Yuichiro Yajima
昨年は年間40本の映画を鑑賞しました。 今年はもっとたくさんの映画を観てみよう。 レビューなど長文が苦手ですが、鑑賞直後の感動をもとに書いてみます。
映画『ぼくとパパ 約束の週末』は、主人公ミルコと彼の息子ジェイソンの心温まる実話をもとに、自閉症への理解を深めると同時に、父と息子の絆を描いた作品です。 物語は、自閉症と診断されたジェイソンが家庭や学校で様々な問題に直面するところから始まります。些細なノイズや周囲の刺激に対する敏感な反応は、健常者には理解しづらいものかもしれませんが、ジェイソンにとっては恐怖や畏怖の対象となります。その姿を通じて、観客は自閉症の特性について自然と考えさせられるでしょう。 そんなジェイソンが
「終わる終わる詐欺」と揶揄されたこともある『進撃の巨人』シリーズですが、ついに、この劇場版でその幕が閉じます。昨年、TVアニメで「ファイナルシーズン」の「完結編」の「後編」が放送され、多くのファンが「本当に終わったのか?」と疑いを抱きつつも、ようやくその旅路に終止符が打たれました。 今回の劇場版では、TVアニメの • ファイナルシーズン • ファイナルシーズン パート2 • ファイナルシーズン 完結編(前編) • ファイナルシーズン 完結編(後編) これら全4シー
先行上映で観賞しました。 警察を引退し、秋田の田舎で訳ありの子供たちと静かに暮らしていた室井さん。しかし、平穏を打ち破る事件が彼のもとに舞い込むことに。 前編「敗れざる者」のラストで登場したリクくんの父(加藤浩次)の影響が、再び波紋を広げます。父からの暴力に怯えるリク。室井と「リクを殴らない」という約束を交わしていたものの、その約束が果たされず、心に傷を負ったリクは、最後の望みを胸に室井の元に戻ってきます。 「生き続ける者」というタイトルには、ただ事件の加害者や被害者と
久しぶりの役所広司さん主演映画。 役所さんが八犬伝の著者である曲亭馬琴を演じ、内野聖陽さんが演じる葛飾北斎は馬琴の作る「八犬伝」の挿絵の下絵を描く。 馬琴はその下絵が欲しいが、北斎はその都度、それは本当の作品として書いていないからと破く。 本作の原作は、曲亭馬琴の小説作品である「八犬伝」から、作者の馬琴とその友人としての北斎との交流を交えて、「実の世界」と「虚の世界」を描いた山田風太郎原作の「八犬傳」。 怨霊や爆発のVFXは、まあこんなものかといった印象。なんで邦画のCG
戊辰戦争の激動の中、旧幕府軍と新政府軍の戦火が交錯する日本の一角に、新発田藩が存在します。米沢藩や長岡藩と共に幕府を支援する勢力と新政府軍の圧力の板挟みになりながらも、新発田藩は機をうかがい、寝返りを狙う策を巡らしています。戦の火種が燃え広がりつつある中で、いつ衝突が起きてもおかしくない緊迫感が漂います。 舞台は新発田藩。阿部サダヲさんが演じる家老が、この物語に一筋縄ではいかない深みを与えています。この家老は若い藩主を操り、旧幕府軍をうまく丸め込もうと画策しますが、思いがけ
「踊る大捜査線」シリーズの最新作であり、今回は二部構成で展開される物語の前編にあたります。後編「生き続ける者」は来月公開予定で、エンドロール後の続編予告でもそのつながりを強調していました。観客の中には、続編があると気づかず驚いた人も多かったようです。二部構成の背景や意図は、パンフレットのインタビューでも語られており、事前に情報を得ていると、より楽しめるでしょう。 複雑に絡み合うキャラクターと物語 本作はこれまでのシリーズからのキャラクターや要素を多く引き継ぎ、それぞれが複
ホアキン・フェニックス演じるアーサー・フレックが、完全にジョーカーとして堕ちた後、収監されるところから始まる本作『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』。彼が獄中で出会うのがレディー・ガガ演じるリー。彼女はハーレイ・クイン的な立ち位置にいながらも、従来のハーレイとは異なる独自の解釈が与えられている。 物語は、ジョーカー事件の続編として描かれ、アーサーの妄想と音楽に乗せて彼の最期へと向かう道をたどる。前作のような派手なアクションシーンは控えめであるが、その分、裁判所の爆破シーンなど、
静かなる日常の崩壊と再生本作は、日常の中で徐々に崩壊していく夫婦の関係を静かに、しかし圧倒的なリアリティで描いたドラマです。物語の中心にいるのは、夫・真守と妻・桃子。彼らは「離れ」で暮らしており、近くに真守の母親が一人で住んでいるという、閉ざされた家庭環境が舞台です。 物語は、桃子が夫の浮気に気づき、さらに驚くべきことにその浮気相手との間に子どもができたことで展開が一気に加速します。この時点で観客は、桃子が何気なくスマホで見ていたSNSのアカウントを浮気相手のものだと思い込
「聲の形」の山田尚子監督が手掛けるアニメーション作品である「きみの色」は、まるで「どんな悪意もない、優しさに満ちた世界」を映し出したかのような作品です。この映画には、誰かを傷つけようとする意図は一切なく、むしろ誰かを想う純粋な優しさが溢れています。その優しさが、10代の若者たちの青春を鮮やかに彩り、色と音をテーマにした美しいストーリーが展開されていきます。 大きな事件や派手なアクションが起こるわけではありません。しかし、それでも圧倒的な美しさと静かな感動が、観る者の心に深く
巨大ECサイト「デイリーファスト」の商品が配達先で突如爆発。しかも、舞台は一年で最も消費が盛り上がるブラックフライデー。誰もが心待ちにしていたセールの裏で、止めどなく続く物流システムに潜む「爆弾テロ」という恐怖が忍び寄る。 この映画は、テロの脅威が日常に浸透する中、東京全土を巻き込むパニックが描かれます。「レインボーブリッジ封鎖できません!」どころではない規模での大混乱に、観客は息をのむことでしょう。 「MIU404」や「アンナチュラル」といった作品とのコラボレーション要
映画予告とその期待感 映画「箱男」の予告編からは、箱に籠った男が世間を観察し、徐々に展開されるミステリー的な雰囲気が感じられました。奇妙でありながらも、引き込まれる異質な世界観が期待されます。 27年越しの映画化 この作品は1997年にドイツを舞台に制作が開始される予定でしたが、直前で頓挫。それから27年後、石井監督自らが念願の完成に至りました。27年前と同じキャスト、永瀬正敏さんと佐藤浩市さんが再び出演しています。 特に印象的だったのは永瀬正敏さんの老成感です。冒頭
『悪魔のプーさん』シリーズの続編:ロビンの視点から語られる恐怖の真相前作では、成長したロビンが100エーカーの森を去り、街での生活に没頭してしまう。森に残されたプーたちは、ロビンに捨てられたと思い込み、凶悪な悪魔に変貌を遂げ、森に足を踏み入れる者たちに恐怖を与える存在となりました。 今回の続編では、ロビンが主人公となり、失われた記憶と100エーカーの森で起きた事件の真相に迫る物語が描かれます。記憶を取り戻していく中で、かつて無邪気だったプーたちがどのようにして悪魔と化したの
マーベル映画を初めて見る機会がありました。それが『デッドプール』シリーズで、破天荒なヒーローが活躍するとのことでした。 事前に口コミサイトの評価を確認すると、過去のマーベル作品を見ていることが前提のパロディが多いとのことでしたが、実際には過去作を見ていない私でも十分に楽しめる内容でした。 冒頭のデッドプールがタイムパトロールのような部隊と戦うシーンは、まるで『シン・仮面ライダー』のような血飛沫飛び交うアクションが展開され、圧巻でした。また、デッドプールのコスチュームにも注
アポロ11号の月面着陸はフェイクだった。 そんな陰謀論的なテーマを見事に脚本化したスペースロマンス映画です。 気になったポイント まず目を引いたのは、主人公のコール(チャニング・テイタム)の衣装です。スター・トレックを彷彿とさせるピチッとした黄色いニットを着ており、他の職員が普通のスーツやシャツ姿である中で一際目立っていました。 予告と実際の内容の違い 映画予告からは、もっと積極的にフェイク動画を制作するプロセスに焦点が当てられると思っていました。しかし、実際にはその
清水崇監督の最新作「あのコはだぁれ?」は、Jホラーの巨匠が手掛ける学園ホラーです。前作「ミンナのウタ」から繋がる作品で、呪いと希望が交錯します。 「ミンナのウタ」と同じく、「高谷さな」の希望が呪いとなって襲いかかります。ただし、今作では呪いであるはずの「高谷さな」が学生として存在し、他の学生たちと交流している点が新しい要素です。これは従来のホラー作品とは逆のアプローチで、視聴者の恐怖を増幅させています。 特に印象的なシーンとして、瞳とさながピアノ連弾する場面があります。後
キングダム最終章。ついに完結! 原作キングダムはまだまだここから信が大将軍になるべく続くのですが、劇場版はここで一旦完結ということらしいです。 今回の見どころは、前評判で話題になった李牧役の小栗旬さんと龐煖役の吉川晃司さんの二人です。 吉川晃司さんは、他の映画でも素晴らしい演技とタフな役作りから安定して“本物感”を感じる演出を見せており、今回もとても素晴らしかったです。 一方、小栗旬さんの演技は、軍師の役柄なのでどうしてもアクションシーンが少なく、台詞回しで役を演じること