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hirono_32
風邪に感染した男#ボケ学会(505字の小説)
風邪を引かされた!
誰だ?!私に風邪を感染させたのは!
許せん!
必ず下手人を暴いて見せる。
私はこの20年風邪を引いたことも無い男。
コロナやインフルエンザのウイルスさえも、
避けて通られた男。
そう、私は天然ボケ。
天然ボケは、風邪などひかぬわ!
だが、無念じゃ!!!
誰がこの私に風邪のウイルスを感染させたのか?
私は、風邪に感染する前に出会った人を
思い浮かべてみた。あの男か?
いや違う。彼は今も元気だ。
もし私に感染させていたならば、
今頃寝込んでいるはずだ。
もしかすると、あの女性か?
あの時、確か・・・。
言えない。妻に言えない。
口が裂けても言えない。
おそらく下手人はあの女性。
街で出会ったあの女性。
名前も知らないあの女性。
だって、感染する前に出会ったのは、
あの女性しか居ないんだ、間違いない。
私は欲張った。歳柄も考えずに欲張った。
何故私はあの時3回もイッテしまったのだ!
彼女の元に
道で出会った、ティシュ配りの叔母さん。
私に風邪を、感染させたね。
恐るべし!
私に風邪のウイルスを感染させるとは。
ポケットに入ってるあの時の
ティシュペーパー
宣伝の紙に書いてあるのは、
「くしゃみ3回、ルル三錠」
古いコマシャルだ。
今もあるのか?そんな薬。