逢いたい菜#毎週ショートショートnote
綺麗な夕日が沈む時
僕は少し幸せを感じた
夕日を観ているだけなのに
何故だか不思議に嬉しく感じた
明日もまた晴れ渡る青空の下で
平穏に暮らせると思うと、心がなごんだ。
夕焼けに照らされながら小道を歩くと
畑には黄色い菜の花。
橙色の夕日と黄色い花びらの織りなす色彩のハーモニー。
僕は童謡を口ずさむ。
それは遠い日の思い出。
少年の頃見た懐かしい想い出。
セピア色に染まらない色あせ無い想い出。
もうそんな光景も今は無い。
今あるのは、アスファルトに舗装された歩道と、
雑草の生い茂る空き地。
その、空き地を夕日が照らしても虚しさが残るだけ。
遠いあの日に戻りたい。
子供の頃に戻って、あの黄色い菜の花に
逢いたい菜。