ホラーの様でホラーで無いほら小説(4)
引っ越ししたアパートでの初夜を迎えた。曰く付きのベッドとおねしょに強い布団とお尻にはパンパースをつけた私は、突然、松たか子の歌が聞こえてきた。♪何も恐れない 少しも寒く無いわ と
そう有名な、ありのまま の歌である。
もしかして、霊が私を勇気づけているのかと思い、
私は、元気一杯に床についた。そして、ウトウトしている時に、あの忌まわし言葉を思い出したのだ。「二、三年前にここで、女性が首を吊って死んだ」という噂を。
私はその噂を信じなかった。何故なら、死んだ年数が曖昧で有るからだ。
仮にその場所で首を吊ったとしても、私のせいでは無い。霊が出てきたら、しっかりと説明し納得させる自信が有るとその時までは思っていたのだ。
何時間寝たのであろう、ふと目が覚めてあたりを見渡すと、暗いとこから、何故か、もやとしたものが見えた。動こうとした時、物凄い力で私の両肩を押さえつけてきた。
いわゆる、金縛である。動こうとしても、動けない。その時聴こえてきた歌が、
♪坊や良い子だ 寝んねしな であった。日本昔話のうたを誰が歌っているのか、不思議であったが、「この様な情況で寝れるか! 」と突っ込む私の心の声が聞こえたみたいで
瞬間、急に眠けに落ち入り気を失ったかの様に寝てしまった。
続く