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ラブカは静かに弓を持つ 安壇美緒 集英社 

オーディブルにて。
音楽が、楽器演奏がカギになって、人生が変わった人の物語。世の中、うまくいくことばかりじゃないし、時には何十年も恐怖を忘れられないようなことだってあるかもしれない。そのままやり過ごして生きていくことだって、誰にも否定されるいわれはない。
それでも、音楽に触れている時に心が開放されることに気付き、のめり込んでいく主人公の心境の変化がとても良かった。それが職業になるわけではない。
でも、それだけが人生のゴールではない。
いろいろ登場する著作権の理論も面白かったけれど、それ以上に、人間として何を優先するべきか、悩み、成長していく若者の物語だと思う。
ラブカという深海魚に込められた伏線が、いろいろなものを暗示していて、やや出来過ぎのきらいがあるストーリー展開、と思える箇所を差し引いても、充分に面白かった。

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