(新)三つ子の魂百までも(21) 1 ボーン 2023年8月14日 18:59 21徹夜の作業が終わり、僕と裕美さんは激しく求めあった。特に裕美さんは、強く求めてくる。あの様な異常な事をしたのだ、仕方がない僕は、裕美さんの要望に応えるべく、ある場所を探した林田さんも求めてくる。誰が言うとも無く「お腹が空いた」林田さんが言う「この辺りに、深夜食堂 と云う店があります」と、私達を案内してくれた。この深夜食堂は午前0時から7時までの営業である。時計を見ると午前5時25分。私達は、その店の引き戸を開けた。客は誰も居ない。一人のおじさんが、「いらっしゃい」とぶっきらぼうに声をあげた。店は広くも無く、カウンターになっており7〜8人ぐらいは座れそうだ。メニューは壁に貼ってあるのだが、豚汁定食 六百円お酒はビールと日本酒。ただし、お一人様三本までと書いてある。「此処は、豚汁定食しかないのでしょうか?」と、僕は不思議に思って聞いてみたすると、男が「注文してくれて、出来るものであれば作るよ」と、ぼさっと言った。「卵焼きできますか?」と、裕美さんが聞く。「あいよ♪」と、愛想の良い声が響いた。「じゃ僕も、卵焼きと豚汁定食」と、元気よく注文。「おじさん、ビール一本下さい」と、裕美さん「私は、焼きそばとビールをお願いします」と、林田さん。「あいよ♪」と明るく云う林田さんは此処を何度か来ているみたいだ。林田さんが云うには「ここの料金は一律六百円だ」との事。解りやすいし計算しやすい。三人で和やかに食事をしながら今後の打ち合わせをした。裕美さんが、「林田さんが撮った写真を見れば、正太さんの霊を確認する事が可能でしょう。今回の依頼の案件はこれで終了します。でも、今起こっている恐ろしい事件の解決は出来ません。これは妖怪😈の仕業です。本当に凶暴で恐ろしい妖怪です。私の力ではどうしようも出来無いです。」と、裕美さんにしては弱気な発言だった。「そうですね。こんな事を警察に言っても信用してはくれない。」と、林田さんもビールを飲みながら、力無く言った。「この豚汁美味しいですね😋」と、おじさんに言ったら、嬉しいそうに微笑んでくれた。ぶっきらぼうに見えるが、人の良さそうな気がした。此処での食事を終え、それぞれ帰宅の途についた。3日後、松田夫妻が出来上がった写真を持って事務所に訪れた。その写真を見ながら、裕美さんと林田さんは説明をする事になっている。松田夫妻との簡単な挨拶の後、いつものソファーに座って私と裕美さんは並んで座り、夫妻と対面した。林田さんは別の椅子に座り、代表の直美さんと並んでいる。「これが、写真です。」と、正一さんは封筒を渡して来たが、まだ開封されていない。夫妻は「写真を怖くて見れない」と言っている封筒を受け取り、写真を出す裕美さん。最初の写真には、暗闇の中にモヤっとする物と、裕美さんが瞑想する姿が写っている。裕美さんは、一枚目の写真を手に取って、「このモヤっとしたのが、正太さんの霊ですね。煙の様に見えますが、間違い無く霊です」と、断定した。林田さんは頷いている。直美さんは、信じる事が出来ない顔である。二枚目の写真を見て裕美さんが云う、「この写真にも写っていますね。一枚目よりも明確に写っていますよ」差し出された写真を見ると、白くもやっとした物が鮮明に写っている。「そんなの、煙じゃないの?」と、自信の無さそうな声が聞こえてきた。発したのは直美さんだ。小声だが明確に聞こえた。その言葉を気にせずに、3枚目の写真は白いモヤが裕美さんに、まとわりついている!……蝋燭の煙では無い!……と、僕は強く感じた。直美さんも、この写真にツッコミを入れる事は出来なかった。その写真を見つめながら、裕美さんが「この時、正太さんの想いを感じました。初恋の話をしてくれている時の写真だと思います。」と、解説してくれた。その様に見ると、正太さんの霊が、裕美さんにハグしている様にも見える。「あの〜霊ってこの様にモヤッとしたものですか?」と、僕は疑問に思って聞いた。……もっとハッキリ出てきたら、疑わずに済むのに!……と、誰もが想う事であろう。「そりゃそうでしょう。霊って形が無いんですよ。人間の形で出てくる方が少ないですよ。でも、出てくる霊もいますよ。」林田さんが云い、さらに言った。「私が思うには、死んで間が無いと形には成りにくいのでは無いかな。年季の入った霊だと形になり易い。」https://note.com/yagami12345/n/n33c4d1d98bc2 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #写真 #連載小説 #ビール #ホラー #コメディ #連続小説 #売れないKindle作家 #くだらない話 #豚汁定食 #裕美 1