白いワンピース(一分で読める小説)(410字)
あの娘が着ている白いワンピース。
凄く目立つよ、白いワンピース。
ウエディングドレスの様な白いワンピース。
もしかして、花嫁衣装かな?
何故君達、走っているの?
スカートの裾を揺らしながら、
息を弾ませながら
何故走るの?
隣にいる男の人は誰?
手を繋ぎながら必死の形相で駆けているよ。
「どうしたの!」
教会の鐘の音が、何故けたたましく鳴るの?
二人の後を追いかけて来るのは誰?
黒い服を着た男達だよ。
「待て〜」って言っているよ。
でも、二人は手を繋いで逃げているよ。
鬼ごっこでもしてるの?
いい歳の大人がそんな事しないよね。
この光景、僕以前見たことあるよ。
そう映画で観たよ。
「卒業」と云う映画だった。
あれは、結婚式の途中で花嫁を連れて逃げる映画だったね。
でも、これは映画と違うね。
現実だね。
「あっ!白いワンピースの女の人が転んだよ。」
スカート裾を踏まれたみたい。
男の人も捕まったよ。
男の人は何人かの人に殴れているよ。
映画みたいには、いかないね。