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船の中も"アメリカ"だった【カリブ海クルーズ4】
バケーションを楽しむはずなのに、クタクタでは意味がない。最初の朝は目覚ましをかけることもなく、体がもういいというまで寝ようと思っていた。
すでに海の上なのでスマホは繋がらない。クルーズ中、インターネットWifiを買うことはできるが、使用する容量に応じて1日、一人18ドルから25ドルもするのでわたしたちは旅の間はオフラインを決めていた。
ところが早朝に部屋の電話が鳴った。7時半ごろだったと思うが、わたしもQPさんもまだ夢の中だったので出なかった。そのうち部屋をノックする音が聞こえた。
ベッドでまるまっていたわたしはまだ服も着ていない。
「も〜ぅQPさ〜ん出てよ〜」
しぶしぶ彼が起き上がり、スボンだけはいてドアを開けたら案の定、隣の部屋にいるテリーとヨランダだった。
テリー「まだ、朝食も食べてないのか?俺達はとっくに朝食は終わった。デッキ16のいちばん後方にいるから朝食が終わったらそこにおいで」
QP「わかった。準備ができたらあとで行くよ。ありがとう。」
さすが、1年以上も前から予約しているテリー&ヨランダ夫妻はバリバリ張り切っている。リラックスするために来ているのに、わたしたちと若干ペースが違うようだ。彼らに合わせていると体力が持たないと悟った。
勝手知る彼らは、早起きしてデッキ最後方の眺めの良いプールサイドのビーチチェアを家族分陣取っていた。船が広いとはいえ日当たり、風など考えた良いスポットを得るには早起きする必要があるようだ。
そのあたりはすでに多くの乗客が日光浴をしていた。プールでは子どもたちがワイワイとはしゃぎ、それを見守りながら大人たちは飲み物やスナック片手にジャグジーにたむろしていたりと大賑わいのデッキだ。
人混みが嫌いなわたしたちは静かな場所を探しに行くことにした。
いちばん前方のデッキ19にはセレニティエリア(Serenity Area)と呼ぶ子ども禁制のエリアがある。ふたりとも子どもは大好きだけど、リゾートの旅はアダルトオンリーにしか行かないわたしたちだ。まるでしつけのなっていない子どもたちが走りまわる騒がしい場所に居たいとは思わないのでセレニティエリアに移動した。
バー、プール、ホットタブ、サラダバーがあり、家族連れがいないのでかなり静かで、若者同士のカップルや老夫婦が目についた。落ち着けるビーチソファをみつけて寝転びテキーラサンライズ片手にカリブの海の眺めを楽しんだ。
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クルーズルートとしては、世界一の人気を誇るカリブ海だけあり、ときおり遠くに別のクルーズ船も見える。
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クルーズ船の上で、のんびり太陽を浴びてくつろぐ時間を得て、だんだん体にパワーがチャージされていくような気持ちになり、夕方にはフルチャージ完了。
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5時半にはみんなでディナーを食べ、そのあとはしばしショーを楽しんだ。わたしがヨランダとヨランダの娘家族と一緒にショーを見ている間に、テリーとQPさんはフットボール観戦準備のためスポーツバーに向かった。
この日は夜8時過ぎからデトロイト・ライオンズのフットボールゲームがあった。乗船客のほとんどが米国人なのだからフットボールファンは多い。当然ながら船にはスポーツバーが備わっている。
この夜はデトロイト・ライオンズ VS サンフランシスコ・フォーティナイナーズの試合で、ライオンズにとってはとてもたいせつな試合でありファンにとっては必見だ。
ご多分にもれずQPさん、テリー、ヨランダとその娘夫婦全員がミシガン人なのでライオンズファン。クルーズ中に試合があることを知っているので、テリーやヨランダファミリーはライオンズロゴ入りの服に着替えて準備万端だ。
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時間になると、バーにはデトロイトかサンフランシスコを応援するフットボールファンがぞくぞく集合し混み合っていた。試合運びに一喜一憂し、あちこちの壁に備わっている巨大スクーリーンに釘付け。それぞれのチームを応援する人々との連帯感が生まれ、すごい熱気に包まれていた。
バーテンダーまでも、ライオンズがタッチダウンするたび絶叫しては喜び、その熱狂がゲストにも感染する。他人同士もライオンズファン同士とわかれば握手したり、抱き合ったりしている。
今季のライオンズはチーム史上最高の成績なので、ファンは期待で超熱くなっている。試合は接戦で手に汗握るもので興奮度マックス。わたしは未だフットボールのルールさえもよくわからないが、双方チームのファンが熱くなる姿がまさにアメリカンで、いつものわたしには縁遠い雰囲気を、覚めた目で楽しんでいた。
あまりの接戦試合ですっかり遅くなってしまったけど、ライオンズが勝ったのでわたしたちミシガン勢はみんなご機嫌だ。
さて、明朝は最初の寄港地、ドミニカ共和国のアンバーコーブに到着するので早起きしなければいけない。
続く
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