【誇り#1】信頼できる家族がいる
わたしは恵まれている。
いざというときには自己犠牲を払ってでも助けてくれる家族の存在を確信した。
娘や息子たちが自立し我が家を出ていってからは、お互いがそれぞれの暮らしを尊重、住んでいる距離が遠いということもあり、それほど蜜に連絡をとりあうでもなく、変わった近況報告でもあればどちらともなく連絡するという程度のゆるい親子関係を続けてきた。
今年3月、夫がコロナ禍という異常な状況の中でステージ4の癌と診断された日から、そのゆるさは一変した。4人の子どもたちとその伴侶、パートナーも含めて、みごとな団結力でわたしと夫の闘病を支えてくれた。片道150km離れた病院への通院や、抗がん剤治療中の滞在先の提供、治療期間中は次男夫婦がそろってわたしたちの家に移動し手足となり動いてくれた。次男夫婦の都合がつかないときには片道250km離れたところに住む三男がすっ飛んできて代わりを務めてくれた。娘夫婦は米国での難解な医療環境のなかで、医師や看護師との複雑なやりとりを大いに助けてくれた。長男は遠く離れたテキサス州に住んでいたのだが、父親が癌とわかりすぐさま夫婦でミシガンに戻ると決めて引っ越してきた。
子どもたちの強さとやさしさに触れて何度も涙があふれた。
平常時にはあれほどそれぞれが好き勝手に自由に暮らしていたというのに、我が家の非常事態となればみごとなサポート集団となってくれたことに、最悪の不幸の中で最高のシアワセを感じることができたと思っている。子どもがいてよかったと心のそこから感謝した。娘や息子たちの助けがなければ、7ヶ月間に及ぶ夫の闘病をやり過ごすまえにわたしが潰れてしまっていただろう。
困ったときに助け合える家族がホンモノなのだとすると、わたしにはホンモノの家族がいてくれる。うれしい。
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