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だいたいニャ#毎週ショートショートnote(1分で読める小説)


「だいたいニャ、
あんたの了見が悪すぎるニャ」
と、叱っているのは隣の御隠居だ。
舌がもつれるのか、
それとも入れ歯のせいなのか解らないが、
滑舌が良く無い。
何故か語尾に「ニャ」が付く。
御隠居さんは、
「『ニャ』とは言ってないニャ」
と否定してるけど、その様にいつも聞こえる。
そう言えば、以前取材したニョロ村はあれからどの様に
なったのだろうか?
あの村の怖いところは、
言葉の語尾に「ニョロ」
を、付けずに話すとタンバリン沼に沈められてしまう、
という掟があるのだ。
御隠居は「ニョロ」では無く「ニャ」だから、
ニョロ村の出身者では無いみたいだ。
そんな事はさて置き、叱られているのは僕の父親だ。
いったい何を叱られているのか?

父親は真っ赤な顔をして、御隠居の話を聞いている。
父親が叱られている光景を見たく無いので、
僕はその場を去った。
だが、何故父が叱られているのか気になって仕方がない。
後日、父にあの時何故御隠居に叱られたのかを、尋ねてみると、
「妻以外の女を、抱いたいニャ
と思っているのがバレて御隠居に怒られた」
と、僕に打ち明けてくれた。
僕はどんな顔して父の言葉を聞けば良いの!?
複雑な思いが胸に残った。

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