Photo by mio_u_m ある天才科学者の幽霊(7) 3 ボーン 2023年1月28日 06:54 「その女性は、少し変わった人で、優秀な科学者に対して資金の援助をしてくれる人なのだ。ある教授にも多額の資金を援助していた。私はその教授から、その女性の事を聞いたのだ。科学の発展の為には、自らの資金を提供し、何の見返りも求めない。素晴らしい女性なのだ!石川もその女性から、援助を受けていた。」「その人は、日本人なの?何処に住んでいるの?何故その人はお金を持っているの?その人と、会った事があるの?」またもや、矢継ぎ早な質問攻めだ。「私は、その女性とは会った事は無いが、その教授が、私と石川を推薦してくれた。その女性は、ニューヨークに住んでいるらしいが、日本人の美人の女性と聞いている。お金を得たのは、アメリカ旅行をしている時に、ラスベガスで大当たりしたらしい。本当だったら、羨ましい話だ」「そう、博打で得た金ね!だから、気前がいいのね。納得だわ。で、その女の名前は?それと、その教授の名前は、何て言うの?」「その女性の名前、大島玲子と言っていたな。でも、本名ではないらしい。何故偽名なのかは知らない。教授の名前は、小山内カオル先生だ。私の尊敬する、数少ない人だ弟子に殺されてしまったが。本当に悲劇で残念な事だ。」「裕美、何で、壁をジーと見てるの?何か、ぶつぶつ言っているし。寝ぼけてんの!眠たかったら早く寝なさい。もう4時前よ。」と、壇蜜がビールを片手にパジャマ姿で風呂から出てくるなり言ってきた。彼女は、霊感が無い為、この光景は可笑しく思えるのであろう。「わかったわ。寝るね。この続きはまた今度ね。」と、私に合図を送るかの様に言葉を出して言った。「続きって何よ? やっぱり寝ぼけてるのね。」と、少し嘲笑気味に言っている。この二人、姉妹と言うが、まるで顔は似てない。性格も違う様に見える。裕美と壇蜜はそれぞれのベッドに向かって行った。テーブルの上に名刺が置いてあるのを発見。それには、「リサーチ イイジマ 代表 飯島直美」と書いある。おそらく、壇蜜の本名は、飯島直美であろう。私は霊界から下界に来た目的の一つに、大橋の事を知る事であったが、許可書には、大橋の事は書かずにいた。許可されていない場所に行くと、次回から下界へ行く事が出来なくなると注意を受けている為、大橋の元へ行けない。「大橋の事を知るのは裕美に聞くしか無い!」私は寝ている裕美の頭の上を漂って見せた。私の狙い通り霊感の強い裕美は、私を強引に引き入れてきた。「やっぱり、私の元に来たわね。さっきの続きよ。資金源は何処からか出ていたのか、解ったわ。貴方、石川医師の事を知っているの?貴方が亡くた日から、どうなったか知っているの?霊界からこっちを見てましたか?酷い事になったのよ。」「酷い事ってなんだ!私は、霊界にいる時は忙しくて下界の事など気にする時間も無い。いったい、石川に何があったんだ?」私は、嘘をついてしまった。私たち新人は、下界を見る事はできないのだ。何故なら、思い出深い下界を見ると、脱走霊も出るからである。閻魔大王に厳しく注意されている為、下界を覗く事はできない。「そう、何も知らないの?だったら麗華さんの事も知らないね。」「麗華? 麗華がどうかしたのか?隠して無いで話しなさい!話さないなら、呪ってやるぞ!」と、脅かす様に言ってみせたが、裕美は全く怯える事は無かった。むしろ、自分から積極的に話してきた。「石川さん、殺されたのよ。犯人は、はっきりとは判らないけど、おそらく、ロボットの麗華さん。修君の推理だと、そうなるのよ。」「石川が殺された?! 麗華に殺された!?麗華はそんな事をする女性では無い!何かの間違いだ!その、修君って誰だ!」と、私は霊であるのに、興奮して話している。生前の私は、これほどまで興奮した事は無い。不思議である。魂だけになると素直な自分が出て来るのかも知れない。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #小説 #教授 #売れないKindle作家 #書いてみた #霊界 #下界 #いい加減な話 3