天官冢宰20
#天官と冢宰と言う役職についての章
酒正:掌酒之政令,以式法授酒材。凡為公酒者,亦如之。
#酒正 (しゅせい):酒の政治的指導を担い、酒の作り方に従って材料を提供する役職です。一般の人が公式の酒を作る場合も同じ手順を踏みます。ここでは、五つの「齊(せい)」と呼ばれる種類の酒を区別し、また三つの種類の酒と四つの飲み物を区別しています。
辨五齊之名,一曰泛齊,二曰醴齊,三曰盎齊,四曰緹齊,五曰沈齊。
#五つの「齊」の名前を明確にします。一つは「泛齊(はんせい)」、二つは「醴齊(れいせい)」、三つは「盎齊(おうせい)」、四つは「緹齊(ていせい)」、五つは「沈齊(ちんせい)」です。
辨三酒之物,一曰事酒,二曰昔酒,三曰清酒。
#三つの種類の酒を区別します。一つは「事酒(じしゅ)」、二つは「昔酒(せきしゅ)」、三つは「清酒(せいしゅ)」です。
辨四飲之物,一曰清,二曰醫,三曰漿,四曰酏。
#また、四つの飲み物を区別します。一つは「清(せい)」、二つは「醫(い)」、三つは「漿(しょう)」、四つは「酏(い)」です。
掌其厚薄之齊,以共王之四飲、三酒之饌,及後、世子之飲與其酒。凡祭祀,以法共五齊、三酒,以實八尊。大祭三貳,中祭再貳,小祭壹貳,皆有酌數。唯齊酒不貳,皆有器量。共賓客之禮酒,共後之致飲于賓客之禮;醫酏糟,皆使其士奉之。
#酒の濃さに応じて「齊」を区別し、王や王妃、世子(王の子)が飲む四つの飲み物と三つの種類の酒を調整します。祭祀の際には、五つの「齊」や三つの種類の酒を遵守し、八つの容器を満たします。大祭りでは三度、中規模の祭りでは二度、小さな祭りでは一度酌を行い、規定の量を注ぎます。ただし、「齊」の酒は二度酌を行わず、容器の量に従います。客人に出す酒の礼儀は共同で行い、後継者が客人に酒を振る舞います。薬用の酒や糟(かす)は、担当者によって運ばれます。
凡王之燕飲酒,共其計,酒正奉之。凡饗士庶子,饗耆老、孤子,皆共其酒,無酌數。掌酒之賜頒,皆有法以行之。凡有秩酒者,以書契授之。
#王の宴会や飲み会では、計画に基づいて酒が提供されます。酒正がそれを取り仕切ります。王が士や一般の人に酒を振る舞う場合、酒は共有され、特定の量を注ぐ必要はありません。酒を贈る際には、規則に従って行います。階級に応じた酒は契約書で授与されます。
酒正之出,日入其成,月入其要,小宰聽之。歲終則會,唯王及後之飲酒不會,以酒式誅賞。
#酒正の職務は日々行われ、成果は一日のうちに結果が出し、月単位で要約されます。ただし、年末には全てを振り返る会議が開かれます。ただし、王と後継者の酒の飲み方については会議は行われず、酒のスタイルに基づいて処罰や報酬が与えられます。
酒人:掌為五齊三酒,祭祀則共奉之,以役世婦。共賓客之禮酒、飲酒而奉之。凡事,共酒而入于酒府。凡祭祀,共酒以往。賓客之陳酒亦如之。
#酒人 :五齊と三酒の管理を担当し、祭祀の際にはそれらを共に奉仕し、世婦(せいふ)たちに奉仕させました。また、賓客への礼酒や飲み物の提供も行いました。あらゆる行事において、酒府(しゅふ)に酒を共有して提供しました。祭祀の際には共同で酒を持参し、賓客が持ち寄った酒に対しても同様の取り扱いをしました。
漿人:掌共王之六飲水、漿、醴、涼、醫、酏,入于酒府。共賓客之稍禮。共夫人致飲于賓客之禮清醴醫酏糟而奉之。凡飲,共之。
#漿人 (しょうじん):漿人は、共王の六つの飲み物である水、漿、醴、涼、醫、酏を管理する役職であり、これらを酒府に納めました。また、賓客への少量の礼を共に行いました。また、夫人が賓客に対して提供する飲み物である清、醴、醫、酏、糟(かす)も漿人が管理し、提供しました。すべての飲み物は共有されました。