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 霊が撮れる例のカメラ(4)


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「何で判るのですか?」

「だって、恨みを持っていたら、写真撮られる時にピース✌️の
ポーズとらんだろうし、女性は化粧をしてるんだぞ。
普通、せんだろう。そんな事。
きっと、霊達も嬉しかったんだろうな。久々の写真を撮られるので。これからは、君も一人暮らしでは無くて賑やかになるな〜」

と、至った能天気な発言だ。
僕も、一人暮らしでは無く誰かが居てくれると思うと
孤独感は消えるが、側にいるのは幽霊である。
複雑な心境だ。

「もっと修行を積むと、心霊がはっきりと見える写真を撮る事ができるぞ。これが出来たら、君は一躍有名プロのカメラマンだなぁ。」

と、僕に理解不明なことをあっさりと明るく云う店主。

「あの〜、さっきから気になるのですが、修行って何ですか?
どの様にしたら修行になるのですか?」
と、訝しい想いで聞いてみた。

「修行ね。 修行の仕方は色々あるよ。
一番簡単なのは、曰く付きの心霊写真スポットで写真を撮る事だな。」
と、さらりと云う
「いつ撮るのですか?」
と、不安げに聞く僕。
「いつ撮るって決まっているだろう!
幽霊のいる時間帯だよ。普通は丑三つ時でしょ。」

と、平然と云う店主。

「丑三つ時って、夜中の2:00〜3:00頃ですか?」
と、僕は慄いている。

「そうだよ。正確に云うと2:30頃だな」

「そんなの夜中に行くのは、無理ですよ。そんな事出来ないし、怖いじゃ無いですか!
で、何処に行けば良いのですか?」
と、僕は慄きの余り支離滅裂の反応をしてしまう。

「おっ、やる気になったかい。その様な怖い所で修行を積む事が最も、成長できるんだっ、ぞ!
場所は、そうだな〜・・・・」
と、店主は顎髭を触りながら少し考えて、

「う〜ん、ここの⭕️⭕️公園が良いかな。此処からは割と近いし。
そう言えば、此処で以前、殺人事件があったんだ。
女性が殺されて、犯人は未だ捕まっていないな。
此処なら、多くの幽霊に会えそうだな。」

と、発見したかの様に⭕️⭕️公園を指定してきた。

「え〜・・いつ殺人事件があったのですか?
知らなかったな・・・。此処って多くの幽霊がいるんですか?
本当に?昼間は怖く無いけどな〜。」

「殺人事件があったのは、今から2年ぐらい前の事だ。
犯人の手がかり無いし、まだ何も判っていない。
このカメラで写すと、何かの手掛かりが写るかも知れない。
と、私は期待しているんだっ、ぞ!」

「何かの手掛かりって、何ですか? 犯人の人が写るとかですか?
そんな馬鹿な事は無いでしょう。
写る訳が無い。」
と、僕はきっぱりと否定した。

「君には未だ言っていなかったが、・・・・・」
と、店主は、ここで言葉を止めた。

「何ですか?僕に言って無い事って。
言ってくださいよ。気になるでしょ!」
と、懇願する僕の言葉を無視するかの様に、

「まあ、そのうち判るよ。今云うと君が怯えるかも知れない」
と、あっさりと言う。

「ちょっと待って、チョット待って。言ってくださいよ」
しつこく懇願する僕を差し置いて、
店主は請求書を出して来た。
現像代 二枚100円
写真代 二枚300円
合計(税込み)440円   であった。

僕はお金を支払い、店主の顔を恨めしげに見た。

「そんな、瞳をして見つめないでよ。
今度心霊写真が撮れた、絶対にカメラの賞を取ること間違い無いよ。知らんけど」

と、相変わらず能天気だ。

そんな店主を横目で見ながら、僕は帰宅の途に着いた。

僕の周りには霊達がいると思うと、怖い様な寂しく無い様な変な気持ちである。
霊達とお喋りがしたい。
……いつも、独り言ばかりじゃつまらない。……
と、変な事を何故か考えていた。

https://note.com/yagami12345/n/n2b3fa14adc07

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