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あなたの資料が「ベタ書き以上デザイン未満」になるために。ノンデザイナーが抑えておくべき2つのスキルと3つの手順

果たして本業のデザイナーさんに後ろから刺されないかどうか、ビクビクしながらこの文章を書いています。はじめまして、やぎこと申します。

ここ最近、諸般の業務や趣味まわり、はたまた友人から頼まれたりで、いろんな物事をドキュメンテーションしたりスライド化したり、あるいはリファクタリングしたりすることが増えてきました。

そんな中で必要に駆られて勉強するうち、「ノンデザイナーに必要なデザインスキル」がだんだん見えてきたので、共有しようと思いここに書き付けている次第です。よろしければご一読ください。

そして有識者の皆さまにおかれましては、あんまりいじめないでいただけますと幸いです……。

ノンデザイナーに必要なスキルとは?

そもそも、ノンデザイナーにとって必要な「デザイン」ってなんでしょうか?

だいたいの方にとって、「デザイン」という4文字は非常に高尚かつ手の付けられないようなものに思えると思います。例えば「デザイナー」なんて聞くと、なんとなく21世紀の巨匠みたいな響きがありますよね。

もちろん自分もそう思っていました。ですが、本職としてデザインを志さない方にとっては、日々に役立つ範囲で必要なスキルだけ得ていけばいいことに気付いたんです。

ということで、答え合わせです。
私たちが身に着けるべきスキルは、「見てて目と心が疲れないようにすること」「情報や意図がきちんと伝わるものを作ること」の2つ。

スポーツカーみたいにカッコいいデザインを作ることも、あるいはAppleみたいに洗練されたデザインを作ることも必要ありません。私たちはただ2つ、この原則さえ守ってスキルを身に着ければいいのです。

「いい感じ」の資料を作るために

おそらくこのnoteを見ている大半の方にとって、一番よく出会うデザインの場は「資料作り」ではないでしょうか。会議のレジュメを作る、PowerPointでプレゼンを作る、広告用のチラシを作るなどなど。

ということで、ここでは表題の通り、「資料作り」に注目して以下解説していきたいと思います。

ざっくり資料作りに必要な工程を分けると、

「コンテンツ作り」

「配置」

「色分け」

になります。異論は認めません(適当)。
それでは以下、この3つの工程について、概論的に述べていきます。


コンテンツ作り

「コンテンツ作り」は単に内容の話。その資料で伝えたいこと、伝えなくてはいけないことを形にしていく工程です。

しかし、内容の話だからといって先ほどの原則を無視していいというわけではありません。例えば以下の文章、どちらが分かりやすいでしょうか?


丹青は画架に向って塗抹せんでも五彩の絢爛は自ずから心眼に映る。ただおのが住む世を、かく観じ得て、霊台方寸のカメラに澆季溷濁の俗界を清くうららかに収め得うれば足たる。

彩りはキャンバスへ写し取らなくても、心におのずと表れてくるもの。
どんなに汚い世の中であっても、
・自分が感じたように、
・自分の魂に清く正しく
この2つを守って、その風景を心に留めておけば良いのだ。

※夏目漱石「草枕」より一部引用

もうお分かりですよね。
わかりやすい言葉で、時には箇条書きや改行も使いながら内容を作っていく。こうすることで相手にも伝わりやすくなりますし、同時に論点をずらさずに資料をつくることにもつながります。


配置

引き続いておこなっていくのは、「配置」です。先ほど作ったコンテンツを適切な場所へ配置していきます。これをやるだけで「見やすさ」は圧倒的向上しますので、ちょっと力を振り絞ってがんばってみましょう。

ここで一例を。

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たとえばこんなチラシがあったとして。なんか見にくくないですか?

この「見にくい」の原因はざっくり言うと3つ。「各パーツの周囲の余白が足りない」「タテ・ヨコが揃っていない」「ジャンプ率が低い」です。

■「各パーツの周囲の余白が足りない」
→適切な行間を取ること、文章のカタマリや画像の周囲には適切な余白を取ること(最初のうちは気持ち多めに取るといい)の2つを意識すると良いです。また、全体的にも上下に余白をとるとベスト。

■「タテ・ヨコが揃っていない」
→各カタマリをそれぞれ四角と捉えて、ちゃんと上下左右端・中央が揃うようにしましょう。面倒くさがらず、文章は各段落ごとにテキストボックス化して、ドラッグアンドドロップで配置していくといいです。

■「ジャンプ率が低い」
→タイトルや目次など、重要なところや目を引きたいところなどは文字を大きくしたり、太字にしたり、「●」や「■」で目立たせたりしてみましょう。
周りとの目立ち度合いの差(コントラスト)を「ジャンプ率」と言うことが多いのですが、このジャンプ率を上げることを意識してみてください。

ざっとこの3点を守るだけで、さきほどの見にくかったチラシが、

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こうなります。きれいになりましたね(自画自賛)。

ちなみにこの辺のことは、もう少し詳細にこちらのサイトで見ることもできます。わかりやすいのでぜひ。


色分け

さて、ここまで来たらもうあとは色を付けていくだけです。ラストスパートです、がんばりましょう。僕も頑張って書きます。

今回使う色は4色しかありません。ちなみに内2つは白と黒です。あと2つは皆さんが選んでいく色になります。

ちなみに「なぜ4色か?」という話なんですが、そもそも単なる書類を作るときに必要な色の数って、実はそこまで多くないんですね。大雑把に分けると「背景色」「文字色」「ベースカラー」「アクセントカラー」です(これは専門用語ではなく、単に筆者がそう呼んでいるだけなのに注意)。

「背景色」「文字色」はお分かりの通り、資料の背景として使う色・文字の色のことです。先ほどのチラシで言えば、背景色は白で文字色は黒ですね。

で、「ベースカラー」はその資料で最も多く用いられる「彩度のある色」です。「アクセントカラー」はその資料で強調する場所だけに使いたい「彩度のある色」。ということで、以上の計4色になるわけですね。

ここで「彩度」という言葉が出て来ましたが、単純に「原色にどれだけ近いかを表す指標」と思っていただければ大丈夫です。白黒は一番原色から遠い、まったく彩りのない色なので彩度はゼロ。逆に絵の具そのままの色は彩度MAX……みたいなイメージです。

もちろん、5色・6色……と色を増やしていくことは可能。しかし、それは必然的に「彩度のある色」をたくさん使うということ。するとどうなるかというと、使われた色どうしの「相性」や「比率」をちゃんと考えなければいけなくなります。すなわち、小難しい理論の話になってしまうんです……。

ということで、大人しく単純に4色を使うことを考えましょう。もしそれでも5色・6色と使いたい場合は、「シュブルールの調和論」とか「ムーンスペンサーの色彩理論」とか「マンセルの面積比」とかでググってみると幸せになれるかもしれません。深みにハマっていく的な意味で。

それでは色選びですが、やはり先ほど言ったように、色どうしの「相性」を考えるのはとても大変。なのでここでは、偉大なる先人たちが作った色選びのツールをご紹介します。

Pigment by ShapeFactory | Simple Color Palette Generator

こちら。使用方法はこちらのサイトが詳しいです。

このツールを使うだけで、かなり簡単に「いい感じのベースカラー・アクセントカラー」が選べます。もし会社で使うべき色(ロゴの色など)が決まっている場合でも、似た色を探してきて片方だけ後から変更すればOK。

色さえ決まってしまえば、あとは簡単。例えば見出しだったり、タイトルだったり、目立たせたいところにべたべたと色を置いていきましょう。ちなみに、文字色は真っ黒ではなく濃い目のグレーにしておくと、ちょっとオシャレな感じになりますよ。

さて、ここまで踏まえた結果、先ほどのチラシはこんな感じに生まれ変わります。

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どうでしょうか?
もちろん細かいところを言ってしまえば直したい場所もたくさんあるのですが、これだけでも「ベタ書き以上デザイン未満」になった気がしませんか?

おわりに

以上、ノンデザイナーによる簡単な資料の作成術でした。そう、これでも「簡単」の部類なんです。知り合いのデザイナーさんに話を聞くと、やれ●●理論××のルール重力色の合成だとワケ分からないことを言い出します。正直言ってあの領域には自分は一生たどり着けない気がします……。

また、他にも伝えたいことはたくさんありますが(フォントの選び方、色彩理論の話、目線誘導etc…)、今回はここまで。また気が向いたらnote書いてみます。

さて、最後におさらいです。私たちが目指すべきスキルは「見てて目と心が疲れないようにする」「情報や意図がきちんと伝わるものを作る」ことで、資料作成は「コンテンツ作り」「配置」「色分け」の3段階で行います。ここさえきちんと掴んでおけば、いわゆる「ダメ資料」を作ることはない……はず。

いい資料を作って、デキる人だと思われてみましょう٩( 'ω' )و

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