五色園ー名古屋郊外、親鸞聖人伝説と色褪せたコンクリート人形群
爽やかな秋晴れ。朝。快活クラブで無料のトーストを口に無理やりぶち込みナイト8時間パック激安プランギリギリの会計を済ませて外に出る。ここは名古屋郊外長久手。古戦場の名も虚しく、今やニュータウンと化したその地は住宅街と近未来的な巨大インターチェンジ、高架を颯爽と走り抜けるモノレール(リニモ)で埋め尽くされている。だが、大通りを少し外れるとそこは里山という言葉が似合う寂れたいい感じの風景が残っている。どこまでも続く青空。美しい里山の風景に身を委ねながら軽く朝の一服とセブンスターを気持ちよく吸っていたら危うくトヨタのミサイルに轢き殺されそうになった。そう、ここは愛知県名古屋。車が最優先とされる日本版マッドマックスシティ。
その日私が向かったのは愛知県日進市にある五色園。何で読んで知ったのかは覚えていないが、とにかくヘンテコな等身大コンクリート人形が見られるのだという。親鸞聖人の逸話を表現した説話テーマパーク。少なくともお隣にある上部のエモさだけをウリにしたジブリパークよりは面白いに違いないと思いいざ入山。
例のコンクリート人形。いきなり出てくるので、人がいるのかと思って毎度吃驚する羽目になった。
像はアニメっぽくもなく、リアルっぽくもなく。良い具合に中世の人間を表している。登場人物は武士、僧侶がメイン。封建時代のバキバキな目がしっかりと表されておりかなり迫力がある。雨風に晒された後はペンキのハゲやシミに現れており、だがそれが非常に良い味を出している。ここはダークツーリズム的なところで評価されているのだろうが、それも理解できなくはないほど異様でキワモノ的な空間であった。(本来は真面目に宗教的なのはいうまでもない。)
人も全くおらず、静かな里と異界を独り占めできる豊かな時間であった。普通の観光地に疲れ果てたらまた行ってみるのも良いかもしれない。
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