待っている女(最終回)


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最近一人の美少女が公園のベンチに座って、男を誘っていると噂が流れていた。
歳の頃は、14、5歳。悲しげな瞳でいつも、ベンチに座っていると。でも、声を掛けても、連いて来る事は無く、素知らぬ顔をする生意気な女だという噂であった。


今日も少女は来ていた。
今日はいつもの公園のベンチでは無く、駅のベンチであった。
ここの方が、多くの人達に出会える。
電車から降りてくる人達は、
誰も無口で早足でせわしなく歩いている。

その中に私を見つけてくれる王子様は居ないのだろうか?
みんな私を無視するかの様に通り過ぎていく。

私の王子様ってどんな人だろうか?

この前のいかがわし男では無く、気品のある優雅な男性。
昔、お母さんが話してくれた、シンデレラに出てくる王子様。
その様な人が、私を見つけくれないかな?

だが、その様な王子様は、彼女の前には現れる事は無かった。

待っていても、良くはならない。
また、何もせずに幸運を求めるのは無責任である。

王子様に幸せにしてもらうのでは無く、私自身の手で幸せになっていくのだ。

その事に気がつくのに彼女は、五十年の歳月を要していた。


今日は、ベンチに老女の姿は無かった。


              完









整合性は無いですが、あり得る話です。
他人任せ、神任せ、自ら解決を得る為に努力せずに、
待っている時がありますね。
いつか良くなるだろう!と、あてもないのに期待している。
私もその中の一人です。

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