合わせ鏡 4
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「坊や、ここにお掛けなさい。」
と、僕に椅子を差し出してくる叔母さん。
椅子と言っても素人が作った木製の粗末な物である。
3人はテーブルを挟み椅子に腰を下ろした。
「名前を覚えていないの?そうなの、困ったね。名無しの権兵衛では、・・・・
ひとまず、仮の名前を付けようか。」
と、提案されたので、僕は少し考えた振りをして、本名を名乗った。
「・・・・。え〜っと・・それなら
サナダコウソンです。
友達の名前です」
「サナダコウソン君か!じゃあそれで。」
と、お姉さんが嬉しいそうに言う。
「コウソン君は何歳?」
と、聞いてきたので、
「12歳です。来年は中学生になります。」
と、答えたとき、二人は驚きの表情に変わる。
「中学生って何?今どき学校何て無いよ!」
と、お姉さんは少し興奮している。
その言葉を聞いた、僕も興奮した。
「学校が無いんですか?・・・・」
…この世界は僕の住む世界とは、全く違う…
改めてその事を認識する僕であった。
それと同時に「この世界は一体どう言う世界か確かめたい」
と言う、強い気持ちになった。
その為には僕は事実を話す必要がある。
「お姉さん、実は僕は記憶を失ってはいないのです。
僕はこの世界とは別の世界から来た者です。」
「別の世界って何?・・・・。他にも世界があるの?・・・
あなたは、宇宙人?・・・人間に見えるけど」
と、言葉を選んでいるのか?
途切れ途切れに話しをしてくる、お姉さん。
「宇宙人では無いです。地球人です。日本人です。
でも、僕は不思議な事にこの世界に来てしまいました。」
「あなたの住んでいた世界ってどんな世界なの?」
と、叔母さんが疑問を解消したいのか、聞いてきた。
「どんな世界って聞かれても、答えに困るのですが、・・・
高層ビルが建ち並び、道路は舗装され、携帯電話は個人個人持っていて、食べ物も豊富で・・・。僕達みんな、学校に行っています。」
と、思いつくまま、話をした。
「そうなの、懐かしいわ。」
と、叔母さんは感慨深く云う。
「私は知らないわ・・・。でも楽しそうね。・・・」
と、お姉さんは少し冷めた言い方をした。
「あ〜の何故、この様な荒れ果てた世界になっているのですか?」
「荒れ果てた世界?( ・∇・) だって!
私の生まれた時から、こんな世界だよ。」
と、お姉さんは、当然だと云う様に言った。
「ここは日本でしょ?今西暦何年ですか?」
「日本だけど・・・。と言うよりも日本は壊滅したよ。
と云うよりも、世界は壊滅したよ。
宇宙人のせいで。」
「世界が壊滅した?! 宇宙人のせいで⁉️って何」
今度は僕が驚きの声を出す。