ジョーカー フォリ・ア・ドゥ
ホアキン・フェニックス演じるアーサー・フレックが、完全にジョーカーとして堕ちた後、収監されるところから始まる本作『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』。彼が獄中で出会うのがレディー・ガガ演じるリー。彼女はハーレイ・クイン的な立ち位置にいながらも、従来のハーレイとは異なる独自の解釈が与えられている。
物語は、ジョーカー事件の続編として描かれ、アーサーの妄想と音楽に乗せて彼の最期へと向かう道をたどる。前作のような派手なアクションシーンは控えめであるが、その分、裁判所の爆破シーンなど、要所での激しいシーンが強く印象に残る。むしろ、今作はジョーカーがどのように裁かれ、彼自身が何を訴えようとしているのかが、シリアスに、そして哲学的に描かれている点が見どころである。
特に、本作の特徴として挙げられるのが、ミュージカルやオペラのような表現手法だ。流れるような音楽と共に、ストーリーがテンポよく進行し、観る者を引き込んでいく。ジョーカーの内面世界を音楽と映像で表現するという挑戦的な手法は、まさにアートとも言える。
リー(ガガ)が従来のハーレイ・クイン像とは違う形で描かれる点も興味深い。彼女のキャラクターはアーサーに深く関わりながらも、新しい解釈を求められる。ジョーカーとハーレイの定番のダイナミックな関係を期待していると裏切られるかもしれないが、その分、リーというキャラクターが持つ独自性に新たな魅力を感じるだろう。
総じて、前作『ジョーカー』の狂気と哀愁を継承しつつ、異なる手法で観客に衝撃を与える本作は、単なる続編にとどまらない意欲作だと言える。