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誤字審査&もじもじ社(1分で読める小説)(555字)#毎週ショートショートnote➕追伸


空に浮かぶ雲を僕は虚ろに見ていた。
公園の芝生に寝転び、
今日の出来事を思い出し後悔していた。
今日、僕は就職の為の試験を受けた。
その会社に僕は憧れていた。
この会社は人格を改造する会社。
要するに人の欠点を変える会社なのだ。
「人のお役に立ちたい」
と、僕は常に思って生きてきた。
僕は勇んでこの会社の門を叩いたのだが、
就職試験があるとは知らなかった。
そして今日がその試験日であった。

就職難なのだろうか?
採用人数を大きく上回る人達が
この会社に来ていた。
試験は書いてある文章から、誤字を指摘する問題であった。
問題のレベルは中学生程度であるが、私には難しかった。
さっぱり解らない。
苦しみながら僕は回答したのだが、
僕には難しすぎる。
僕は、この会社には入社出来ないと諦めていた。

…あの雲の様に、空を飛びたいな〜…
と、思っているところに、会社から電話が入る。
しかも社長直々の電話である。
なんと僕は一番で合格した。

入社日、「何故僕が合格出来たのか?」
を、上司に尋ねると、
「君の試験中の態度が、我が社にマッチしていたんだ。
社長はすごく気に入って君を合格させたんだ。
ちなみに、君のテストは0点だったけどね」
と、嫌味に言われた。
誤字審査も出来ない人間が、
試験中に、もじもじしていて合格した。

その会社の名は「もじもじ社」
変な名前で僕は助かった。

追伸
その会社は、試験の点数よりも、
試験会場での姿が評価される。
特に自信無さげの人が合格対象となるらしい。
社員の人格改造も「もじもじ社」の使命なのだ。

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