この中にお殿様はいらっしゃいますか?
「この中にお殿様いらっしゃいますか?」と言う
女性のアナンスが場内に響き渡る。
不思議なアナンスに一同騒然としたのだが、
目立ちたがりの私は、思わず名乗り出てしまった。
目立ちがりのDNAを持つ私は、
体が勝ってに反応してしまうのだ。
「はい、私はお殿様と言われた男です」
「貴方様はお殿様でいらっしゃいますか?!」
と、女性は平伏低頭する。
その姿を見て、私は以前の事を思い出していた。
そう、あれは遠い昔。
私は多勢の者を引き連れ、城内を歩き回っていた。
特に美女を侍らせ、好き勝ってな事をしていた。
だが多くの民は私に絶大な支持を与えていた。
そんな記憶が甦る。
「はい、私が殿様です。何か御用かな〜」
と、声が軽い。そうあの時のままだ。
「別に用事はないのですが、アナンスしてみただけです」
と、何だか無責任な答えだった。
「私の事知りませんかな?昔のテレビ番組で
馬鹿殿の役をしていた、志村けんです」
「知らないです。ここは娑婆では無くあの世ですから」
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