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【読書】 座右の書 『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」


稀代の読書家が、自らの座右の書をやさしく、深く解説!『貞観政要』は中国史上もっとも国内が治まった「貞観」(627~649年) の時代に、ときの皇帝・太宗と臣下たちが行った政治の要諦(政要)がまとめられた書物。北条政子、徳川家康、明治天皇も愛読しており、「時代を超えた普遍のリーダーシップ」が凝縮されている。

座右の書 『貞観政要』 2019年12月10日初版

はじめに

  1. 時代を超えた「帝王学の教科書」 ----- 『貞観政要』

  2. 名君と呼ばれる人の「2つの絶対条件」

  3. 僕が座右の銘にしている「三鏡」の考え方

  4. 歴史上の為政者たちが愛読した「リーダー論の原点」

「世界最高のリーダー論」はどうして生まれたか

ものごとの「背景」を押さえる

  1. 時代背景① 「中国」の成り立ちを知ると、古典がわかりやすくなる

    1. 中国の古典を自らの血肉にするコツ

    2. 「気候の変化」と「人の移動」が歴史を動かす

    3. 中国の歴史は「遊牧民と農耕民の対立の歴史」である

  2. 時代背景② 認められるリーダーには「正統性」が必要

    1. 王朝が滅びるのは、「天(神様)が怒ったから」

    2. 易姓革命 --- 君主交代の2つの形式

  3. 時代背景③ 組織を安定させる「ロジック」とは

    1. 皇帝は「仏」であり、完了や軍人は「菩薩」である

    2. 国家と仏教、紆余曲折の交わり

    3. 諸子百家 --- 合理的な法家、建前の儒家、インテリの道家

  4. 時代背景④ 中国の正史には、必ずしも事実が描かれるわけではない

    1. 正史では、前王朝の最後の皇帝は悪者として描かれる

    2. 「紙」と「漢字」が「中国の歴史」を残した

    3. たとえばあの諸葛孔明は本当に偉人だったのか?

  5. 時代背景⑤ 名を残したいという「真っ当な欲望」が名君を生んだ

    1. 兄弟を殺し、父を幽閉して帝位についた李世民

    2. 名誉挽回のためには「善政を敷くしかない」

  6. 時代背景⑥ この「3人の補佐役」を抜きに明君は語れない

    1. 覇業と政権を支えた名コンビ --- 「房玄齢」と「杜如晦」

    2. 上司の耳に痛いことを言い続ける --- 「魏徴」

  7. 『貞観政要』に凝縮された「ビジネスリーダー」5つの要諦

    1. 組織はリーダーの器以上のことは何一つできない。

    2. リーダーは、自分にとって都合の悪いことをいってくれる部下をそばに置くべきである。

    3. 臣下(部下)は、茶坊主になってはならない。上司におもねってはならない。

    4. 君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す。

    5. リーダーは常に勉強し続けなければならない。

1. リーダーは「器」を大きくしようとせずに、中身を捨てなさい

「権限の感覚」と「秩序の感覚」

  1. リーダーは、部下に支えられる "寄生階級" である

    1. 「腹に落ちる言葉」にはロジックと比喩がセットされている

    2. 「自分の足の肉を割いて、食べる人」の愚

    3. 「奪いすぎると、後が続かない」 --- 中国2000年の真理

  2. 「何もしないリーダー」を理想と考えよ

    1. いいリーダーに共通する10の思慮と、9の徳行 --- 十思九徳

    2. 組織のパフォーマンスは「人的配置」で決まる

  3. この「秩序の感覚」を持っていますか?

    1. 「むやみに行使しない」のが「強い権力」

    2. どんな組織も「上に立つ人の器以上のことはできない」

    3. いっそ「上司の器」は「空っぽ」にする

  4. 上司は「人間として偉い」わけではない。部下と「機能が違う」だけ

    1. 君主をさとした漁師の「まっとうな言い分」

    2. この「権限の感覚」は絶対に忘れてはいけない

  5. 「自分がしてもらいたくないこと」は相手にしない

    1. 「リーダーが望むことの多くは、実は部下が望まないことである」

    2. 相手が「してほしいこと」より「嫌がること」を想像せよ

  6. 「人がついてくる」と「人を従わせる」の大きな違い

    1. 水は四角い器にも、丸い器にも入れられるが・・・

  7. 本当に大事なことだけを覚え、本当に大事なことだけを話す

    1. 人間は見たいものしか見ない。だから、心の平静を保てる

    2. 理解すべきは、自分の職務(機能)に関係があるものの「範囲」

2. 「部下の小言を聞き続ける」という能力

「諫言」の重要性を知る

  1. 明君の条件 --- 「複数の人の意見」を聞いているか

    1. 物事は、見る角度によって善にも悪にもなる

    2. 僕が "暗君" にならずに済んだ理由

    3. リーダーは「話を聞く相手」を選んではいけない

  2. 指導する側にも、される側にも必要な「覚悟」

    1. 良工なくして、宝石は輝かない

    2. 人には2つの類型がある --- 相手がどちらかを見極めよ

  3. 上司を諫める部下がいなければ、組織は滅びる

    1. 我慢をするという「上司の能力」について

    2. 「組織を治める」と「病気を治す」の共通点

  4. リーダーは、この「3つの鏡」を持ちなさい

    1. 銅の鏡、歴史の鏡、人の鏡

      1. 銅の鏡:部下が自然についてくる「いい表情」をしているか

      2. 歴史の鏡:過去に照らして、将来に備える

      3. 人の鏡:直言してくれる「他人」が大事

    2. 部下を自分の「監査役」にする効用

  5. 「不機嫌な表情を見せてはいけない」現実的な理由

    1. 「不機嫌そうな人」に情報は入ってこない

    2. まず、たっぷり食べて、たっぷり寝る

  6. 上司の逆鱗をうまく避けよ。しかし恐れてはいけない

    1. 逆鱗に触れないように説得する

    2. 「手厳しい言葉」の内容を吟味する

  7. 「いい判断」をするために大切な3つのこと

    1. 「過去の失敗に学ぶ」「善人を登用する」「戯言に耳を貸さない」

    2. 情報は隠さず、常にオープンにする

3. 「いい決断」ができる人は、頭の中に「時間軸」がある

  1. 自分の身を修められない人は、組織を治められない

    1. わかりやすく伝えるために「故事を使う」

    2. 「相手の納得感」を引き出す方法

  2. あらゆる「大事」は、「小事」から起こる

    1. 小事は大事。だからこそ「徹底的に任せる」

    2. 「なぜそうするか = 道理」を説くことで生まれる信頼感

  3. 悪いことは "ただちに" やめる、善いことは "ただちに" 行動する

    1. 「善を善とし、悪を悪とする」だけで行動しなければ、組織は滅びる

    2. 言いにくい指摘は「3段構え」で伝える

  4. 「一度、口に出した言葉」は取り消すことができない

    1. 上に立つ人の言葉は「思っているよりはるかに重い」

    2. 「書籍の小さなミスを訂正する」ことの意外な影響

  5. 「深く、広く」考え、「早く、正しく」決断する法

    1. 人間は社会の洞察に必要な「礼」と「楽」

  6. 正しく考えられる人は、頭の中に「時間軸」を持っている

    1. 目先の小さな利益に目がくらむと、大きな利益を失う

    2. リーダーの「時間軸を正しく設定する」重要な役割

  7. 人格は濁っていてはいけない。しかし、輝くほど済んでいてもいけない

    1. 「人間には二面性がある」ということを決して忘れない

    2. "清潔すぎる人" は他人を息苦しくする

4. 「思いつきの指示」は部下に必ず見抜かれる

「信」と「誠」がある人が人を動かす

  1. 「思考」と「感情」は、思っている以上に密接

    1. 「過剰な評価」をしてしまう落とし穴

    2. 「ぐっすり寝る」「しっかり寝かせる」

    3. 感情のコントロールが「難局を乗り越える」コツ

  2. 「どっしりと構えて待つ」という仕事がある

    1. 「手出し」「口出し」をしないほうがいい場合

    2. 「熟考して任せて」いないから心配になる

  3. 「読書」「筆法」「人との交流」--- 人物を大きくする3要素

    1. 人の成長に欠かせない3つのポイント

  4. 「疾風、勁草を知る」 --- なびく人、なびかない人

    1. 困難に遭ってはじめて、その人の真価がわかる

    2. 人を成長させる「適当な負荷」を見極める

    3. なぜ「人を知る」ことがそこまで重要か

  5. 「信のない言葉」では人を動かせない

    1. 部下には「上司の本気度」を見抜く力がある

    2. 「信念や誠実さがあるか、ないか」は不思議と伝わる

  6. 信用すれば信じてもらえ、疑えば誰からも信用されない

    1. 部下を信頼するほうが「結局、得をする」

    2. 「実績を出したら信頼する」ではなく、「信頼するから実績が出る」

5. 伝家の宝刀は「抜かない」ほうが怖い

「チームの仕事」の重要なルール

  1. たんたんと、「言うべきこと」を言うコツ

    1. 「間違った判断」の根元には「感情」がある

    2. 「仕事は人生のすべてではない」と考える

  2. 一人で行う判断には「質的な限界」がある

    1. 優秀なリーダーでも「管理できるのは10人が限度」

    2. 「何もしないで部下を見守る」勇気

  3. 「いい部下が見つからない」 --- それは言い訳です

    1. いい人材が見つからないのは、見つけようとしていないから

    2. 「今いる部下」を戦力化する

  4. 「少数」にするから、「精鋭」が生まれる

    1. 少数精鋭とは「優秀な人を少数集めること」ではない

    2. 精鋭を生むもうひとつの方法 --- 時間と空間を制限

  5. 組織内のルールはシンプルなほどよい

    1. 国家の法令を簡単にすると、不正が起こりにくい

6. 有終の美は「自分」にかかっている

ビジネスを「継続」していくために

  1. 「創業」と「守成」は、どちらが難しいか

    1. 創業は100m走、守成はフルマラソン

    2. 部下をまとめるコツを「創業と守成の問答」に見る

  2. 君主は「舟」であり、人民は「水」である

    1. 水には「舟を浮かべる力」と「転覆させる力」の両方がある

    2. 「ついていきたい」と思われるリーダーになる方法

  3. 有能な「かつての敵」を、側近として登用できますか?

    1. 自分を殺そうとした相手を側近に抜擢した理由

    2. 部下を「好き嫌い」でなく、「能力の有無」で判断する

  4. 2代目で国家が乱れたら、それは「臣下の責任」

    1. 2代目、3代目が愚かになるのは「部下が愚かだから」

  5. あらゆる組織の急務は、後継者を選ぶこと

    1. 歴史は語る「いちばん難しいのは後継者選び」

    2. 名選手は名監督にあらず

  6. いいリーダーは、自分の心を「秤」にする

    1. 上司と部下の関係は「機能論」で考える

    2. 忠義を尽くすべき相手は、上司・社長ではなく「組織」

  7. 「優秀の美」を飾れる人、飾れない人の決定的な違い

    1. 初心を忘れなければ、組織が乱れることはない

    2. 組織の行く末はリーダーにかかっている --- あなたに "魏徴" はいますか

おわりに

  1. 本書を「座右の書」に

    1. 強く思う力

    2. 共感力

    3. 統率力

    4. 正しく決断する力

著者:出口治明

1948年、三重県生まれ。立命館アジア大学 (APU) 学長、ライフネット生命創業者。1972年、京都大学法学部を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の財務企画専門委員会初代委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社を設立、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命保険株式会社に社名を経脳。2012年3月15日に東証マザーズに上場。2018年1月より現職。著書に『本の「使い方」』のほか、『生命保険入門 新版』、『全世界史』、『哲学と宗教全史』などがある。


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