"好き活"の果てに生まれたバンドは実力派ジャムバンド【推し活#2】
米国・ミシガン州発の推し活です。
最新アルバムを紹介する前にバンド誕生ストーリーを!!
デトロイト拠点とするバンド“Paddlebots”が「WORKING BACKWARDS」というアルバムを昨年10月にリリースしました。アルバム&バンドのプロデューサーはハルキ・ハコヤマです。
Paddlebots (パドルボッツ)はHaruki とKortez(コルテズ)を中心とするジャムバンドでメンバーは8、9人と大勢です。メンバー全員がひらめき即興OKな実力派ミュージシャンばかりなので、"音楽通”がとことん楽しめるバンドです。
バンドの誕生は正確にいつなのか?はわかりません。音楽大好き仲間がワイワイやっているうちに生まれたからです。今から10年ぐらい前、我が家はミュージシャンのたまり場でした。
8年前にはこんな光景が繰り広げられていました。
ブルーノ・マーズの人気の曲、"アップタウン・ファンク"を彼らのテイストでアレンジしたものをYouTubeに載せました。オリジナルよりいいじゃんと、このバージョンでカバーしたバンドが出てきたほどです。
マルーン5の“シュガー”
当時は全員大学生で、ヴォーカル以外はみんな大学のジャズバンドの仲間なのでそれぞれがアドリブ好き。オリジナルとはちがった独特なカバーとなっています。とにかく演奏が楽しくてしょうがないメンバーたちが常に集まっていました。このころはわたしにとっても(踊る母😆)楽しい日々でした。
この頃からライブハウスや大学のイベントにも呼ばれてよくバンド活動をしていました。
こちらは7年前でご存知、マイケル・ジャクソンの「スリラー」のカバーです。彼ら流のアレンジを楽しんでいた時代です。イースン(ロックンロール青年)のギター・ソロがイケてます。
ヴォーカルのコルテズはもともとゴスペルシンガーなので、ゴスペルな歌い方がオリジナルとはちがうおもしろさを出しています。ほとんどは大学で音楽を専攻している学生でしたがそれぞれ好きなジャンルが多様だったからこそ、いろんなフィーリングがミックスして彼らの独特なサウンドが生まれました。
こちらは6年前。ブルーノ・マーズのお馴染み曲“24K マジック”です。ブルーノは偉大なミュージシャンでわたしも大好きですが、ブルーノがこの曲を発表直後にこんなアレンジでカバーしました。
ドミニクのサックスソロがとても活きていて、わたしはオリジナルよりもこちらが好きなくらいです。ブルーノの再生回数は15億回以上ですが、わたしにとってはジャジーなソロが入るこっちのが好き!!😆
コルテズとハルキだけの作品もあります。
OMI の"チアリーダー"
Justin Timberlake (ジャスティン・ティンバーレイクの"Can't Stop the Feeling!"
自分のアレンジを作品にするためには、自分で演奏することが不可欠でした。ハルキがマルチ・インストゥルメンタリストになっていったのは、こんな歴史を経ているからです。あのマルチ奏者のプリンスも自分で複数の楽器を演奏して録音していたそうですが、プリンスでもリード楽器やラッパは演奏しなかったような……?
とまあ、音楽好きでカバーを楽しんでいるうちに誕生したPaddlebots(パドルボッツ)が、カバーバンドになりたいわけではないとオリジナル曲を生み出すようになり、2017年にハルキがプロデュースした、Paddlebotsとしてのファースト・アルバム「Mouth Full of Dirt」を発表しました。
メンバー全員の個性を出しきるように思いを込めてできあがったアルバムです。単純にロックとかジャズとかジャンルを問われると困るのですが、ハルキはパドルボッツの音楽を“プログレッシブ・ソウル・ポップ”と呼んでいます。ロック、ポップ、R&B、フュージョン、ファンク、ジャズ……といったあらゆるジャンルの良さを盛り込んだ大人が聴いて楽しめるポップだと思います。
ふだんジャンルを問わずいろんな音楽を聴かれる方やフュージョン系が好きな方には楽しんでもらえるサウンドだと思いますが、日本の演歌や歌謡曲、フォークみたいな音楽しか聴かない人にはちょっと複雑過ぎるかも……というのがわたしの個人的感想です。
彼らの音楽は、歌や歌の伴奏ではなく曲全体のリズムと音、ハーモニー全てを楽しむ音楽だからです。ジャズ、フュージョン、ファンクなどを好まれる方、バンドでいうと、EW&F アース・ウィンド・ファイアーとかシカゴ、モータウンサウドなどが好きな方にはお楽しみいただけるかもしれません。
全部、わたしのお気に入りですがアルバムの中から特に好きなのを紹介します。
1曲目Out of the Blue は2:55 秒あたりからのトランペットソロがとってもいい感じですが、ライブのときにはその時々、誰がどの楽器でどんなソロをするのかわからないのが彼らのライブの楽しいところです。
2曲目What Am I to You イントロがいい。ベースラインとリズムギターが生きていて全体の躍動感がたまらない。
5曲目 I 'm Gone 個性的な曲でわたしの推し曲。わざと外し気味のトロンボーンやサックスの奏法といいそれぞれのインプロビゼーション(即興)が独特です。リズムギターとベースの掛け合い、音色の選び方などディテールへの拘りも気に入っています。コルテズのヴォーカルとソウルポップなサウンドがみごとに溶け合ってます。
8曲目 Fantasy コルテズの作品で彼がソロでしっとりと歌い上げています。彼のおばあちゃんが癌とわかったときに捧げる気持ちで作った曲なのでちょっと悲しい歌ですが、おばあちゃんへの思いが詰まっています。
9曲目 Hash このアルバムの中ではいちばんポップな曲だからか、ライブのときオーディエンスがいっしょに歌ってノリノリになる曲です。
12曲目'Til Next Time インストです。ジャム演奏ができる彼らだからこそ一発完成したような曲で、録音していたときにわたしも聴いていました。
もし気に入った曲があれば、あなたのプレイリストに入れてやって下さい。せっかくの作品、ひとりでも多くの人の耳に届いて楽しんでくれる人が増えればうれしい、ただそれだけです。
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