その6 トライアドとアルペジオ Jazz Sax:アドリブ練習の目的別構造化
しばらくショーター私論にかまけていたので、久しぶりの更新です。
今回は、構造化の図の中の⑦、いわゆる基礎練習の中から「トライアド」と「アルペジオ」です。前回のインターバルの続きで、ジャズの演奏や分析にとって結構な肝であると信じております。
6.1 トライアド
トライアドとは、3つの音からなる和音、要は「ドミソ」の三和音のことですかね。まあ、西洋音楽の和音の基本みたいなもんで、四の五の理屈言わずに覚えておけ、みたいな感じですな。三和音だけに。
おなじ三和音でも、下の音と真ん中の音、真ん中の音と上の音のインターバルの組み合わせで、下記の4種類があるそうだ。まあ、とりあえずは左の二つが12Keyで自動的に吹ける(頭に思い浮んで指が動く)のを目指すべきだろう。
トライアドの重要性については、この両巨匠がたっぷり語ってくれているのでご参照。無駄に長くて、最後には「とにかく覚えろ!」みたいになっちゃってるけどw ちなみに、メジャートライアド(ドミソ)の話してます。
ここでは「とにかく構成音を覚えよう!」ということで、その覚え方をレクチャーwしているが、覚えただけでは吹けないので、例えばこんな練習をしてみるとよいかも。まずはテンポゆっくり目(BPM=80くらい?)で、メトロノーム使って、羊羹タンギングまたはスラーで。
上から吹いてみる(下降)のもやっておくとよいかも。例えばこんなの。
この練習の目的は、とにかくトライアドを半自動で吹けるようになる、ということに尽きるような気がする。たとえば「C」といわれたら「ドミソ!」、「F#」といわれたら「ファ#ラ#ド#!」みたいに自動的に思い浮かべて、あるいは思い浮かべなくても指が勝手に動くようにする。
覚えるときの知恵としては、例えばF#のメジャートライアドを覚えるときは、インターバルでファ#の長三度上はラ#、そのさらに短三度上はド#、みたいな覚え方もあるし、上の音については、基音であるファ#の五度上という覚え方もある。機械的に覚えるより、インターバルを意識しながら覚えていくと、その後いいことがあるんじゃないかとは思います。とはいえ、なかなかそういう具合にはいかないだろうが。
応用編としてこんなものも。構成音の順番を入れ替えて練習。
上記したものだけではなく、練習方法としてはいろんな応用がありますな。例えば、同じようなことをマイナートライアドでやってみるとか、半音ずつ上がる代わりに全音ずつ上がってみるとか、三度上に上がってみるとか、あるいは下がってみるとか。いずれにせよ、目的としてはトライアドの構成音、響き、運指を頭と指に覚えさせる、ということなので、各々工夫してやればよいか。
6.2 アルペジオ
Wikipediaによれば、「アルペジオ (伊: Arpeggio) とは、和音を構成する音を一音ずつ低いものから(または、高いものから)順番に弾いていくこと」だそうで、前項に書いたトライアドの練習もすでに三和音を用いたアルペジオといえる。
ジャズの場合はトライアドの上にさらにセブンスやらナインスやらとテンションノートを足すことが多く、また八分音符で練習しやすいという意味では、やっぱり四声の和音の練習をアルペジオと呼ぶのが一般的なような気がしますね。まあ、四声に限るわけではないが。
典型的なのはこんなのかな。当然下降(初めの二拍ならBb-G-E-C)もありますね。
前項で、トライアドはインターバルの組み合わせ、と書いたが、四声の和音も、インターバルの組み合わせと考えて理解しておくと、後々良いことがあるかも。こんな感じかな。
私の場合、下降のアルペジオの一音目と二音目で混乱することが多いので、この覚え方は便利だと思っている。当然、基音からの距離で覚えるというのが普通だけど(CMaj7なら C:基音、E:三度、G:完全五度、B:長7度、とか)。
トライアドで書いた通り、この練習もいろいろ応用がある。半音上がりの代わりに全音上がり、3度上がりとか、上行と下降の組み合わせとか、順番入れ替えとかやってくと百万通りくらいありそうだ。いずれにせよ、目的は各コードの構成音、響き、運指を頭と指に覚えさせて、できるだけ半自動的にできるようになることなので、運指の機械的な練習にせず、できるだけ頭を使って(譜面をみないで)やっておくとよいかと思う。CとかFとかGのような分かりやすいキーだけではなく、BとかC#とかF#とかサックスにとっての苦しいコードを集中的に練習するというのもありかと。
6.3 私の場合
上の方で生意気なことを散々書いているが、私もコードを言われてすぐアルペジオが吹けるかというと非常に心もとない。もう少し頭使って練習しないとなあ。とはいえ、もともと横着なので、いろいろ省略して、最近はウォームアップの時ににこんなアルペジオの練習をしている。テンポはBPM=120か140くらいかな。当然メトロノームを裏で鳴らして、スラーまたは全音羊羹タンギング(イーブン)。半音で上がって一オクターブやります。
これは、こんなコード(?)をイメージしてます。Maj 7thコードにルートの全音上のトライアドを乗っけた、みたいなやつですな。
なにやらいろいろ混ぜこぜにしちゃって、効果があるのかどうかよくわからないのだが、まあ何もやらないよりはマシかとw。私的なポイントは、とにかく#11を入れておくこと。当然Maj 7の代わりに普通の7thにしてもよいし、他にもいろいろ応用はありそう。
とりあえず、今回はここまで。次回は、スケール、じゃなくてパターンかな(スケール嫌い)。
その7はこちらから。
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