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#stayhome のZINEあるき

気づくとクレジットカード情報を入力していて、待て待てとウィンドウを閉じたりすることを繰り返している。

そうやって気をつけていても、立て続けにインターネットでZINEを注文してしまう週があった。買ったのは500円と600円のものだし、これなら許容範囲だろうと言い聞かせながらカゴに入れた。

最近読んだZINEは5冊。うち2冊は通販で購入、3冊はいただいたものやネットプリントで刷ったもの。なんかいいよね、ZINEはいろんな方法でいろんな人の手に渡る。

家庭料理とわたし 

早速読んだのは、いこさん(面識はない)の「家庭料理とわたし」。
この方が作るZINEの一方的なファンで、これで買うのは2冊目になる。かなり前から個人でもユニットでもZINEの作成をしているようで、どの作品も写真を見ているだけでも面白そう。しかもデザインも良いので、手元に取っておきたくなる。今回買ったZINEは、いこさんの料理についてのエッセイ、レシピが紹介されている。ひと昔前の出版物を思い出すようなフォントやレイアウト、横長の装丁、帯!に無性に惹かれる。

きっと子どもの頃にある料理の原風景が、その後の食との関係性にかなり影響してくると思う。いこさんは、子どもの頃から料理をしていたようで、中学の頃には学校の帰る道でスーパーに寄る日々だったらしい。母や祖母、血の繋がりのない近所のおばあちゃんの料理の知恵みたいなものが、自身の料理の基礎にある。それが家庭の料理なのだなあ。

等身大の背景が見えるレシピに助けられる。
クラシルとかその場しのぎの料理ではなくて、その人の背景がわかるような料理を作りたい。


ROAD TO LADY 

こちらもいこさんの作品。先日、いこさんがインスタグラムでネットプリントで公開していると知らせており、すぐさまプリントしてきた(5/6まで急げ!コンビニでできる)。A3白黒1枚の両面印刷を自分で折って冊子にするとこう↑なる。

「わかる / わからない」について図解が掲載され、裏面にそれと「(と、女)」について、いこさんの考えることが記されている。
ネットプリントとは言え内容が私にとってはヘビーだった。見た目のわかりやすさとは裏腹に、かなり考えさせられるテーマ。2年前に作ったというこのZINEを今、ネットプリントで公開した意図は、確かになんとなくわかるような気がした。

ここでの「わかる」は「世界に対して、自分でラベルを貼り直す」作業のこと。
「わからない」は「『相対』に身を置いている状態」のこと。 

考え、動き、そして「わかる」。何かを知って、へえそうなんだ〜の「わかる」ではない。ここでいう「わかる」には体力が必要で、「わからない」ままにする方が楽だ。でも、「『わかる』ことには、この上ないたのしさ、気持ち良さがある」、その「過程にこそ、深い愛や美、絶対の幸福があるように思う」と、最後に書かれていて、これが深く理解できるように年をとっていきたいと強く思った。

”わたしのレディ化計画”だ。


にいぜろにいぜろにっき①がつ

「ガケ書房の頃」を読んで以来、いつかお会いしたいと言うか、お店に行きたいなと思っているホホホ座を運営する山下さんによって書かれた日記。

毎月1冊ずつ発行するようで、これは最初の1冊目の①がつ分だ。ワンコインと言う価格設定がいいし、このリソグラフの印刷感が写真で見るだけでもよくて、ウェブショップでポチり。印刷はhand saw press。いつかここでZINEを刷りたいのだけど、よく仕組みがわからず実現できていない。
京都と東京にも工房はあるようで、なんと京都の工房はホホホ座浄土寺店の上にあるらしい。下で作って、上で刷り、そして下で売る…素晴らしき循環。

なんてことない文章(というのは文章が上手なのだと思う。すらすらと読める)なのだが、垣間見える山下さんの人間臭さみたいなのが堪らない。


居間

居間」を運営する実月さんの「居間」2冊。
これも印刷はhand saw press。手触りがあって、ヨレやズレに愛着が湧く。

実はこの「居間」という展示スペースで、6月の中頃に友人たちと展示をする予定だった。でもそれが叶わず、4月でここは「居間」ではない場所になってしまう。いちファンとして、あの場所がこんなにも早くそこにはなくなってしまうことが悲しかった。

夜に二度、「居間」に訪れたことがある。あのポツンと柔らかい光を放つ空間を、王子神谷駅からしばらく歩いてから見たとき、体の真ん中がじわあっとあったかくなる。寒い日に暖炉が灯るお家のような、そんな感じに似ている。
そこでみた二つの展示はすべてが本当に良かったし、展示に影響を受けてその後の生活にもそこで得たことを生かそうとしていたほどだった。出展者の方とちゃんとお話ができたことも私には稀な経験で、とっても嬉しかった。

実月さんからZINEの展示をやりませんか?と声をかけていただいた時は、舞い上がるほど嬉しくて、同時に私なんかが…と不安にもなった。実際に会った実月さんは話しやすく気さくで、時折熱くものを話す姿がとってもかっこいい人だなあと思った。今回は残念ながら予定通りには叶わなかったけれど、いつか必ずこの方と一緒に何かやれたらなと思う。

このZINEには、私が知らない「居間」のことがたくさん書かれていた。もっと前にここを知れたら、この言葉たちの一部にでもなれたのかもしれないなと思うと、少しだけ悔しかった。傲慢だ。実月さんの文章は、その情景をふわっと淡いようで鮮明に美しく表現していて、さらりと心地よく読めてしまう。

なんだか励まされた。自分の状況に納得がいかない毎日を過ごしているけど、なんとかなる。なんとかするのは自分なのだから。

ネットプリントに向かう時の気持ちは、なんだか不思議だ。
ゴミ捨てのついでに、寝起きの顔と格好でコンビニの右の端っこでうきうきを隠しながら印刷をする。誰も私がここで素晴らしき作品との出会いを果たしているなんて知る由もない。しかもそれは数十円で手に入る。が、期限付きという儚さもある。

PDF公開じゃ「わからない」ものが、そこにはたくさん詰まっている。

※各タイトルのリンクから購入ページや作者のアカウントに飛べますので、気になったら見てみて〜!


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