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可笑しなお菓子(6)(ユニシロシリーズ)


その日、松原千恵子は魔法使いの叔母さんの所に訪れた。
そこは森の中にある一軒家。だがその場所は秘密であり、
松原千恵子以外は誰も知らない。
家は、木造の洋風の古民家。
まさに、魔法使いが出てきそうな出立ちの家。
階段を二段上がり、千恵子は、扉を数回強くノックする。
「叔母さん、居る?千恵子よ」
と、興奮気味に呼び掛けている。
普段は感情を表に出さない千恵子であるが、
魔法使いの叔母さんだけは、特別な存在なのか?
感情をあらわにするのであった。


静かに扉が開き、千恵子は「勝って知ったる他人の家」
の如く、挨拶も無く部屋に入っていく。
部屋の中には、大きな丸いテーブルと
椅子が三脚あるだけで
他の家具は見当たらない。
魔法使いの叔母さんは、
揺り椅子に腰を掛けて穏やかな表情で
千恵子の顔を見つめ、

「どうしたんだい。大きな声で私を呼んで。
びっくりするじゃろ」

と、静かに言った。

[ここで、魔法使いの叔母さんの容姿を伝えますね。
彼女は年齢は100歳を超えているのですが、
魔法で老化を止めているのか見た目は、60代に見えます。
顔は女優の岩下志麻に似てかなりの美人です。
身長は160cmぐらいで、体重は?
スタイルは良くて、なかなかの者です。
雰囲気は少しクールな感じです。
生まれはイギリスで、日本人の男性に恋して
この日本にやって来ました。
夫はもう何年も前に他界して今は子供も無く
一人暮らしです。
今でもイギリスの貴族を思わせる貴賓のある姿は
只者では無い様に思います。]

「叔母さん、この前もらったマジックキノコをもらいに来たの」
と、声を弾ませ話しかける。

「あぁ、あのキノコかい・・・。」
と、言葉を止め、天井を見上げる叔母さん。
つられて、千恵子も天井を見るが何も無い。
「あの、キノコをまたお菓子に使うのかい。」
と、声のトーンがいつもより低い。
「ダメなの、あれを使ったら」
と苛立っているのか、感情的になっている。

「使ってもいんだけど、あれは癖になるよ。麻薬みたいに
だから、お菓子にしても一回だけしか食べちゃダメだよ。」


「あのキノコって麻薬なの?そんなの聞いてないよ」
と、ダチョウ倶楽部の様に言う千恵子ちゃん。
「麻薬ではないけどね・・・」
と、自信なさげに声がヘイドアウトする叔母さん。
「どっちなのよ!麻薬なの、麻薬じゃないの」

「麻薬みたいな物だから、あんまり食べちゃダメだよ。」

「あんまり、食べないのなら良いんだ。
だったらキノコ頂戴よ。叔母さん」
と、子供がぐずるかの様にせびってくる。

「仕方ないね、あんたにかかちゃ・・・何も言えないよ」
と、魔法使いの叔母さんは、杖を振り上げ、呪文を唱える。

目の前に、松茸みたいなだが、色はカラフルなキノコが現れる。
見るからに毒毒しいキノコだ。
それを、嬉しいそうに手に取る千恵子。
…これで、[可笑しなお菓子]を作るんだ。
これを食べると、明るくなれる。暗い気持ちが吹っ飛ぶよ…
と、心の中では絶叫している松原千恵子。
千恵子も、このお菓子を食べて性格が明るくなったのかも知れない。

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