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備忘録#005|安全性分析で活用できる指標

備忘録|興味があればお読みください

 備忘録#001|企業概況モニタリングで活用できる指標
 備忘録#002|収益性分析で活用できる指標
 備忘録#003|効率性分析で活用できる指標
 備忘録#004|採算性分析で活用できる指標
 備忘録#005|安全性分析で活用できる指標
 備忘録#006|生産性分析で活用できる指標
 備忘録#007|成長性分析で活用できる指標
 備忘録#008|損益分岐点分析で活用できる指標
 備忘録#009|債務償還分析で活用できる指標
 備忘録#010|目標利益や予算の立て方
 備忘録#011|中小企業庁統計による経営指標

矢印株式会社とは

皆さま、初めまして。矢印株式会社の馬上朋広と申します。
2018年5月に創業したモノを販売しないことで客観性を担保した会社です。91年に商社マンから始まり、日系ICT企業、北米、英国、ベトナム企業でICT事業に従事しておりました。
事業の中心は、ICTセカンドオピニオン と 経営情報可視化ダッシュボード というサービスを提供しております。

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安全性分析とは・・・貸借対照表の財務状態から見た資金的余裕度

企業は借金を返済できなくなると倒産してしまいます。企業の借金返済能力を分析するのが安全性分析です。

安全性分析では、バランスのとれた安定した経営が行なわれているかどうか、企業を取りまく経営環境が変化しても耐えうる力がどれ位あるのかをみます。企業の財政状態の良否、支払能力の程度をみているものです。
資金調達の安定度や、資金調達と運用のバランスを分析することで支払能力を把握し、倒産の危険性の有無(会社の安全性)を判断することができます。収益性の高い企業は財務内容もよく、支払能力も高いのが一般ですが、利益を上げながら倒産するケースもあります。収益性を追求するあまり財務内容が悪化し、支払能力が低下してしまうと、債務(支払手形や借入金)の返済ができなくなるからです。こうした倒産を免れるには、資金繰りを管理する必要があります。

支払能力・安全性を見る
会社の安全性である支払能力を分析する方法を解説します。会社の支払能力とは、借入金を返済する能力のことです。返済能力がどの程度あるかを分析することを安全性分析といいますが、返済能力が高いということは、それだけ会社の安全性も高いことになります。

調べ方
貸借対照表から「安全性」を調べます。資産と負債を見て支払能力があるか、負債と純資産の割合を見て借金体質になっていないかどうか、「資産の部」の流動資産と固定資産の内訳を見て、会社の費用構造を予想することなどです。
①資産と負債・純資産の関係 :流動比率、当座比率、固定比率、固定長期適合率
②負債と純資産の割合    :自己資本比率
③資産の内訳        :資産構成比

安全性を高めるポイント
不良在庫、過剰在庫の一掃
遊休資産の処分
固定資産の購入は長期資金で賄う

1.自己資本比率(株主資本比率)

自己資本比率(%)= 純資産 ÷ 総資産 × 100

総資産 = 総資本 = 全ての資産
    = 自己資本 + 他人資本
    = 純資産 + 負債(流動負債 + 固定負債)
    = 貸借対照表の(資産合計=負債純資産合計)

純資産 = 純資本 = 自分の資産
    = 総資本-負債(他人の資産)
    = 貸借対照表の純資産合計(資産合計 - 負債合計)

自己資本 = 純資産
     = 株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金 他)
     = 株主資本 + 評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)

会社の資金調達の内容を分析するもっとも一般的な指標は、自己資本比率です。

会社が集めたお金の総額である総資本に対して、自己資本がどれくらいあるかを表すものです。自己資本比率は貸借対照表の「自己資本」(株主資本)を「総資本」(負債・純資産合計=資産合計)で割ったもので、総資本に占める自己資本の割合です。自己資本には返済義務がないため、自己資本比率が高ければ、資本調達の安全性が高いということになります。

自己資本比率は、収益性にも大きく影響します。自己資本の割合が大きければ借入金の割合が小さいことになり、金利負担が少なくて済むからです。また、自己資本には、会社に最終的に残った利益が組み込まれていきますので、純利益が多い(=会社がもうかっている)と自己資本が増え、自己資本比率もさらに高くなっていきます。逆に、赤字が続き自己資本を食いつぶすと、債務超過の状態になります。

自己資本比率が高いということは、返済義務のない資金が多いことを意味し、業績が悪化しても債務超過を避けるための抵抗力があり、安全性の観点からは好ましいといえます。ただし、収益性という意味からは、資本が多いほうが良いとは限りません。借入金のコストよりも儲かる事業があれば、借入金をもとに事業を拡大し、より多くの利益を稼ぐこともできるからです。適度なバランスが重要です。

自己資本比率の目安
 30%程度 :一般的
 50%程度 :優良企業

自己資本比率が低い会社は、負債である借金が多く、支払利息も多くなります。このような会社は、低金利の時代には金利負担が軽くていいのですが、金利が上昇してくると、それだけ利払いが大きくなってしまうので、利益は急激に減ってしまいます。景気や経済の状況に損益が大きく左右されてしまう可能性があります。

2.流動比率

流動比率(%)= 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

流動資産 = 貸借対照表の流動資産合計 = 当座資産 + 棚卸資産
流動負債 = 貸借対照表の流動負債合計 = 支払手形 + 買掛金 + 短期借入金

短期的な返済能力を診断する指標の代表的なものが流動比率です。短期的負債の支払をカバーできる運転資金状態をみています。

支払手形、買掛金、短期借入金などからなる流動負債は、1年以内に資金化できる「流動資産」と1年以内に返済しなければならない「流動負債」の割合を示す数値です。
この流動負債に対して支払原資となる資産は、流動資産です。流動資産は「現金・預金」「受取手形」「売掛金」などの当座資産と「棚卸資産」を合計したもの、流動負債は「支払手形」「買掛金」「短期借入金」などの合計です。短期借入金があっても、すぐに現金化できる資産を持っていれば、その資産を現金にして負債の返済に当てられます。この短期的な支払能力がどれくらいあるかを示すのが、流動比率という指標です。

流動資産の目安
 大企業  :130%前後
 中小企業 :130%~150%
 危険状態 :100%以下 新たな資金調達が必要

3.当座比率

当座比率(%)= 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

当座資産 = 貸借対照表の流動資産の中で短期に換金できる資産
     = 現金・預金 + 受取手形 + 売掛金 + 短期保有の有価証券
流動負債 = 貸借対照表の流動負債合計 = 支払手形 + 買掛金 + 短期借入金

流動負債に対する当座資産の割合である当座比率が短期の安全性を判断する2番目の指標として重要です。

当座比率は、流動比率をより厳しくした概念で補完しているともいえます。当座資産が流動負債をどの程度カバーしているのかを示す指標です。
流動資産から現金化しにくい棚卸資産を除いたもので、現金・預金、受取手形、売掛金、短期保有の有価証券等の現金化しやすい資産を指します。
また、流動資産のなかでもとくに換金性の高い資産「当座資産」の流動負債に対する割合を示し、企業の短期的な返済能力をより厳密に把握することができます。

当座比率が100%を超えていれば、短期の安全性(短期の支払能力)は高いと判断できます。

流動比率の注意点
流動資産の中身が「実はお金にならない、なりにくい資産」の場合、流動比率だけの判断は危険です。流動資産は、当座資産と棚卸資産に分類されますが、当座資産は、売上債権や現金預金などのことで、現金により近い性質を持っています。棚卸資産は、販売という過程を経て現金になります。流動資産のうち、当座資産の多い方が支払原資は多いと考えられます。

4.固定比率

固定比率(%)= 固定資産 ÷ 純資産 × 100

固定資産 = 貸借対照表の固定資産合計

純資産 = 純資本 = 自分の資産
    = 総資本-負債(他人の資産)
    = 貸借対照表の純資産合計(資産合計 - 負債合計)
自己資本 = 純資産
     = 株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金 他)
     = 株主資本 + 評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)

固定比率は、自己資本に対する固定資産の割合であり長期の支払能力を見ていて、固定資産に対する資金調達源の安定性を示す比率です。

固定資産がどのような資金で購入されているかをチェックすることで長期的な安全性を判断することができます。固定資産に資金を投じると、固定資産を売却しないかぎりその資金は回収できません。長期間に渡り資金が寝てしまう危険が出てきます。そのため、固定資産を購入する場合、株主資本(自己の資本)を使う方が会社にとってメリットが大きいといえます。株主資本を使えば、金利を支払う必要もないので、資金的にも楽になります。会社がそのような経営を行っているかを固定比率でチェックします。固定比率が低いほど、固定資産についての資金調達が安定していることを意味します。

固定比率の目安
  100%以下  :理想的
  100%以上  :借入金等での調達が多い財務の安全性が低い

固定比率が100%を大幅に下回っている場合でも、減価償却の進んだ古い設備が多い場合などは、将来的な競争力について不安があるとも予想されます。

5.固定長期適合率

固定長期適合率(%)= 固定資産 ÷ (固定負債 + 純資産)× 100

固定資産 = 貸借対照表の固定資産合計 固定負債 = 貸借対照表の固定負債合計

純資産 = 純資本 = 自分の資産
    = 総資本-負債(他人の資産)
    = 貸借対照表の純資産合計(資産合計 - 負債合計)
自己資本 = 純資産
     = 株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金 他)
     = 株主資本 + 評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)

固定資産に対する長期の支払能力や調達源泉が適正かをみていて、固定比率を補完する指標です。

多くの企業は、自己資本だけでは固定資産を購入できないため、金融機関からの借入に頼っています。この借入は、返済期限が1年以上ある長期借入金などです。固定長期適合率は、長期の借入と自己資本を使って固定資産を購入しているかをチェックする指標です。

固定長期適合率の目安
  100%以下  :安全
  100%以上  :固定資産の資金調達の一部が短期で返済しなければならない流動負債(短期借入金等)で賄われていることになり、財務面で不安定

固定長期適合率は、巨額な固定資産への投資を要する設備重視型産業(鉄道、電力、航空業等)の安定性をみるのに有効です。固定長規定号率は、安定的な資金源をより広く捉えて、自己資本に加え、長期間支払う必要がない社債や長期借入金等の固定負債を分母に持ってきます。

6.財務レバレッジ(負債比率|ギアリング比率)

財務レバレッジ = 総資産 ÷ 純資産 × 100
       
= 総資産 ÷ 純資産 (倍)
総資産 = 総資本 = 全ての資産
    = 自己資本 + 他人資本
    = 純資産 + 負債(流動負債 + 固定負債)
    = 貸借対照表の(資産合計=負債純資産合計)

純資産 = 純資本 = 自分の資産
    = 総資本-負債(他人の資産)
    = 貸借対照表の純資産合計(資産合計 - 負債合計)

自己資本 = 純資産
     = 株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金 他)
     = 株主資本 + 評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)

株主が出資した資金で、どれだけの資本を生み出したのかを表す収益性の指標で財務分析の収益性の指標の1つです。返済義務のある他人資本が、どれだけ返済義務のない自己資本でカバーされているかを示していたり、自己資本の何倍あるか、負債をどの程度有効活用しているかを表しています。

企業の自己資本に対する他人資本(有利子負債等)の割合を示す数値を「レバレッジ比率」と言い、英語表記の「Debt Equity Ratio」を略して「DER」や「負債比率」・「ギアリング比率」とも呼ばれています。

財務レバレッジの目安
 100%以下  :自己資本内の経営、借金が少ない、財政安定
 100%以上  :総資本に占める負債の割合が高い

企業が投下する資金の源泉は、自己資本か他人資本かのいずれかです。財務レバレッジが100%以下の会社は無借金経営だから優良で、財務レバレッジが高い企業は借金が多いから危険なのかと言えば、必ずしもそうではありません。企業を経営していくうえでは、借金をしてでも積極的に投資して利益をあげたほうが良いケースは多くあるからです。

また、レバレッジ比率は、貸借対照表(バランスシート)の貸方側の資本構成を表す指標で、レバレッジ比率を低下させるには、有利子負債等の削減か、または利益拡大による内部留保の積み増しが必要となります。

謝辞|深く感謝いたします

できることならゲーム感覚で経営を楽しみたい。そんな時、何を基に、何を頼りに、経営したらいいのか分からなくなりました。そこでややっこしいことは承知の上で、財務会計の本をとったのですが、言葉が揺れていたり表現がしっくりこなかったりして理解できませんでした。そこで、一念発起して自分用のテキストを作ろうと考え、それがこの内容になります。
私が理解できるネット上の情報を収集し、引用し、加筆修正を加えてまとめました。大変難しく不正確な点もあると思います。しかし本一冊の表現では理解が及ばないことが、様々な表現で記述された情報で学ぶことができました。まだまだ未完成ですが、備忘録として公開したいと思います。皆様の一助になれば幸いです。最後に、引用元の皆様には深く感謝申し上げます。

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