霊が撮れる例のカメラ(10)


10

次の日、店主に言われた通りに、警察に匿名で写真を送った。
事件は素早く解決し、その男は以前の殺人も認めた。
その事件解決の報道を聞き、僕は店主の言われる通りに
ある有名な出版社にネガ入りの写真を持って行った。

僕は有名カメラマンとなるかも知れない。
僕の将来に希望が持てる事に喜びを感じた。

僕は、あのカメラ店に行くのだが、いつも店が閉まっている
店主にお礼を言いたくて、訪れてはいるのだが不在である
ニ週間ぐらい会っていない。

今日も店が閉まっている。
「何故何だ! 前はいつでも開いていたのに。
事件が解決した報告しに来たのに。」
と、不満の独り言。しかも声が大きかった。
その声が聞こえたのか?
ある女性から声を掛けられた。
50代ぐらいの太ってはいるが背の丈は低い小柄の女性だ。

「このお店に用事があるのですか?」
と、怪訝な表情を浮かべ聞いてくる。

「此処の店の店主に用事があるのですが、最近不在で困っているんです。引っ越しされたのでしょうか?」

「引っ越し?いえいえ、此処の人は一年ほど前から居ませんが
・・・・」
と、小声で言う。

「そんな事無いですよ。僕二週間ぐらい前にこのカメラ買いました。このお店で」

と、僕は女性に真顔で言い、カメラを見せた

女性はカメラを手にして、

「なつかしいわ。このカメラ。まだあったのですね。
修さんのカメラね。『これって珍しいカメラだ』って
修さんよく言っていたわ。」

「あの〜( ^ω^ )。修さんって此処の店主さんですか?
茶髪の店主さん?」

「茶髪?そういえば、ニ年ぐらい前茶髪だったかな?
悲しい事があって、気を紛らわすのに茶髪にしていたかも知れないな〜・・・」
と、思い出すかの様に話してくる。

「二年前では無くて、最近はどうなのですか?茶髪だったんですが?」

「最近?最近って何よ!もう、修さんいないんですが。
亡くなっているのよ!」

「亡くなっているって、嘘でしょ?
この前から何回も会っているんですが?」
と、少し動揺しているのか、声が上ずる。

「じゃ、修さんでは無い人ね。でもこのお店には誰も居ないのですが、店もずっと開いてはいませんが。(°▽°)」

「でも、僕此処でカメラを買いましたし、フイルムも現像してもらいましたし、写真も、もらいましたよ。」
と、本当は貰ったのだが、見栄を張り不満そうに言ってみた。

「誰かが、店を開けていたのかな?
そんな事は無いと思うのだけど。
そうだ、修さんの写真が、携帯に保存されているよ。
見ますか?
ちょっと、こっちに来て。」
と、人通りの邪魔になると思ったのか女性は、僕を歩道の端に寄せた

「これよ、これ。二年前に撮った写真よ。
この人が、修さん。この人が娘の瞳さん。」
と、何故か明るくスマホの写真を見せてくれる。

私は、その写真を見て驚きで声を出す事が出来ない。
全身に悪寒が走り、小刻みに震えがきた。
だが、その震えは数秒で止まった。
どれくらいの時間写真を観ていたのだろうか?

「この横に写っているのは、この人の娘さんですか?」
と、やっと口が開けた。

https://note.com/yagami12345/n/n13c241420ac2

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