Photo by dancefirst ある天才科学者の幽霊(6) 2 ボーン 2023年1月27日 02:37 早速、私はタクシーを手配し下界に降りて行った。下界の季節は、秋だった。この前来た時は、夏の暑い日であったのに、霊界と下界では時間の流れは違うみたいで、こちらの一日は、下界の二か月ぐらいに相当するみたいだ。タクシーは、この前の女のアパートの入口で止まった。時刻は丑三つ時。この時間帯が我々にとって一番人に認識してもらえる時刻だ。と、言っても霊感の強い人で無ければ、我々を感じる事は出来ない。強い恨みを持った霊は、その強い恨みの力で、霊感の弱い人にも感じされる事が出来るが、恨みを持たない霊は、普通の人は感じる事は出来ない。この前の女は、霊感がすこぶる強いので、私を感じるのは簡単であろう。むしろ、私の方が女に引き込まれ無い様に気をつけなければならない。部屋に入いると、一人の女性が机に向かっている。あのセクシー女優の壇蜜だ!と想って観察すると、似てはいるが別人である。彼女は何か紙に書いている。以前の彼女との関係はどの様な関係だろう?と、考えていた時、もう一人の女性が湯上がり姿で、ビールを手に持って出てきた。以前の彼女である。確か名前は、飯島裕美だったな。私は裕美に気付かれ無い様に、テレビの裏に隠れて、二人の会話を聞いてみることにした。「お姉ちゃんも、ビール飲む?」「飲むよ。そこに置いといて。」「今回の浮気の調査は、簡単だったけど、何で男って浮気するのかな!本当に腹が立つわ。結婚した時は、一人の人って決めたはずでしょ。なのに、他に女を作るなんて!許せ無いわ。」どうも、裕美と壇蜜は、姉妹みたいである。「でも、最近女性だって浮気してるわよ。特に、出会いのサイトで簡単に浮気相手が見つかるらしいよ。男だけでは無いよ」どうやらこの二人は、浮気調査の探偵みたいだ。「報告書も書けたし、私もお風呂入って寝るかな。裕美、ビール、後で飲むから、冷蔵庫に入れといて」と、言いながら壇蜜に似た女性は、お風呂に行った。この二人、何故こんな夜中まで起きているんだろう?と、想っていたのだが、・・・まずい!裕美は私を見ている。私を凝視している。いや、睨んでいる。気付かれたのか?鋭い視線が私を刺している。「隠れても駄目よ!貴方がいる事は最初から判っていたのよ。さっきはお姉さんがいたから言わなかったけど、貴方は誰?私達は恨まれる事などしてないわよ!もう一度聞くは、貴方は誰なの?」見つけられた私は、恐る恐る、名前を告げた。と、言っても言葉に出すのではなく、女に向かって念じたのだ。「私は、新美公一だ。以前貴女に会いにきた事があるだろう?覚えて無いのか?」「新美公一さん!覚えているわ。前は私の夢に出てきたわね。今回は直接見える時に出てきたのね。」と、上から目線で私に向かって言うのは、変わってはいない。「今回は、何の用事で来たの?こっちも聞きたいことがあるけど聞いてもいい?」「いいよ、何でも聞くが良い!」と、私は少しヤケクソの気分で応えてしまった。「この前、質問したのに応えてくれなかったね。ロボットの製作費用は何処から出るの?広田さんも、心配しているよ。新美君は悪い組織と繋がっていたのでは無いかと。そこのところは、どうなのよ?」「私が悪の組織と繋がっている訳ないだろう!誰がその様な噂を流すのだ?もしかすると、佐伯か?!奴なら、その様なデマを流すだろうな!」と、私は久しぶりに冷静さを欠いた言い方をしてしまった。「悪の組織とは繋がって無いのね!じゃあ、どこから、ロボット製造資金は出ているの?」「そんな事を聞いてどうする?お前に関係無いだろう!」「初めて会った時の言葉覚えて無いの?私の、好奇心は海より深いのよ!教えなさい!」と、女は鋭い眼光で私を睨んでくる。コイツ、やばい女か?ここで、不思議に思った人に解説します。霊感の強い人は、霊を感じる事が普通にできます。しかし、その事を普通の人に話すと、信じてもらえずに異常者と思われてしまいますので、霊感のある人はその事についての話しをあまりしません。彼女は非常に強い霊感の持ち主で、私の存在を確認した上で、話す事ができる人なのです。この様な人は、稀な人です。ここで話すと言ってはいますが、頭に言葉を思い浮かべているだけで、声に出して喋っているのではありません。簡単に言うと、テレパシーみたいなものです。この光景を霊感の無い人が見たら、裕美は壁をじーと観ている様に見えます。「その資金の出どころは、ある大金持ちの女から出ているのだ」と、私は女の熱い視線に負けてしまったのか、本音をはいてしまった。「大金持ちの女? 誰なのその人?貴方とどの様な関係があるの?」流石に、好奇心の塊の女だ!矢継ぎ早に聞いてくる。「まあ、落ち着け。夜は長い。俺の話を聞け!5分だけでも良い」「じゃ、聞くわ。早くしないと、お姉ちゃんがお風呂から出てくるわ。早く言って!」いつも読んで頂ける皆様に御礼申し上げます。私の小説にしては、ビューの数が多く付きます。嬉しい限りです。もし、感想がございましたら、コメントを頂ければ幸いです。 ダウンロード copy #小説 #霊感 #売れないKindle作家 #続編 #下界 #三つ子の魂百までも #どうでもいい話し #ホラーかも #ある科学者の幽霊の続編 2 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート