
売上高 売上原価 売上総利益 販売費および一般管理費 営業利益(営業損益) 経常利益 当期純利益(当期純損失) 営業外収益 支払利益 税引後利益 支払利息 税引後利益 変動費 固定費 流動資産 固定資産 設備資産 負債 流動負債 固定負債 純資産 総資産 当座資産 棚卸資産 売上債権 借入金 減価償却費 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー 限界利益 有利子負債 付加価値 人件費 従業員数 発行済株式総数 負債比率 自己資本比率(株主資本比率) ROA(総資本経常利益率) ROA(総資本営業利益率) ROE(自己資本当期純利益率)

■ 経営指標 |56指標 ■
安全性分析指標|6指標
企業の財政状態の良否、支払能力の確認

流動比率 当座比率 固定比率 固定長期適合率 財務レバレッジ 財務レバレッジ(倍)
収益性分析指標|7指標
投下された企業の資本や売上に対しどれだけ利益を上げられているか(=稼ぐ力)の確認

売上高総利益率 売上高営業利益率 売上高経常利益率 付加価値比率 売上高販管費率(売上高対販売費|一般管理費比率) 売上高当期純利益率(売上高純利益率) インタレスト カバレッジ レシオ
成長性分析指標|9指標
企業の成長の勢いや今後の成長の可能性を確認

売上高増加率(増収率) 営業利益増加率 一人当たり付加価値増加率 自己資本増加率(純資産=株主資本) 経常利益増加率 総資本増加率 純資産増加率(自己資本増加率) 従業員増加率 一株当たり当期純利益(EPS)
生産性分析指標|10指標
経営資源(ヒト・モノ・カネ)をいかに効率的に使用して付加価値を生み出したか、従業員や設備などをいかに効率的に運用できているか確認

一人当たり付加価値(月) 一人当たり人件費(月) 労働分配率(付加価値分配率) 人材生産性(倍) 労働生産性(円) 資本生産性 機械投資効率 限界利益率 一人当たり売上高 一人当たり限界利益
効率性分析指標|7指標
会社の資産・負債・資本をいかに効率的に活用して収益を獲得したかの確認

総資本回転率(回|総資産回転率) 総資本回転期間(日) 売上債権回転率(回) 売上債権回転期間(日) 棚卸資産回転率(回|在庫回転率) 棚卸資産回転期間(日) 固定資産回転率(回)
損益分岐点分析指標|4指標
企業全体のコスト構造を大まかなに把握

損益分岐点比率 経営安全率(安全余裕率) 損益分岐点売上高(損益分岐点) 損益分岐点販売量
債券償還分析指標|3指標
銀行からどの程度の信用があるのかを自己判断する

借入金月商倍率 自己資本有利子負債比率(ギアリング比率) 債務償還年数

経営情報と経営指標の説明

経営情報と経営指標の解説記事
備忘録#001|企業概況モニタリングで活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#002|収益性分析で活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#003|効率性分析で活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#004|採算性分析で活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#005|安全性分析で活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#006|生産性分析で活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#007|成長性分析で活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#008|損益分岐点分析で活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#009|債務償還分析で活用できる指標|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
備忘録#010|目標利益や予算の立て方|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note
日銀 短観を経営に活かす|景気を感じ強い経営基盤をつくる|矢印株式会社|ICTセカンドオピニオン|note

参考情報|経営情報と経営指標を説明した記事



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企業紹介や事業内容、そして経営指標、統計オープンデータ、メンタルヘルス、マーケティングなどの経験も記事にしています。


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